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ヲンムンの対応

 

 ヲンムンは、外で何か声がするので、その声に反応して目が覚める。


 時間は、まだ、日の出前で周りが、明るくなり始めた頃だ。


 ジューネスティーン達は、いつもなら日の出の後に起きてきて、朝食の後に活動を始める。


 ヲンムンとすれば、日の出と共に起きて監視を始めれば、十分に間に合う。




 アメルーミラの情報では、今日、ツカ辺境伯領に出かけることになっているのだから、彼らの行動パターンからして、日が上った後に行動に入るだろうから、いつもの様に日の出と共に起きれればなんとかなるはずなのだ。


 だが、外から聞こえてくる声には聞き覚えがある様な気がした。




 ヲンムンは、ベットの中で、一昨日の夜のアメルーミラの話を思い出す。


『明日は、1日準備に当たって、明後日に出発しますと、言ってました。』


(出発は、今日のはずだった。 しまった。 時間を聞いて無かった。 あいつらの行動パターンから、もっと後の時間だと思い込んでしまった。)


 ヲンムンは、慌てて、ベットから飛び起きると、窓に向かう。


 金糸雀亭の前に馬車があり、ジューネスティーン達が乗り込む所だった。


(最悪だ。 クソ! 追いかけなければ。)


 ヲンムンは、慌てて着替えつつ、窓の外を見ていると、ジューネスティーン達の馬車が出発する。


 着替え終わると、慌てて部屋のドアノブに手をかけると、思考も戻ってくる。


(まてよ。 まだ、日の出前だ。 帝都の全ての門は閉ざされている。 こんな早い時間に門に行っても、門の手前で開門待ちなら、まだ、てはある。)


 そう思うと、ドアを出て階段を駆け降りる。


 1階ロビーのカウンターには、金の帽子亭の従業員が居たので、部屋の鍵を渡す。


「直ぐに出る。 しばらく戻らなくなる。 それと俺の馬を用意してくれ。」


 そのヲンムンの表情を見て、受付にいた男は、驚いた様な顔をすると、慌てて頷くと奥に指示を出した。


 ヲンムンは、そのまま、金の帽子亭の表に出ると建物を回って、裏庭に行く。


 自分の馬の前に行くと、先程の受付と、もう1人が慌てて走ってくるのだが、慌てていたせいなのか、パジャマにガウンを纏ったままの状態で慌てて出てきた。


 2人は、慌てて、馬に鞍をつける。


 ヲンムンは、鞍が付くか付かないか、ギリギリのところで、馬にまたがると、そのまま、走り出して南門に向かう。


(奴らの動きから、行ったのは、南門だろう。 この時間に西門を使うのは、途中に、第5区画、第3区画、第8区画を通る必要がある。 開いているといっても門番はいるのだから、通行の際にこの時間なら止められる。 そう思ったから、あいつらは南門に行ったんだろう。 だが、なんでこの時間なんだ。)


 馬で走る。


 南大通りは、南門から皇城に達する道になる。


 皇城までは、途中に昼間は開け放たれた門が有るが、今は、朝も時間が早い為、全ての門は閉ざされている。


 ヲンムンは、南大通りに差し掛かると馬を止めて降り、建物の脇から南門を見る。


 南門は、閉ざされている。


 しかし、門の前には、誰も居ない。


(なんで誰もいない。 奴らどこへ行った! )


 ヲンムンは、また、馬に乗ると、南門に急ぐ。




 門の前に付くと、慌てて馬から降りると、門番の詰所のドアを叩く。


 この時間なら、門番も仮眠を取ったりしているので直ぐには出てこないのだが、ドアは直ぐに開いた。


 ヲンムンは、嫌な予感がする。


「俺は、帝国軍情報部の者だ。 今日、ここから出って行った馬車は無かったか? 」


 慌てたヲンムンを門番は驚いているが、情報部と聞いて慌てて答える。


「はい。 さっき、出しました。」


 ヲンムンは、イラッとした顔をすると、門番に食ってかかる。


「なんで、そんなことになるんだ。 こんな時間に門を開く理由があるんだ! 」


「いえ、昨日の閉門直前にギルドからの使いが来て、ツカ辺境伯領へのツノネズミリスの討伐に向かうから、朝早く門を開けてもらうための許可をと言われまして、ツノネズミリスなんて魔物に侵食されたらツカ辺境伯領は壊滅してしまいます。 そういう事で、早朝の開門を許可しました。」


 緊急性の高い場合なら、門の開門も許可可能なのだが、この様な場合は、報告が必要になるのだ。


「だったら、報告はどうなっているんだ。」


「ええ、昨日のうちに本部に届けましたが、報告に行った時には事務方が全員帰った後でしたので、報告書だけを置いてきております。 報告が上がるのは今日になるかと、思い、ま、す。」


 門番は、ヲンムンの表情がどんどん鋭くなってくるのを見て、だんだん、恐ろしくなってしまったので、言葉の最後の方は、途切れ途切れになってしまった。


「くそっ! 」


 ヲンムンは、イラつく。


 だが、ヲンムンは、次の対応策を考えなければいけない。


(これだけ、引き離されてしまったら、普通に追い付く事は困難だ。 くそーっ! こうなると、あいつの所に戻るしかないのか。)


「あのー? 」


 門番は、ヲンムンの顔を覗き込む。


「ああ、状況は分かった。 お前は、いつもの様にしていればいい。」


 そういうと、ヲンムンは、馬に乗ると、南門から、南大通りを走っていく。


(あいつら、こうもタイミングよく、こっちの動きを封じたもんだ。 くそーっ! )


 ヲンムンは、帝国軍本部に向かうことにした。


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