表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1198/1356

ユーリカリア達の魔法

 

 レィオーンパードは、ユーリカリア達の魔法の目標になって、パワードスーツで移動し、その後ろをジューネスティーンが火魔法を放って、炎がレィオーンパードを追いかける様に発生させた。


 その時の自分の動きについて、レィオーンパードは、ジューネスティーンに確認した。


 次は、アリアリーシャが、走り出そうとしているので、ジューネスティーンが順番をユーリカリア達に聞く。


「じゃあ、ちゃっちゃと始めましょうか。 それで、誰が行きますか? 」


 今のジューネスティーンの魔法を見て、どうも気が引けているみたいだったのだが、それをフィルルカーシャが、ヴィラレットのお尻を押して前に出す。


「フミュア! 」


 ヴィラレットは、変な声を出して前にでると、フィルルカーシャがヴィラレットに言う。


「こうう言うときは、若い方からに決まっている。」


 周りが動こうとしてないので、こんな時は、若かったり、年数が低い方からになる。


 ただ、危険度が高い場合は、ユーリカリアとウィルリーンが前に出るのだが、訓練となるなら、若い方から先に始めさせるのだ。


 ヴィラレットは、ちょっと嫌そうな顔をするが、仕方なさそうに魔法を放つ準備を始めるので、ジューネスティーンは、アリアリーシャに合図を送る。


 アリアリーシャは、その合図と同時に一気にレィオーンパードと同じ程度まで速度を上げる。


「えっ! 」


 ヴィラレットは、慌てて魔法を放つ。


 ただ、後ろではなく、アリアリーシャの横に放ってしまった。


「ああ、気にしないで、狙った場所じゃなかったとしても、焦らないで、次の魔法は、狙ったところに落とすと思って、魔法を放ってくださいね。 最初から上手くいくわけは無いですから、失敗しても気にせず、どんどん魔法を放ってください。」


 ジューネスティーンは、気にさせない様にヴィラレットにいう。


 だが、次の魔法も後ろではなく、アリアリーシャの向こう側に放たれ、なかなか、後ろには放たれず、アリアリーシャの通った後を左右にジグザグに放たれていた。


 ヴィラレットは、突然言われて訓練に入った事もあり、狙った場所に火魔法を放てずにいる。


「結構、狙った場所に放つのは難しいでしょ。 これをしばらく繰り返して、パワードスーツが通った後に一直線に炎が残るように練習します。 じゃあ、自分達は、順番に走りますから、そちらも順番に放ってください。 それと、これは、数を撃って、練習するしかないので、何度も繰り返して、コツを掴む様にしてください。」


「ああ。」


 ユーリカリアが、答える。


 ジューネスティーンの、何度も繰り返してコツを掴むという言葉に、ユーリカリア達は救われた様子を見せた。


 最初から上手くはいかない。


 何度も練習することで、徐々に上手くなるのだから、最初から上手にできるのではないと思う事で、気が楽になった様だ。


 ユーリカリア達の緊張が解けてきたと、ジューネスティーンは思った様なので、自身もパワードスーツに乗って、その場にいたパワードスーツを連れて、走り出すスタート地点まで移動した。




 スタート地点に5人が移動すると、アリアリーシャも、大回りして、5台のパワードスーツの方に移動する。


 順番にホバーボードとホバークラフトを使って走り出す。


 その後ろに、ユーリカリア達が、火魔法を順番に放っていく。


 最初は、ヴィラレットが行なったように狙いが定まらず、パワードスーツの通った後に炎を作れず、前後左右にズレて、放たれ、また、放つ間隔も長かったので、炎が繋がる事も無かった。


 時々、ジューネスティーンが、状況説明のためにユーリカリア達の元に来ては、アドバイスをしていると、徐々に放つ間隔も短くなり、狙った通りにパワードスーツの走った後を綺麗に描くように炎を出せるようになる。


 何度も同じ事を行う事で、コツを掴んできたのだ。


 反復練習によって、精度を上げて、放つ速度も上げる。


 決してぶっつけ本番の様な事にならないため、本番に備えてユーリカリア達のパーティーの魔法の練度を上げていくのだ。




 直線的に動いて、炎が繋がる様に放たれるようになったところで、ジューネスティーンは、直線的に走るのではなく、パワードスーツを左右に動かさせる様にさせて、その軌跡に沿って魔法を放てる様に訓練方法を変えていく。


 ユーリカリア達からしたら、手前、奥に移動しながら、右に走っていくパワードスーツに最初は戸惑っていたが、何度か繰り返すと、それにも対応できる様になってきたので、パワードスーツの速度を上げさせ、左右への舵きりもランダムに走らせる。




 そんなランダムな動きにも、慣れてくると、スタート地点を離れたところに移動する。


 今度は、ユーリカリア達に向かって走らせ、30m先の辺りで、90°舵を切らせて、V字になる様に移動させる。


 同じ程度の距離を移動すると、また、90°舵を切ってと、それを繰り返して、移動を四角形になる様に走らせる。


 そうなると、移動距離が長くなったので、一辺の移動を1人として、4人が同時に訓練できる様にした。


 魔法を放つ側も、4人が魔法の訓練となって、2人が休憩ののち、一人一人連続で魔法を放ち、休息と魔法を放つのを繰り返しながら、訓練を進めた。




 ジューネスティーンは、ユーリカリア達の魔法の放つ数を確認しつつ、何度も繰り返し行うと、流石に疲れてきたのか、ユーリカリア達の魔法を放つ間隔が伸び出してきた。


 すると、軽く休憩をする事にする。


 ジューネスティーンがインターバルに入った時にユーリカリア達の方に移動する。


 パワードスーツから、降りるとユーリカリア達に話しかける。


「そろそろ、休憩にしましょう。 だいぶ慣れてきたのですけど、長時間の魔法は流石に疲れるでしょうから、休憩を挟んで、また、始めましょう。」


 しかし、ユーリカリア達は、げっそりしていた。


「なあ、今日は、昨日までより楽になるんじゃなかったのか? 」


「ええ、一度に放つ回数は少なくて済んでいると思います。 休む時間もありますから、今回の方が、楽だと思いますよ。」


 ユーリカリア達は、ただ、魔法を放つだけではなく、狙いをつけて放つ事で、思考をフル回転させて、前を走るパワードスーツの動きを見つつ、パワードスーツには当ててはいけないと考えつつ、行っていたのだ。


 その負担が精神的に、ユーリカリア達にはキツかった様だ。


「いや、一度に放つ数は少なかったけど、精度を求められたら、かなり神経をすり減らした。 それに、一度に放った数は、少なかったが、放った魔法の数は、今まで以上に多かったんじゃないか? 」


 ジューネスティーンは、少し考えてみる様子をすると、すぐに答えた。


「ああ、そうですね。 昨日より魔法を放った回数は、少し多いかもしれませんね。」


 それを聞いて、ユーリカリア達は、どうも精神的にキツイと思っていた疑問が晴れた様な感じで、疲れた顔が更に疲れた表情じなる。


(この人、笑顔でとんでもない事言う。)


(ウィルリーンさんは、顔を引き攣らせてたけど、この人、あっさり、笑顔で言うって、ウィルリーンさんよりスパルタなのかもしれない。)


 ユーリカリア達は、口に出さなかったが、ジューネスティーン達の訓練がかなりスパルタだったと実感していた様だ。


「でも、みんな、かなり、攻撃間隔も精度も上がったわよ。 旅に出る前の魔法と比べたら、雲泥の差だわ。 こんな短期間で、ここまで魔法力を上げられるなんて、私は聞いた事がないわ。」


 ウィルリーンも、かなり、ヘトヘトになっていたが、自分が感想を述べる事で、メンバー達を勇気づけると思ったのだろう、自分の感想を話してくれた。


 それぞれが、ジューネスティーンの訓練についてきたのだが、何気に引っ張られてしまって、自分たちの限界を超えた訓練をさせていた事に気がついたのだ。


 そして、自分達が信頼している魔法職であるウィルリーンに、そう言われて、安心している様子を見せた。




 ジューネスティーンは、パワードスーツの5人を呼んで、休憩に入る。


 キャンプに行くと、アメルーミラが、お茶と簡単な軽食を用意しておいてくれた。


 用意するものは、予め、ジューネスティーンから、糖分を多めになる様にと言われているので、簡単に作れるパンケーキの様なお菓子を作っておいた。


 また、お茶についても、甘味のある茶葉を用意しておいた。


 休憩に戻ってくるのは、流石にパワードスーツの機動性の良さから、ジューネスティーン達の方が早いのだが、キャンプに近づくと、ホバー機能を止めて、歩いて移動させていた。


「お帰りなさい。 おやつの準備はできてますから、皆さん、席についてください。」


 アメルーミラが、伝えると、ジューネスティーン達は、テーブルとテントの間にパワードスーツを一列に並ばせてた。


 並び終わると、それぞれのパワードスーツが開いて、全員が顔を出す。


 ジューネスティーンは、いつもの様に腕だけで足を引き抜いて、倒立する様にしてから地面に飛び降りると、シュレイノリアが抜け出せずにいるのを手伝いに行く。


 レィオーンパードとカミュルイアンも、パワードスーツの腰のあたりに手を突いて、なんとかお尻を上に上げて、パワードスーツの開いた腰の上に、自分の腰を乗せようともがいていた。


 ただ、アンジュリーンとアリアリーシャは、抜け出そうと足掻くのだが、腰が上がってくる様子は無い。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアを見る。


 シュレイノリアと目が合うと、シュレイノリアは、顎をしゃくる。


 それ、ジューネスティーンに手伝えと言葉ではなく、態度で示したのだ。


 ジューネスティーンは、アリアリーシャの方が近かったこともあり、アリアリーシャの元に行く。


「姉さん。 手伝おうか? 」


「ああ、ジュネス。 お願い。 私の力だと、抜け出せないのよ。」


 ジューネスティーンは、アリアリーシャのパワードスーツのふくらはぎの第二装甲の上に乗る。


「じゃあ、姉さん。 脇に手を入れるよ。」


 そう言うと、ジューネスティーンは、アリアリーシャの両脇に両手を入れる。


 アリアリーシャは、そのジューネスティーンの手の感触に顔を少し赤くする。


 それは、小柄なアリアリーシャと大柄なジューネスティーンなので、ジューネスティーンの指の先が、アリアリーシャの大きな胸の膨らみに指が僅かに掛かってしまったからだ。


 アリアリーシャは、その感覚を味わいつつ、変な声が出ない様に必死で堪えていたのだ。


 ジューネスティーんは、アリアリーシャのそんな思いも気にせずに、アリアリーシャをパワードスーツから引き出して、アリアリーシャの腰をパワードスーツの腰の縁に置く。


 アリアリーシャは、両手を開いた背骨にかけると、後ろにいるジューネスティーンに声をかけた。


「ありがとう。」


「うん。」


 ジューネスティーンは、アリアリーシャのお礼を聞いて、ふくらはぎの第二装甲から降りる。


 アリアリーシャが、片足の膝を抜いて、パワードスーツの腰にかけて、残りの足を引き抜くと、後ろのふくらはぎの第二装甲に足を下ろし、パワードスーツの腰に乗せていた足を第二装甲に下ろす。


「ちょっと、私の方もお願いよぉ。」


 隣に居たアンジュリーンが、ジューネスティーンに、少し拗ねた様な口調で声をかけてきた。


 ジューネスティーンは、アンジュリーンを見ると、少しムッとした様な顔でジューネスティーんを見ていた。


「ああ、今、姉さんが外に出るから、シュレと姉さんに手伝ってもらって。」


 すると、アンジュリーンは、ムッとした顔をする。


「なんで、私だけ差別するの! シュレにもアリーシャにも補助してあげたのに、私はしてくれないの! 」


 それを聞いてジューネスティーンは、唖然とする。


「さっ! 私をここから出して。」


 ジューネスティーンは、困った様な顔をするが、言われるがまま、アンジュリーンのパワードスーツの後ろに行き、アリアリーシャやシュレイノリアにした様に、第二装甲に乗ると、アンジュリーンの両脇に自分の両手を入れる。


 アンジュリーンもアリアリーシャと同じ様に顔を少し赤くするが、アリアリーシャの様にジューネスティーンの指が、胸の膨らみにかかる事は無かった。


 アンジュリーンの腰がパワードスーツの腰に掛かると、アンジュリーンは、パワードスーツの背骨に手をかけて、歯に噛んだような顔で、後ろを振り返る。


「ありがと。」


「いえ。」


 その歯に噛んだ顔が、ジューネスティーンには、新鮮に写った様だ。


 少し、ドキッっとした様な様子をするが、直ぐに、ふくらはぎの第二装甲から降りて、場所をアンジュリーンに譲る。


 アンジュリーンは、片足を引き抜くと、もう片方の足を引き抜いて、両足でパワードスーツの腰の上に乗り、腰を曲げて体をくの字にして、パワードスーツのふくらはぎの第二装甲に足をかける。


 その間、ジューネスティーンは、補助の為に後ろに控えているのだが、目の前にアンジュリーンの腰の位置がくる。


 インナースーツとはいえ、体に完全にフィットする全身水着のスーツに、腰が隠れる程度のミニスカートを履いているだけなので、くの字に曲げたお尻が、ミニスカートから出てしまっているのを見るのは、ジューネスティーンにとっては、非常に眩しい光景だった様だ。


 それが、ジューネスティーンの表情に出ていた。




 パワードスーツの6台から降りた6人は、深呼吸しながら、テーブルに着こうするのだが、その後から来たユーリカリア達は、少しゲッソリした様な表情でキャンプに来た。


 それを見たアメルーミラは何があったのか気になった。


「ねえ、ヴィラ。 どうかしたの? 」


 アメルーミラは、ヴィラレットに声をかけると、引き攣った様な笑顔だけで答えると、テーブルにどっかりと腰を下ろした。


「ごめん、ルーミラ。 悪いけど水を先に頂戴。」


 アメルーミラは、慌てて、カップの中に水魔法で水を貯めると、ヴィラレットは、息をつく間もない勢いでその水を飲み干した。


「ありがとう。 やっと、一息ついたわ。」


 そのヴィラレットの様子を見て、アメルーミラは、訓練が大変だったのだろうと思うと、用意しておいたお茶を、ユーリカリア達に出す。


 出てきたと同時に、お茶を飲み出したので、アメルーミラは、慌てて軽食を出すと、ユーリカリア達は、慌てて食べ始めた。


 軽い食事は、訓練の前にジューネスティーンから指示されたものだった。


 特に、甘い物を中心に用意させているので、女子6人ということもあり、好物の甘いスイーツを貪るのかと思ったのだが、貪るように食べ始めた。


 お茶も少し甘味のある茶葉を使っていたので、それもユーリカリア達には好評だった。


 しばらく、そんな様子だったので、アメルーミラは、ユーリカリア達が食べ終わったり飲み終わったりするのを見て、慌てて給仕をしていた。




 ある程度食べたり飲んだりすると、流石に女子が多い為か、飲み食いを楽しみだした。


 お腹が落ち着いたところで、味を楽しむ事ができた様で、食べ物の感想をお互いに話し出していた。


 このおやつは、アメルーミラが、ジューネスティーンに言われた通りに準備をしておいたのだ。


(ユーリカリアさん達、とても美味しそうに食べていると言うより、貪る様に食べているわ。 これを飲んだり食べたりしたいと体か勝手に動いているみたい。 ジュネスさんは、こうなる事を予想して、私に、甘い物を用意する様に言ったのかしら。)


 なんで、昼食前に、そんなに食べるものが必要になるのかと思っていたのだが、ユーリカリア達の様子を見ていたら、納得できた様だ。


 アメルーミラは、落ち着き出したユーリカリア達に、お代わりが必要かどうか聞いたり、空になったカップにお茶を注いだりしつつ、ユーリカリア達の世話をしていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ