追跡隊 〜ツカラ平原に到着する3人〜
ツカラ平原の近くに到着した3人は、街道沿いから、ツカラ平原を見つつ、ゆっくりと移動いている。
コリンは、街道沿いから周辺を見渡していると、何かを見つける。
「多分、あれが、目印だろう。 あの先に、駐留軍の先行偵察隊が、ジューネスティーン達を監視している。」
そう言うと、その方向に地竜を向かわせる。
メイミンとアンミンを通じて、メイカリアから駐留軍の先行偵察隊との連絡が取れていて、街道から先行偵察隊の目印を用意しておいてもらったのだ。
その目印の側に行くと、方向を示すように石が置かれており、その方向を見ると、更に目印があった。
2つ目の目印まで移動する。
そこには、不自然に地面に木の棒が刺さっているのだが、その位置に行くと、二つコブのようになった丘陵の谷間に人が居る事を確認できた。
コリンは、その人の方に、地竜を向かわせる。
その後をメイミンとヲンムンが続く。
コリンが近付いて行くと、そこにキャンプをしていた3人が気がついた。
コリンが士官の軍服を着ていることで、キャンプをしていた3人は、敬礼をした。
コリンもその敬礼を見て、駐留軍の先行偵察隊だと認識すると、表情を緩めて、キャンプをしている3人の方に行く。
コリンは、メイミンを通じてメイカリアと連絡を取っていたので、ツカ辺境伯領の駐留軍から派遣された偵察隊の事を知っていた。
そして、定期報告を行っていたので、偵察隊への連絡要員が、到着時期を伝えに来ていたのだ。
コリンが、偵察隊の元に行くと、地竜から降りて敬礼をする。
3人とも、下士官で階級もヲンムンより下だとコリンは確認すると、声をかける。
「急な任務にも関わらず、対応してくれた事に感謝する。 それで早速で悪いのだが、こちらとしても、直ぐに状況が知りたいのだ。」
コリンは、早速、今のジューネスティーン達の状況を確認する。
「はっ! 先程まで、魔法の訓練と思われる行動をとっておりましたが、今は、休んでいるところです。」
3人の下士官の中で中央に居た1人が、コリンの質問に答えると、直ぐにコリンは、次の行動に移る為に、下士官に指示を出す。
「そうか。 では、監視場所の確認をさせて欲しい。」
応対をした兵士は、隣の兵士に指示を出す。
コリンは、ヲンムンを呼ぶ。
「サイツ軍曹。 今のうちに監視場所の確認を行っておいてくれ、明日から、我々が、監視を引き継ぐ事になるのだ。 詳しく話を聞いておいてくれ。」
ヲンムンは、黙って敬礼をすると、呼ばれた兵士とヲンムンは、丘の頂上の方に行く。
ヲンムンが移動すると、コリンは、残った2人に話しだす。
「それと、諸君らが見たジューネスティーン達の行動を教えてほしい。 帝都の情報部に報告する。」
「はい。 それは構いませんが、その前に注意事項がありますので、報告は、その後でよろしいでしょうか? 」
兵士は、上官であるコリンの方針にを遮るように切り出した。
「なんだ? 」
「実は、このツカラ平原なのですが、サーベルタイガーの魔物が、数匹現れたと報告されております。 我々も、今日の昼に到着した次第でして、サーベルタイガーを確認しておりませんが、ここでキャンプを張るなら、まず、サーベルタイガー対策を行わないと、偵察中にサーベルタイガーに襲われる可能性があります。」
サーベルタイガーと聞いて、コリンもメイミンも表情が変化する。
サーベルタイガーの魔物は、Bランクの魔物ではあるが、限りなくAランクの魔物に近いとされている魔物で、B+とされている。
東の森の魔物より、僅かに弱い程度とされている魔物が、このツカラ平原で目撃されているのだ。
もし、そんな魔物に遭遇したら、命の保証は無い。
見つけたら、直ぐに逃げる必要があるのだ。
そんな魔物が目撃された場所でキャンプをするのは、自殺行為に近い事なのだ。
「なるほど、そう言う事なら、我々の出番だろう。」
「メイミン曹長。 私と一緒に、この周辺に魔物避けの魔法を施しておこう。 東の森の魔物と同等の間隔で、魔法を設置する。 後、魔物避けの魔道具は、持っているか? 」
「ええ、今回の偵察では、キャンプになる事も想定しておりましたので、収納魔法の中に入っております。」
メイミンは、そう言うと、収納魔法を展開すると、魔物避けの魔道具の棒を出した。
それを聞いて、兵士は安心した様子を見せた。
「ありがとうございます。 魔法士部隊の方が居らしたことで、我々も安心して任務遂行できます。」
兵士のお礼を聞いてから、早速、コリンとメイミンは、キャンプ周辺に魔物避けの魔法を付与していく。
しかし、サーベルタイガーの魔物については、ジューネスティーン達によって、5匹、全てを討伐されているのだが、ここに居る偵察隊も、ツカ辺境伯寮の駐留軍も、サーベルタイガーが倒されている事は誰も知らない。
その為、コリンとメイミンは、東の森の魔物に対する、最大級の魔物避けの対策を施した。
作業が終わると、コリンは、メイミンに話しかける。
「メイミン曹長。 アンミン曹長と連絡は取れるか? 」
駐留軍の偵察隊にも聞こえるように、メイミンに声を掛けたのは、彼女が魔法を使って通信することを、周りに、分からせるために行ったのだ。
ただ、先行偵察隊も今日の昼に到着したのであれば、今日の半日分だけとなる。
コリンは、少々ガッカリしたが、直ぐに、思い直したようだ。
帝都から300kmとなれば、ツカ辺境伯領から200kmは有るのだ。
自分達が出発した後に、ツカ辺境伯寮の駐留軍と連絡を取って、先行偵察隊を出してもらったのだ。
ツカ辺境伯領は、ツノネズミリスの大量発生によって、駐留軍は、その対応を行なっているのだ。
そんな中で、帝国軍本部の情報部からの依頼で、人を派遣したのだから、現場の指揮官としたら、突然の緊急依頼は、面白く無い依頼だっただろう。
そのような状況下で、自分達より、半日早く、偵察任務に当たってくれた事を、ありがたく思う事にするのだった。
そんなコリンの思いを、気にする事なくアンミンは答える。
「アンミン曹長に連絡いたしました。 キツ中佐にい、つでも報告可能です。」
それを聞いてコリンは、安心すると、先ほど対応してくれた兵士に声を掛ける。
「それでは、今までのジューネスティーン達の行動を教えてほしい。」
2人の偵察隊に、今までの、ジューネスティーン達の行動を話させ、その話を、アンミン曹長とメイミン曹長経由で、メイカリアに伝える。
ギリギリのところで、ジューネスティーン達に追いつき、彼らが何をするのか、今まで駐留軍の偵察隊が見た事を伝えるのだった。




