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夜襲


 鳴子の音に反応して、少しずつメンバーたちがテントから出てくる。


 アメルーミラの後は、レィオーンパードとアリアリーシャが2人に合流すると、ユーリカリア達もテントから出てきた。


「何が来たの? 」


 アリアリーシャが、ヴィラレットに話しかける。


「いえ、暗くて見えませんでした。」


「そう、でも、何かいるわね。 獣か、魔物か。 人ではないわ。 それも複数居る。 足音を殺しているから、数までは確認できないわ。」


 アリアリーシャが聞き耳を立てている。


「レオン。 あなたの目はどうなの? 」


「こっちも、夜だと、難しい。」


 全員がテントから出ると、ヴィラレットの周りに集まった。


 手には、全員、獲物を持っている。


 アリアリーシャが、シュレイノリアの顔を見ると、周囲をシュレイノリアに確認させる。


「シュレ、サーチで周りを確認できる? 」


 シュレイノリアは、アリアリーシャに言われる前にサーチを使っていたので、直ぐに周囲の状況を答えた。


「魔物。 それも、5匹居る。 お前達が、見ている方に固まっている。 結構、大きい個体だ。」


 シュレイノリアが言うと、ウィルリーンが、提案する。


「では、私が視界を確保します。」


 そう言うと、杖を胸の前に掲げると、詠唱を始める。


「太陽神よ、夜の神の聖域に僅かの光を与えたまえ。 シャイン!」


 ウィルリーンは、杖を頭上に掲げると、自分達の周囲100m程を照らした。


 ヴィラレットの見ていた先の方に、5匹のサーベルタイガーの魔物が、様子を伺っていた。


 魔物は、鳴子の音に驚いて、警戒したようだったのだが、その先には、自分達の獲物になるかもしれないものが居ると思って、じっと、様子を伺っていたようだ。




 魔物は、ウィルリーンの魔法で周囲が突然明るくなった事に、一瞬、怯んだようだが、目が慣れてくると、ジューネスティーン達を睨んでいた。


 魔物の体長は、約3mと大型の魔物だ。


 東の森の魔物とはいかないが、この魔物も高ランクの魔物になる。


「シュレ、アイスランスでやれるか? 」


 ジューネスティーンが、シュレイノリアに、砲弾型アイスランスを使って倒せるか聞いた。


「やってみる。」


 すると、鳴子の紐が張ってある、直ぐ先の上空に、魔法紋の光が現れると、砲弾型アイスランスが現れ、直ぐに消える。


 一番、手前の魔物の頭にアイスランスが炸裂して、その魔物の頭を粉砕したので、その魔物は倒れた。


 倒れた魔物は、体の表面から黒い霧が炎のように上がった。




 その状況を残りの魔物も確認していた。


 すると、シュレイノリアが、次弾を発射しようと、同じように魔法紋を展開すると、4匹の魔物はジグザグに動き出す。


 その動きには、規則性も無い。


 すると、今度は、シュレの砲弾型アイスランスは、地面に落ちて砕けたのを確認すると、魔物は、動きを緩める。


 ジューネスティーン達を、襲おうと思っているのだろうが、その機会を伺っているのだ。


「最初の攻撃で、砲弾型アイスランスを見極めたようだ。 次弾の時、魔法紋と同時に回避行動に入っている。」


「ああ、知恵のある魔物のようだ。 一発で砲弾型アイスランスの回避方法を考えたみたいだな。」


 シュレイノリアとジューネスティーンが、魔物について評価を話していると、ユーリカリアが、話しかけてきた。


「魔物の評価はわかった。 あれも東の森の魔物とはいかないが、それなりに高ランクだ。 それが、4匹だとかなり厳しいぞ。 接近戦は避けたほうがいい。 あの牙と、足の爪はかなり厄介だ。 それに今の動きを見ただろ。 飛び道具にもああやって狙いを定めさせないんだ。」


 ジューネスティーンは、対応策を考えると、直ぐに作戦の指示を出す。


「遠距離攻撃で牽制します。 魔法と弓、アメルーミラのスリングショットで牽制してほしい。 倒せなくても近寄らせなければそれで良い。 後、シュレ、俺とレオンと姐さんのパワードスーツを出してくれ。」


 ジューネスティーンの指示を聞いて、周りは牽制の為の行動に入るが、ユーリカリアが、ジューネスティーンに聞く。


「牽制だけって、そのあとはどうするんだ? 」


 ユーリカリアが、聞いている間に、シュレイノリアが、少し後ろに収納魔法の魔法紋を展開すると、そこからパワードスーツが3体浮かび上がった。


「3人で撃って出ます。」


「撃って出るって、どう言うことだ。」


 周りが、牽制の為の攻撃を行い始めると、魔物達も攻撃を仕掛けるタイミングを図っているようで、隙ができると、そこを突こうとしてきた。


 ただ、その都度、威嚇の矢が飛んでいったり、魔法が落ちるので、魔物達は近寄れずにいる。


 シェルリーンの矢も魔物の体に刺さってはいるのだが、致命傷を与える程に至ってない。




 その状況を見て、ジューネスティーンは、アリアリーシャとレィオーンパードの2人に指示を出す。


「ちょっと、時間的に着替えている余裕は無さそうだから、そのまま、パワードスーツででる。 それとあれだけの大きさだ。 組み合うような事にならないようにな。 2匹まで数を減らすまでは、回避してくれ。 2人のスピードで翻弄して、徐々に攻撃力を削れば良い。」


 2人は頷くと、それぞれ、自分のパワードスーツに乗り込む。


 2人が乗り込んだのを確認すると、ジューネスティーンが、外側を回ってというジェスチャーをすると、2人はホバーボードに乗って、左側に回って進んでいく。


 ジューネスティーンは、右に回ると、一番、近くの魔物に向かおうと、ホバークラフトを使って地面を滑空する。


 その姿を見たアンジュリーンが、残ったメンバー達に指示を出す。


「3人が出たわ。 攻撃は3人に当たらないようにして! こっちの攻撃は、魔物の移動を阻害すればいい。」


「分かった。 魔物の鼻面に攻撃を加えればいいな。」


 ユーリカリアが答えると、ユーリカリアは雷魔法を魔物の鼻面に落とす。


「リーダー! あれはなんです? フルメタルアーマーとも言い難い鎧ですよ。」


「それに、あんな物が、何でこんな短時間で装備できるんですか? しかも、3体ですよ。」


 ユーリカリアに、フェイルカミラとフィルルカーシャが聞くが、ユーリカリアは、ムッとした表情をした。


「ふん。 私にわかるわけないだろう。」


 ユーリカリアが不貞腐れたように話すと、その会話にウィルリーンが割り込んできた。


「そんな事はどうでも良いです。 それより、あの魔物4匹をどうするかです。」


「いえ、今、ジュネスが1匹倒しましたから3匹です。」


 シェルリーンが、状況を確認した事を伝える。


「あんな魔物、私たちだけじゃ、3匹でも無理です。 それよりも、3人のフォローですよ! 」


 ヴィラレットが、自分の魔法では、全く威力が無く、当たっても軽傷しか与えられないので、少し焦り気味に言ってきた。


「気になる事は、後にして、今は、魔物の殲滅に集中しよう。」


 ユーリカリアが話をまとめると、魔物の殲滅の為に、弓と魔法を駆使して、魔物を自由に動き回れないように、牽制することに集中した。




 ジューネスティーンは、右に回ると鳴子の紐を飛び越えて、迂回して魔物に迫る。


 右にいた、1匹の魔物が、ジューネスティーンに気がつくと、直ぐに向かっていくのだが、ジューネスティーンは、向かってきた魔物を、居合斬りで、魔物の脇を抜けるようにして首を落とした。


 そして、直ぐに、次の魔物に向かった。


 残り3体の魔物を倒さなければ、今夜は眠る事ができない。


 そうなると、明日からの訓練に差し支えるのだ。


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