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訓練終了

 

 ジューネスティーン達は、午後には、全員で、円形陣での訓練を行う。


 ユーリカリア達の円をジューネスティーン達が、外側と二重の円陣を組んで、移動しながら全方位に魔法を放ちながらの移動を行う。


 ただ、移動には、放った炎の持続時間が長いと移動に影響が出た。


 それについては、シュレイノリアが、魔法で対処する事となり、雷魔法を使うユーリカリアとシェルリーンが対応することになった。


 円形陣での移動については、シュレイノリアの方向に移動することになり、移動はシュレイノリアが中心となって方向を決めっる。ユーリカリアとシェルリーンが、シュレイノリアの左右にとなって移動する。




 しかし、この方法をとる時は、最悪の状況となった時になる。


 全方位からツノネズミリスに覆われて攻撃を受けてしまう状況を作ってしまう様な事にならなければ良いのだ。


 だが、状況というのは、常に変化するので、有利な方法で戦えるとは限らないのだ。


 自分達の思った戦術に持ち込めなかったから負けたでは済まされない。


 魔物と戦うということは、負けは自分達の死を意味するのだ。


 常に最善の方法で戦えなかったからといって、逃げるにしても生存率を上げるための事は考えておく。


 不足の事態に陥っても助かるための方策は取っておくのだ。




 ただ、ユーリカリア達も、その話を聞いて最初は嫌な顔をしたのだが、なんらかの不測の事態に対処する方法なので、使わないに越したことは無いが、何かのアクシデントによって使う必要に迫られる可能性を考えると、必要な事だと理解してくれた。


「使わないで済むなら、それに越した事はないが、知らないで不測の事態に陥ってしまったら、生存率は落ちるか。」


 ユーリカリアは、ジューネスティーン達の常に最悪の時も見越して、そんな状況に陥っても対処方法を決めておく姿勢に、自分には無かったものを見た様な気がしたのだろう、ジューネスティーンを感心した様に見る。


 ただ、戦略に関して、リーダーとしての資質が、問われる内容なのだと思った様だ。


 ユーリカリアは、考え方も含めて、力の差を見せつけられて少し凹んだ様に見える。


「ユーリカリア、私達には無かった考え方ね。 私もお婆さんに教わった時には、そんな事まで教わってなかったわ。 あなたの冒険者の武器の使い方もだけど、戦略や戦術だって基本は、私がお婆さんから教わったものでしょ。 そこから実戦で覚えた事なのだから、ジュネス達とは違っているのよ。 私達は、戦術・戦略に詳しいジュネス達と出会えたことで、また、ステップアップできるってことよ。」


 ウィルリーンに言われてユーリカリアも、渋々ではあるが納得するような様子を見せる。


「なんだか、カインクムの店での時と逆になってしまったな。」


 ウィルリーンが、カインクムの魔法や魔法紋について知ってしまった時の事を言っているのだ。


 ただ、その時のウィルリーンの落ち込みようよりは、マシだろうとユーリカリアは思った様だが、それを口にする事は無かった。


「そうだな。 私達は、成長するためのチャンスをもらったのだから、盗めるノウハウは全て盗まないとな。」


 そのユーリカリアの発言に、ウィルリーンは、笑顔を向けた。


「その意気よ。」


 そう言って、2人は笑い合っていた。




 夕方には訓練は終わらせると、夕食になる。


 相変わらず、ユーリカリア達の食欲は旺盛で、食事の世話をするアメルーミラ1人では、間に合わない状況となった。


 アリアリーシャとレィオーンパードがアメルーミラを手伝いつつ、ユーリカリア達の空腹を満たさせる。


 ユーリカリア達は、渇き切った土に雨が染み込む様に、食べたり、飲んだりしている。




 ユーリカリア達の空腹が落ち着いたところで、ユーリカリアは、ジューネスティーンに声をかけた。


「なあ、体はそれ程、動かして無かったのに、魔法の訓練をしていた間中、空腹が激しいんだが、なんでなんだろうな。」


「ああ、人の体の中でエネルギーを一番必要とするのは、筋肉ですけど、脳のエネルギー利用率は、他の臓器に比べると、かなり、多いんですよ。」


 そこまで言うと、ジューネスティーンは、一口お茶を啜った。


「ここからは、自分の勝手な解釈ですけど、人の考えるとかには脳内で様々なやり取りを行なっているのですけど、そのやり取りには、かなり多くのエネルギーを必要とするのだと思います。 筋肉を使った時もですけど、頭をフル回転させる様な事をするなら、かなりのエネルギーを消費するのだと思います。」


 ユーリカリアは、微妙な顔をする。


 食べたら、栄養になる程度の事しか考えてなかったユーリカリアとしては、人体の何処にどれだけのエネルギーが使えるのかとか、医学的な事を言われても、ピンとこないのだ。


「うーん。 とりあえず、頭を使うとエネルギーを使うから腹が減る。 とりあえず、そんな程度で覚えておくよ。」


 ジューネスティーンは、それ以上の話はせずに、ユーリカリアに笑顔を向けると、また、お茶を飲んだ。




 ジューネスティーンは、ユーリカリア達の空腹も満たされたので、翌日にはツカ辺境伯領までの旅程の話を進める事にした。


「ユーリカリアさん、これからの予定ですけど、残りの旅程200km弱になります。 早ければ1日で着くことも可能ですけど、キャンプの片付けとかを考えると、途中で一泊して二日かけて向かう事になります。」


「そうだな。」


 ユーリカリアは、ジューネスティーンに言われて、自分達のテントを見る。


 作る時より、テントを崩すなら、それ程時間は掛からないだろうが、片付けを考えれば、テントを組み立てた時より時間がかかってしまう可能性がある。


 そうなると、片付けには、それなりに時間が掛かるとなれば、朝日とともに移動ができるとは思えないのだ。


「それでいいだろう。 ここから、辺境伯領の中心都市のツカディヲまでの距離を考えたら、一度、どこかで一泊した方がいいだろうな。」


 すると、ユーリカリアは、少し考えるが、直ぐに、提案する。


「途中にツカディアの街があるから、そこで一泊しよう。 あそこも辺境伯領の中では、大きな街だから、宿も多いだろうから、ツカディアで一泊して、それから、ツカディヲに向かおう。」


「では、次は、ツカディアで一泊しましょう。」


 1日で走破できな距離を残しているので、ツカ辺境伯領、第2の都市であるツカディアで宿を取って、2日で移動する。


 移動に2日+2日と、戦闘訓練に充てた3日間なので、7日間で移動することになる。


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