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ツカディアの宿


 翌日、朝食の後は、テントの回収から始まる。


 ジューネスティーン達のテントは、シュレイノリアが収納魔法の中に収めてしまったが、ユーリカリア達のテントは、解体することになり、男手のあるジューネスティーン達も手伝って解体していった。


 解体が終わって荷物をまとめると、収納魔法の中にしまう。


 ジューネスティーン達のテントは、地面に固定するのではなく、土台を作って、板を張った上にテントを張っていたのだが、ユーリカリア達のテントは、地面に固定されていた事が、原因でうまく収納魔法に入れられないとのことで、解体して収納魔法に入れることとなった。




 出発は、テントの片付けが早く終わったことで、早めに出ることができた。


 ツカディアの町には、夕方になる前に入れた。


 宿屋を探していると、後ろから声をかけられた。


「よお。 ジュネス。 宿は見つかったか? 」


 馬車を止めて、振り返ると、そこには、ルイネレーヌが、マルギーブとナギシアンを連れて立っていた。


 突然現れたので、そばの店の中から出てきたところに、ジューネスティーンの馬車を見かけたのか、来るのを待ち伏せしていて、店から出てきたのかは分からない。


 ルイネレーヌの声を聞いて、シュレイノリア、アンジュリーンとアリアリーシャは、嫌そうにルイネレーヌの方向を向くと、嫌そうな顔が更にひどくなった。


 ジューネスティーンは、そんな女子3人を困ったように見ると、申し訳なさそうに、ルイネレーヌに応える。


「ルイネレーヌさんも、こちらにいらしてたのですか。」


「ああ、お前らが、ツノネズミリスの依頼を受けたって聞いて、追いかけてたんだ。 やっと捕まえられたよ。 それより宿は、どうした? 見つかったのか? 」


「いえ、これからです。」


 その答えを聞いて、ルイネレーヌは、わずかに笑ったように見えた。


「そうか、だったらちょうど良かった。 私の使っている宿なら空きがあるはずだが、それ以外の宿は、もう空きが無いと思うぜ。」


 ルイネレーヌは、嫌らしそうな笑いを浮かべる。


「どういうことなの? 」


 アンジュリーンが、ルイネレーヌの表情を見て、イラついた様子でルイネレーヌに聞いた。


「ああ、ツノネズミリスのおかげで、ツカ辺境伯領を逃げてきた連中が宿を使っている。 それで、この辺りの宿は、ほとんど埋まっているのさ。」


 その話を聞いて、アンジュリーンは、確かにその可能性は有ると思ったようだ。


 そんなアンジュリーンを見て、アリアリーシャが、アンジュリーンにもっと何かを言わせたそうに見るのだが、アンジュリーンが、言いそうもないと思ったのだろう、アリアリーシャが口を開いた。


「なんで、あなたは、宿の斡旋ができるんですぅ。」


 アリアリーシャもルイネレーヌに食ってかかる。


「ああ、お前達が、使うだろう場所に網を張ってたんだ。 こんなこともあろうかと、準備しておいたんじゃないか。」


「さっき、追いかけて、やっと捕まえたと言った。」


 シュレイノリアが、言葉の矛盾を指摘してきた。


「ああ、あれは、言葉のあやだ。 私は、お前達の護衛でもあるんだ。 ちゃんと仕事はするよ。 それよりどうするんだ。 宿が見つけられずに野宿をするか、私の紹介する宿に泊まるか、早く決めてもらえないかな。 それに、3日もキャンプじゃあ、体も洗えてなかったんじゃないのか? 」


 ルイネレーヌは、痛いところを突いてきた。


 ジューネスティーンは、ユーリカリア達の事もあるので、宿を取りたいと思っていたので、今の話から自分たちが何をしていたのかも把握している事に気がついたようだが、その話をすると、また、話の収集がつきそうも無いと思ったのだろう、表情を少し曇らせる。


「それじゃあ、ルイネレーヌさん。 宿を紹介していただけますか。 ユーリカリアさん達も構いませんね。」


「あっ、ああ、私達は、どこでも構わない。」


 ユーリカリアは、ルイネレーヌとシュレイノリア達3人が険悪な態度を見て、何なのかと思っていたのだが、ジューネスティーンの提案に乗ることにした。


 ユーリカリアの了解も取れたので、ジューネスティーンは、ユーリカリアに返事をする。


「こっちは、問題無いので、宿を紹介していただけますか。」


「ああ、分かった。 ついてきな。」


 そう言うと、ジューネスティーン達を追い抜いて、前を歩き始めた。


 ジューネスティーンは、馬車を人の速度になるように走らせて、ルイネレーヌの後を追うと、ジューネスティーンにアンジュリーンが、顔を近づけて、小声で語りかける。


「どう言う事なのよ。 また、あんなのと一緒の宿なの! 」


「そうですぅ。」


 アリアリーシャがアンジュリーンに同意する。


 シュレイノリアは、ジューネスティーンをジト目で見ている。


「さっき、ツカ辺境伯領から移動してきている人が宿を使っているって言ってたじゃないか。 あっちの金持ち連中が宿を使っているんだろう。 だから、今から宿を見つけても無理だってことだよ。」


「でもぉ。」


 アンジュリーンは、納得できないといった顔をする。


「じゃあ、宿を探してみるか? 13人を受け入れられるような宿なんだよ。」


 それを聞いて、アンジュリーンは、困ったような顔をする。


 こんな時は、結局、宿は見つける事が出来ずに結局、ルイネレーヌの世話になるのだ。


 しかたなさそうに、アンジュリーン達もルイネレーヌの後を追う事になった。


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