魔法力の比較対象
ジューネスティーン達の魔法が、あまりに圧倒的だったので、気が付かなかったのだ。
それは、ユーリカリア達メンバー全員にも言えた。
ウィルリーンは、シュレイノリアに言われて、冷静に考えれば、昨日のような、規模の魔法を、あれだけの回数をこなせるような魔法士を、今まで見た事が無いことに気がついた。
シュレイノリアに言われて、シェルリーンも、今まで知っている魔法士の事を思い出したようだ。
「言われてみたら、昨日の、ジュネス達の魔法が凄すぎたけど、私たちの魔法も凄かったわね。」
シェルリーンが、ポロリと言う。
エルフである、ウィルリーンとシェルリーン、そして、ドワーフである、ユーリカリアとなったら、他の3人の亜人より、長く生きている。
長年生きている経験の中から見てきた魔法士について、自分の意見をシェルリーンが言うのだが、周りの亜人としたら、魔法士の最大戦力などを詳しく知ってはいない。
ウィルリーンの話と、シェルリーンの話を聞いたフィルルカーシャが、質問してきた。
「あのー。 どういう事なんでしょうか? 私達は、やっと魔法が使えるようになりましたけど、まだまだ、指示された課題を、やっとこなせた程度でしたから、まだまだ、初心者程度じゃないのですか? 」
フィルルカーシャとしたら、魔法について、まともに指導を受けたのは初めてだったのだ。
子供の時に魔法適性無しと判断されて以降、魔法に関する内容について教えてもらったのは、ウィルリーンから飲みで、その時も、結果として魔法が使えることは無かった。
先日、ジューネスティーン達に、魔法を教えてもらって、初めて使えるようになったのだ。
亜人の3人からしたら、魔法力のレベルなど、ウィルリーンの魔法しか詳しくは知らないのだ。
ウィルリーンの魔法は、一般的な魔法士より圧倒的に、高いことを考えれば、ウィルリーン、シュレイノリア、それとジューネスティーン達を基準に考えたら、その魔法力より、圧倒的に低かろうが、一般的な魔法士と比べたら、かなり、高いレベルの魔法を使えているのだ。
ジューネスティーン達とウィルリーンを、比較対象としてみてしまったら、自分達の魔法力は、まだまだ、駆け出しだと思えたのだ。
「そうです。 昨日だって、やっとの思いで、ついて行ったのです。 とても叶わないと思いました。」
フェイルカミラも質問してきた。
それを聞いて、シュレイノリアは、何を言っているのだと呆れたような顔をする。
「私達と比べてもらっては困る。 今なら、帝国軍魔法士を10人相手にしても、お前達1人でも、片手間で勝てるぞ。 冒険者パーティーの魔法士なら、100人居てもお前達1人に敵うものは居ない。」
シュレイノリアの言葉にユーリカリア達は、驚き、となりのメンバーの顔を見るのだが、お互いに本当なのか確認する為に、全員がウィルリーンを見る。
ウィルリーンは、何かを考えていたようだったが、メンバー達の視線を感じて、周りを確認する。
「確かに、シュレさんが言った通りだと、私もそう思う。 昨日のような、あんな数の炎の火魔法とか放てる魔法士は、我々だけだと思うわ。 昨日の課題をこなせる魔法士は、私達以外に居ないでしょうね。」
ユーリカリアのメンバー達は、信じられないという顔をするが、徐々に、自分たちの能力に自信が満ちてきたのか、表情が明るくなってきた。
ユーリカリア達メンバーの表情が、良い方向に変わったことで、シュレイノリアにも、一つ、アイデアが浮かんだようだ。
「お前達は、これから魔法職として登録を変更しても、誰も文句は言えないだけの魔力を持ったのだ。」
シュレイノリアが、ユーリカリア達に言うと、完全に吹っ切れたようだ。
「それでは、物は試しだ。 これから、一人一人に最大魔力で炎を放ってもらおう。」
シュレイノリアは、ウィルリーン以外のユーリカリア達メンバーに、自分の実力を知ってもらう必要があると思ったのだろう。
実際に最大火力の魔法を放たせて、自分達の付いた力を教える必要があると思ったのだ。




