ジューネスティーンの攻撃
ジューネスティーンは、パワードスーツを起動させると、レィオーンパードとアリアリーシャに、左側を回って、サーベルタイガーの後ろを取るように指示を出す。
「2人とも、無理はしないで、チャンスが有ったら、戦力を削ぐ程度の攻撃で構わない。 こっちも、組み合うようなことはしないから、時間を稼ぐ程度のつもりでいて! 」
「分かったわ。」
「うん。」
2人は、ジューネスティーンの指示通り、移動を始める。
2人の移動を見て、ジューネスティーンは、弓や魔法の攻撃の邪魔にならないように、2組のパーティーとサーベルタイガーの直線上を避けて、右へ回ってから、サーベルタイガーに向かった。
後ろで、ユーリカリア達が、何やら、話をしている様子だ。
初めて見るパワードスーツについて、ユーリカリアにフェイルカミラが話しかけている。
しかし、ジューネスティーンは、そんなことに構わずに、真っ直ぐにサーベルタイガーに向かった。
ジューネスティーンが、目立つように、真っ直ぐ進んだのだが、一番、後ろにいるサーベルタイガーが、左の方に移動を開始した。
左に回った、レィオーンパードとアリアリーシャの2人の方に移動を開始したのだ。
すると、サーベルタイガーの群れの中から、手前の1匹が、ジューネスティーンの方に歩き出した。
ジューネスティーンに向かったサーベルタイガーも、体全体を覆うパワードスーツを警戒をしているのか、ゆっくりと群れから離れた。
サーベルタイガーとしても、人や動物を襲うのだが、今までに襲った人が、装備していたのは、大半が革鎧程度で、本格的な鎧といっても、せいぜい、フルメタルアーマー程度だった。
防具を付けていても、部分的には、ガードの柔らかい部分がある事を知っている。
また、頭のカブトと言っても、サーベルタイガーの太い牙なら、貫通させることもできる場所を知っているのだ。
どんなに強力なカブトでも、前を見るために目の前の部分には、隙間があるので、その部分を狙えば、人など一撃で倒せることを、経験の中で知っていた。
動き出したサーベルタイガーは、大した警戒もせずに、ジューネスティーンが、1人で向かってくるのを迎え撃つために移動を開始したのだ。
ジューネスティーンは、キャンプの周りに張った紐を飛び越えると、群れから離れたサーベルタイガーが一気にジューネスティーンに向かって走り出してきた。
(多分、あの程度の牙なら、胸と頭の装甲は、貫通できない。 問題になるのは、胴体部分の鎖帷子の部分と、関節の内側部分に、牙と爪が入らないようにする。)
ジューネスティーンは、サーベルタイガーを剣で仕留める気でいる。
(とりあえず、両腕の盾を見せて、腹のガードが硬そうに見せよう。 右手は、剣を持って、居合斬りのつもりで、左手は、胸をガードして、上からの攻撃を誘った方がいいな。 飛び上がって頭を狙ってくれるとありがたい。)
ジューネスティーンは、右手で腰の剣の柄に手をかけると、左腕を胸の前に出すようにして、左腕の盾でガードするように身構える。
そんなジューネスティーンの姿勢を、気にすることなく、サーベルタイガーは迫ってくる。
サーベルタイガーは、ジューネスティーンに5m程に迫ったところで、飛び上がって、前足の爪と牙で襲いかかってくる。
(しめた。 これで、動きの変更はできなくなった。 後は、邪魔な腕をどかせばいい。)
サーベルタイガーとしたら、たかだか、人らしきものが、自分達の餌として前に出てくれた程度だったのだろう、全く警戒することなく、飛び上がって、パワードスーツの頭に襲い掛かろうとしてきたのだ。
その飛び上がった瞬間にジューネスティーンは、左腕を広げて、前面のガードを無くす。
サーベルタイガーは、前に有った邪魔な腕が無くなって、頭への攻撃が可能となったと思ったのだろう、牙で頭に攻撃を加えるため、両前脚は、相手の体を押さえつけるように前に出した。
それによって、前脚で隠れていた首筋が、ジューネスティーンから見えるようになった。
ジューネスティーンは、間合いをみて、右腕を一気に前に出しながら、腰の剣を引き抜いて、魔物の首を狙った。
サーベルタイガーとしたら、チャンスと思って、腕の狙いを胸に変更していた。
ジューネスティーンを腕で倒しつつ、頭を自分の鋭い牙で噛みついて、致命傷を負わそうと行動していたため、剣に対する対応が遅れた。
(よし、手応えありだ。)
ジューネスティーンの右腕が動いたと思った瞬間には、襲ってきたサーベルタイガーの首は、胴体から切り離されていた。
ジューネスティーンが、2匹目のサーベルタイガーの首を切り落としたことで、残りは、3匹となる。
そのうちの1匹は、左に迂回したレィオーンパードとアリアリーシャの方に、的を絞ってくれたので、ジューネスティーンの相手は、2匹となった。
(これで、こっちは、2匹だけになった。 キャンプの方の攻撃と、うまく連携を入れて、分散させるか? いや、レオンとアリーシャの2人を追いかけたのが、1匹なら、ここは、時間稼ぎをして、囲い込んだ方が確実に倒せるか。)
ジューネスティーンは、2匹のサーベルタイガーの魔物と、距離をとって、キャンプの方からの牽制攻撃を頼り、動きを止めさせるようにした。




