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シュレイノリアの創造した魔法を使うフィルルカーシャ

 

 シュレイノリアは、フィルルカーシャに、火魔法を使わせるための前段階として、水魔法で水を集めさせたのだ。


 純粋な水は、電気を通さないので、シュレイノリアは、フィルルカーシャの集めた水に、電解液となるように別の成分を集めてフィルルカーシャの水の中に混ぜていた。


 電解液になったフィルルカーシャの水に、地面から金属の棒が2本錬成魔法で伸びていくと、フィルルカーシャの作った水球に刺さっていく。


 1本は、地面から出ると、そのまま、水球に刺さると、もう1本は、空中に浮かせ、水球を上空から刺したようになる。


 上と下から伸びている金属の棒は、接触する事なく、水球の中に刺さっていた。




 シュレイノリアは、地中にある金属を集めて金属の棒にして伸ばしていたのだ。


 一本は、水と地面をつなぐように、そしてもう一本は、地面から浮き上がって、水球から上空へと伸びているのを見て、フィルルカーシャと、それを見ているユーリカリア達も、何をしているのだろうと不思議そうに見ていた。


 錬成されて伸びていく金属の棒を見ているフィルルカーシャは、何が起こっているのか理解できずに不安な表情を浮かべていた。


「あのー、シュレさん。 何をしてるのですか? 」


 シュレイノリアは、そんな不安そうなフィルルカーシャの言葉を聞いても、全く表情を変える事なく、自分の錬成魔法を続けている。


「気にするな。 ちょっとした理科実験だ。 水から泡が出るから、その泡を、外に逃がさないように周囲に結界を張っておくのだ。 結界は、出てきた泡が外に逃げないようにと思っていると良い。」


 シュレイノリアは、フィルルカーシャにそう告げると、水球から外に出ている錬成魔法で、出来た上の棒に雷を発生させていたのだ。


 その雷が、水の上に伸びた棒に落ちると、水の中の棒から泡がブクブクと発生するので、フィルルカーシャは、慌てて、出てくる泡を外に逃さないようにイメージをするのだが、泡の発生量が、半端無く多いので、フィルルカーシャは、水球の中に発生してきた泡を、必死に押さえ込もうとしていたのだが、水球の中に徐々に空気の大きな泡が出てくる。


 結界を水球の外側に作るようにフィルルカーシャは、イメージしながら必死に水の中から出てくる泡を抑えている。


 泡が水から出る時に弾けて、その水滴が、時々、結界の内側を濡らして、結界の内側には、所々、水滴がついていた。


 だが、水の中から発生している泡の量が多すぎるのだろう、水滴が、ついている部分が徐々に広がっていくと、弾けた泡の水滴が、結界の内側まで届かなくなる。


 その泡の発生量にフィルルカーシャは押さえつけられなくなって、徐々に水球は大きくなっていく。


「ちょっと、シュレさん。 これ、抑えきれないのですけど。」


 フィルルカーシャは、恐る恐るシュレイノリアに話す。


「まぁ、気にするな。 気体が外に逃げ出さないようにだけ考えておけ。」


 フィルルカーシャは、言われるがまま、水球の中に2本の棒から出てきた泡を水球の中に閉じ込めようと必死になっているが、結界は、徐々に大きくなるので、フィルルカーシャは地面に結界が付かないようにと、徐々に、水球を高くするようにするのだが、大きくなる速度についていけなくなる。


「あのー、シュレさん。 そろそろ、限界かと思うのですけど。」


 シュレイノリアは、それを聞いて頃合いかと思ったのようだ。


 先程まで、断続的に起こっていた雷が止むと、水球に刺さった2本の棒から泡が出なくなる。


 上空に浮いた棒を地面に下ろすと、2本の棒を大地に戻すように、徐々に棒の高さが小さくなった。


 シュレイノリアは、棒が地面に付いていた部分から分解して地面に戻していたのだ。


「それでは、これからが本番だ。 お前が今、維持しているその水球の外側に有る結界を一気に小さくするのだ。 一気にだぞ。」


 その指示に従って、水球を中心に向かって縮むようにイメージを働かせたのだろうが、その縮む速度がシュレイノリアには、不満んだったようだ。


「遅い! もっと早く! 一気に半分まで小さくするつもりになれ! 」


「はい! 」


 シュレイノリアが、檄を飛ばしたのにフィルルカーシャは、驚いて反応すると、水球は一気に小さくなる。




 その結果は、内部に水分子が電気分解された気体で満載しており、水球と言うよりは大きな泡のようになっていた。


 それが、シュレイノリアの檄に反応したフィルルカーシャが、一気に3分の2程までに小さくしてしまったのだ。


 その結果、内部の温度は、800℃以上にまで上がってしまう。


 水が電気分解されれば、水素と酸素に分かれる。


 それが、一気に圧縮された事によって、水素の発火点を超えてしまったのだ。


 結界は、一瞬光った。


「えっ! 」


 フィルルカーシャは、何が起こったのかと思ったのだろうが、それよりも水素が発火点に達して燃え上がる勢いに自分の押さえつけようとしていた力を、大きく凌駕する力が中心から起こったことで、魔法の反応が打ち消され、内部からくる爆発が魔法を打ち破っていく感覚を受ける。


 何なのかと思う間も無く目の前を、炎が広がっていく様を目の当たりにする。


 ただ、その炎は、自分に降りかかる事なく目の前から、左右に分かれて自分の後ろに向かって行った。


 フィルルカーシャには、何が起こったのか、全く理解できていないが、直ぐにその炎は消える。


 だが、フィルルカーシャには、無限に近い時間に思えたようだ。


 横を見ると、シュレイノリアが杖を前にかざしていたが、爆発が収まると元に戻した。




 フィルルカーシャは、シュレイノリアを見上げる。


 身長120cmのフィルルカーシャからしたら、身長160cmのシュレイノリアに対して、頭一つ以上低いのだから、見上げることになるのだ。


 惚けた様子のフィルルカーシャに、シュレイノリアは、笑顔を向ける。


「これが、お前の実力だ。」


 そう言って、周りを示す。


 フィルルカーシャは、周囲を見渡すと、後ろにいた自分達のメンバーの手前に何やら土の壁ができているのと、その先にも同じように土の壁を見つける。


 その壁の向こうから、人の顔がうかがえた。


 それは、ホッとしたような表情のジューネスティーンだった。


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