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訓練3日目の朝

 

 3日目の訓練となった。


 ユーリカリア達の訓練は、Aランクパーティーという事もあり順調に進んでいた。


 当初は、この訓練で脱落者が出るかと、シュレイノリアは考えていたようだったが、初日の訓練で、全員が実際の戦闘でも問題無いと判断したのだ。


 ヴィラレットのようにFランク冒険者がメンバーの中に入っていても、一緒に魔物を倒す事から、圧倒的に倒した魔物の数、その経験が大きくものを言っているのだ。




 アメルーミラが朝食の準備をしていると、ヴィラレットが起きてきた。


「おはよう。 ルーミラ、早いわね。」


「おはよう。 ヴィラ、私は、これが仕事だから、サポートは、しっかりやらせてもらいます。」


 笑顔で答える2人。


「何か、手伝おうか? 」


「そうね。 もう直ぐ料理も用意できるから、食器を準備しておいて。」


「任せて。」


 ヴィラレットは、言われた通りテーブルに食器を用意していると、メンバー達が、次々と起きてきた。




 料理の鍋を移動させて、簡単に盛り付けた料理を、テーブルに並べ終わると、使っていた調理道具を、アメルーミラは、集めて、簡易的に作られた流台に持っていくと、アメルーミラにならって、ヴィラレットも同じように、使わなくなった鍋等を持っていく。


 アメルーミラは、使わなくなった調理器具を桶に入れると、水魔法で水をはる。


 それを見ていたヴィラレットは、感心した様子で、その水魔法を見ていた。


「ふーん。 水魔法は、うまく使えて居るみたいね。 あの時、ズボンを濡らした甲斐があったわね。」


 そう言って、アメルーミラを揶揄いながら、軽く笑うと、アメルーミラを手伝うように、桶に入れた調理道具を洗いだした。


「もう。 あの時の事は、やめてよ。 今でも恥ずかしんだから。」


「だって、太ももの上だったから、なんだかねぇ。」


 そう言われて、アメルーミラは、顔を赤くする。


「だから、やめてったらぁ。」


 ヴィラレットとしては、同い年の女子がいる事で、他愛もない会話ができる事が嬉しいのだ。


 時々、2人だけで話をする事が、友達と会話をしているようで、楽しいらしい。


 後から起きてきたメンバー達は、そんなアメルーミラとヴィラレットが、楽しそうに片付けをしているのを微笑ましく見つつ、テーブルについていった。




 全員が揃って朝食を済ませると、ユーリカリアが、ジューネスティーンに話しかけてきた。


「なあ、昨日の午後は、随分と楽になったが、何かあったのか? 」


「ええ、どうも、監視がついたみたいでした。」


「ほーっ、そうだったのか。 そんな事もわかってしまうのか。」


 ユーリカリアは、感心した。


 周りの地形を考えたら、監視できそうな場所はユーリカリアも分かっているので、そっちを意識した。


「それで、今日は、どうするんだ。」


 ジューネスティーンは、シュレイノリアの顔を見ると、それに反応してシュレイノリアは応えた。


「魔法の底上げは終わっている。 あとは、ジュネスの戦術に関する対応だけになる。」


 シュレイノリアは、必要な魔法を打てるように魔力の底上げを行わせ、そして、自分達に、どれだけの魔法に関する力がついたのかを、認識させることにあった。


 シュレイノリアは、ユーリカリア達に、今回の討伐に耐えられるだけの力がついたと判断したのだ。




 ただ、ジューネスティーンは、ツノネズミリスの討伐の方法について、最終的に囮を使うのか、アトラクトを使って誘き寄せるのか悩んでいたのだ。


 シュレイノリアのアトラクトが、広範囲に生息しているツノネズミリスに、どれだけ有効なのかと、かなり遠くまで届くのか、気になっていた。


 また、遠くまで届いたとしても、1万匹の内の、どの程度の数まで誘き寄せられるのかは、実際にツノネズミリスと対峙してみなければ、判断ができない。


 シュレイノリアのアトラクトは、ぶっつけ本番になってしまうので、そんな不確定要素の多い魔法になってしまうのなら、出来れば、使いたくは無いと考えているのだ。


 そうなると、最悪、アトラクトが使えなかった場合は、囮りを使って、誘き寄せる事になる。


 その時の備えを行う事が、今は、重要になってくるのだ。




 ジューネスティーンは、少し考えてから、ユーリカリアに答えた。


「ええ、もう少し実戦的な事をしようと思ってます。 なので、今までのように、大量に魔法を使う事はありません。」


「そうか。 こっちは、それについて行くだけだから、何でも言ってくれ。」


 ユーリカリアもツノネズミリスの討伐に関する戦略は、ジューネスティーンの能力が有れば、自分達は、それを忠実に実行するだけで問題無いと判断したようだ。


 最初は、ユーリカリアの心の中に、少し抵抗は有ったのかもしれないが、訓練をしているうちに、基本戦略は任せて、そのジューネスティーンが考えた戦略で、気になる事を指摘する程度で良いと思ったのだろう。


 大掛かりな戦闘なら、ジューネスティーンに全権を任せてしまった方が、自分が口出しするより良い、安全係数を考えれば、自分で戦略を練るより、ジューネスティーンに任せてしまった方が、確実に生存率は高くなる。


 年齢的には、85歳(見た目は24歳)のユーリカリアだが、ジューネスティーンは、22歳程度の若造なのだが、知識量は、自分より遥かに上だと思っている。


 自分が思い付かないような戦略や戦術もだが、それ以上に、様々な、知識を有しており、それを活用する能力にも長けている。


 初見の魔物である、ツノネズミリスについても、知識として有している内容を駆使して、自分たちの戦力分析から、有効な手段を考えられる。


 そんなジューネスティーンに対して、絶対的な信頼をユーリカリアは感じてしまったのだ。


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