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キャンプの歩哨

 

 キャンプでの食事の後は、軽く団欒をしたのだが、明日の事もあり、早めに寝ることになる。


 野営なので、歩哨についての話となる。


「今日は、野営の初日ですから、自分達が順番で立つことにします。」


 ジューネスティーンが、ユーリカリアに歩哨の話をするのだが、ユーリカリアは、右手を前に出して、ジューネスティーンを制した。


「いや、今日は、私達が順番で行うようにするよ。」


 ジューネスティーンは、先輩冒険者で、しかもランクも自分達より上のユーリカリア達に、歩哨を任せるのは、心苦しく思ったジューネスティーンは表情に出た。


「ジュネス。 明日から、私たちは、範囲攻撃魔法の訓練になるんだ。 明日の訓練がどんな物なのかは分からないが、多分、私達は、初めての訓練となると、疲れ方がどうなるか分からない。 万一、歩哨が寝てしまったりしたら、大変な事になりかねないからな。 今日は、私達にやらせてもらえないか。 その代わり、明日は、ジュネス達に頼むよ。」


 ユーリカリアは、明日からの訓練を考えると、今まで自分達は行った事が無い、魔法の訓練となるのだ。


 ユーリカリア達は、ウィルリーン以外は、魔法を覚えて数日しか経ってない。


 そんなメンバーが、丸1日、魔法の訓練を行ったらどうなるのか分かったものでは無い。


 魔法の訓練が、精神的、肉体的な負担を考えたら、訓練について行くだけで精一杯になるかもしれないのだ。


 そんな状況で歩哨になったとして、歩哨の仕事がまともにできるのか分かったものではないなら、訓練前は、自分達で行って、その後は、ジューネスティーン達に、お願いした方が安全だと考えたようだ。


 ユーリカリアの考えを聞くと、ジューネスティーンは、シュレイノリアを見る。


「その方が良い。 彼女達がマナを使い過ぎてしまう事も考えなければならない。 うちのメンバー達なら、限界は分かっているが、ユーリカリア達は、つい最近、魔法を覚えたばかりだ。 夜は、ゆっくり休ませたほうが良いだろう。」


 ジューネスティーンは、それを聞いて納得した様子を見せるのだが、ユーリカリア達は、シュレイノリアの言葉に、明日の訓練がどんなものになるのか心配になったようだ。


(明日からの訓練って、どれだけハードなんだ。)


 ユーリカリア達は、言葉には出さなかったのだが、シュレイノリアの言葉で、どんなスパルタな訓練になるのか、倒れてしまう人まで出るのではないかと、心配になってしまったようだ。


 ユーリカリア達は、そう思うと、今日は歩哨に立てるが、翌日、翌々日の歩哨には、立てるか心配になったようだ。


 ユーリカリアのメンバー達は、今のユーリカリアの提案を、助かったと思った反面、明日からの魔法の訓練が、どれだけハードなのかと考えてしまったようだ。




 歩哨とは言っても、実際には、かまどの火を絶やさないようにする程度である。


 後は、テントの周囲に張り巡らせた鳴子が有るので、鳴子が鳴ったら、状況の確認と対処の為に寝ている人達を起こす事になるだけなのだ。


 ジューネスティーンは、鳴子についての説明をする為、ユーリカリア達を、鳴子の場所に連れて行く。


「この周りに張り巡らせてある紐に何かが引っ掛かれば、この鳴子が鳴るようになります。」


 そう言って軽く紐に足をかけると、その振動が伝わって鳴子が甲高い音を立てる。


「ああ、なるほどな。」


 ユーリカリアは納得する。


「でも、風なら、こんな鳴り方はしませんから、けたたましく鳴ったら、何かが引っ掛かったと思ってください。 それと、夜ですから、1人で対応する事はせず、必ず、全員を起こしてください。」


「そうさせてもらおう。 でも、この鳴子の音なら、寝ていても分かりそうだな。」


「ええ、自分もそんな気がします。」


 そう言うとかまどの近くのテーブルに戻る。




 そのテーブルには、ポットとカップ、それと、茶筒が3個置いてあった。


「夜は、冷えますでしょうしぃ、それにぃ、眠くなったりぃしたらぁ、使ってくださいぃ。」


 アリアリーシャが、自分の趣味的に持ち歩いている茶葉を少し出してくれたのだ。


「後、同じだと、味気ないでしょうからぁ、色々な味を味わえるようにぃ、3種類用意しましたぁ。 夜の番をする人用に使ってくださいぃ。」


 アリアリーシャが、ユーリカリア達の為に用意してくれたのだ。


 かまどの火を使えば、お湯も沸かせる。


 ユーリカリア達は全員水魔法も使えるので、水を汲みに行く必要もないのだから、水がなくなれば、魔法で集めることも可能なのだ。


 あとは、火魔法を使えないユーリカリアも居る事もあるが、暖を取るにしても、灯りを取るにしても火は必要となるので、かまどの火は絶やさないようにと伝える。


「ああ、それと、これ使ってください。 6人で順番なら、自分達が使ってた砂時計です。 1時間半位で砂が落ち切りますから、睡眠の度合いにもよりますけど、大体、人が目覚めやすい時間です。 丁度良いと思います。」


 そう言うと、ジュネスは、テーブルの上に砂時計を置いた。


「そうか助かるよ。」


「それじゃあ、今日はお任せしますので、自分達はこれで寝させてもらいます。」


 ユーリカリア達に断ると、ジューネスティーン達は、自分達のテントに行く。


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