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剣 〜仕上げ〜


 ジューネスティーンは、昨日、作った剣の鏡面仕上げを行なったが、刃の片側だけを仕上げただけで終わらせていた。


 昨日は、夕方になった事もあり、シュレイノリアがつまらなそうにしてしまった事もあって区切りの良いところで終わらせていた。


 そして、一夜明けて鍛治工房にはジューネスティーンが1人で入ってきた。


 シュレイノリアは、自分の事をすると縫製工房の方に行ってしまっていた。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアが、昨日の鏡面仕上げをするのに時間が掛かり過ぎて飽きていた事もあり顔を出さないのだろうと思っていたが、それよりも自身の興味は片面だけ仕上げた剣にあり、作業台の建具に乗せておいた研ぎかけの剣を見ると、それを手に取り昨日の仕上がり具合を確認した。


 その際、自身の目に魔力をこめていた為、左目の周りに淡く光の魔法紋が現れていた。


「うーん、やっぱり、拡大してみると紋様のある場所の方が、微妙に傷が残っているみたいだな」


 剣を見つつ、ジューネスティーンは呟いた。




 剣の紋様の出来た部分については、焼き入れが弱い事もあり、仕上げの砥石で擦った際、焼き入れが完全に入っているところより軟らかいという事になるので、仕上げの砥石によって、砥石でできる目で確認できることのできない細かな傷の入り方が違ってくる。


 金属の硬い軟らかいによって、軟らかい部分は深く入ってしまっていた。


 要するに、硬い土に杭を打つか、軟らかい土に杭を打つかの違いが現れたのだ。


 石で作られた砥石なら、表面を拡大すれば石の粒子による凹凸があるので、硬い部分は砥石の粒子が入りにくく、焼き入れが水蒸気によって緩く入った紋様の部分は砥石の粒子が入りやすかった。


 その違いが、動物の皮で作られた、目の細かい砥石で研ぐことで、仕上げ用の石から作った砥石による傷の深さの違いが現れたのだ。


「シュレは、この違いについて気がついてなかったのかな」


 ジューネスティーンは、鏡面仕上げを行う際に仕上がり具合を確認しつつ研いでいたので、そのわずかに残った仕上げ砥石で出来た傷も確認していた。


 鏡面仕上げを行うときに、一通り研いでは刃を間近で見て、何度も同じ事をしていたので違いを確認できていた。


 今日は、1人で研ぐ事になった事と、昨日の様子から反対側の刃の面も、これから鏡面仕上げを行う峰側についても、何回同じように磨がなければならないのかも、最初の1面の鏡面仕上げによって約何回擦れば良いのか予想できていた。


「今日は、昨日のように確認するのではなく、何度も同じように切先から鍔のところまで研いでから確認するか」


 ジューネスティーンは、見ていた剣に語り掛けるように呟き、また、剣を掲げると建具に戻し鏡面仕上げを行うための用意を始めた。




 用意が済むと、建具から昨日の剣をとって、まだ鏡面仕上げが済んでいなかった刃側の面を研ぎ始めた。


 今日は、毎回確認する事なく切先から鍔の元まで研ぐ事にしたので、鍔まで研ぐと直ぐに戻して切先から研ぎ出した。


 その回数を数えるようにしながら行なって、何回か同じように行なったところで研いだ面の確認に入った。


「うーん、後2・3回って、ところかな」


 そう言うと、同じように切先から研ぎ出し同じ事を3回行なってから、また、研いだ面を確認した。


 そして、舐め回すように見ると納得した表情を見せた。


 刃側の鏡面仕上げが納得できたので峰側の鏡面仕上げに入った。




 ジューネスティーンは、峰側の面も納得できる仕上がりになると砥石と桶も片付けると、今度は、剣を作るときに一緒に作っていた剣の組み立てに必要な金属の小物を棚から持ってくると作業台の上に並べた。


 刀身と柄の間に入るつば


 剣を鞘の中に入れた時に刀身が鞘に触れないようにするハバキ。


 鍔を固定するための切羽せっぱ


 剣と柄を固定して柄から刀身が抜けないようにするための目釘めくぎ


 目釘が抜けないようにするための目貫めぬき


 剣を作る前に必要な金属製の部品も用意しておき、完成後に最終的な調整をして組み立てようと考えていた。


 その金属製の部品を用意すると別の棚から細長い木の棒を持ってきた。


 その木の棒は、薄く細長い角材を2枚と、それより短い薄く細長い角材を2枚を取って作業台に持ってきた。


 薄い板は、長い方が鞘になり短い方は柄になる。


 持ってきた木材は、かなり軟らかく軽い木材を選んで購入していた。


 持ってきた長い方の木材に、剣の刀身がわを鞘にするための木材に当てた。


「うん。これだけの幅があれば剣の反りにも対応できるな。後は、反りに合わせて鞘になるように外側を削ればいい」


 持ってきた木材が、剣の反りに対応できるか確認し反りにも対応可能だと判断すると、剣にハバキを付けると、切羽と鍔を取り付けて、入るかどうかを確認すると、柄用の木材をなかごに当て、なかごの形を柄にするための板に印をつけると、早速、彫刻刀で、なかごが入るように削っていった。


 時々、なかごと合わせていたが、ちょうど良さそうな深さになると、もう一枚を同じように当てて削っていき嵌合できる事を確認すると、最後に目釘を差し込むための穴を開けた。


 柄を目釘で固定すると、握るために丁度良い大きさと形にする為に、重ね合わせた柄の板を削り始め、時々、握り具合を確認しながら削っていた。


 柄は、手で握る部分なので、角があると握り難い事から角を取って丸く削り、納得できる握り具合になると、柄を握り立てたり横にしたり、剣を返したりしながら振った時の事を確認すると剣を掲げて全体を確認した。


 ただ、目釘を止めている目貫めぬきが固定しずらいことが気になったように、その部分を見ていると、工房のドアが開いて、シュレイノリアが入ってきた。


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