アメルーミラに地竜を慣れさせるシュレイノリア
アメルーミラは、自分の右手が、地竜の口の中で、舌で舐め回されているのがくすぐったいのだ。
その、くすぐったさに耐えるようにしているアメルーミラの頬は、少し赤くなり、目も虚になっていた。
流石に、そのくすぐったさに限界がきたのか、アメルーミラは、シュレイノリアに助けを求めた。
「あのー、シュレさん。 地竜さんに舐めるのをやめてもらうように、いっ、言ってもらえない、でっ、しょうか。」
「それをしてくれる相手は、ジュネスと私だけだったのだが、もったいない。」
シュレイノリアは、残念そうな顔をする。
「シュ、シュレさん。 さすがに、これは、ちょっと。 いや、やめて、これは、ちょっと、だ、だめです。」
アメルーミラは、恥ずかしそうに顔を赤くして恥じらっている。
それを見てシュレイノリアはしかたなさそうに、アメルーミラを見ると、地竜の鼻と目の間を軽く撫でると、地竜は、アメルーミラの右手を咥えた口を開くと、頭を後ろに下げるようにして、アメルーミラの手を口から離した。
アメルーミラは、自分の右手を見ると、地竜の涎の滴が糸を引くように垂れている。
流石に地竜のヨダレは嫌だったみたいで、垂れているヨダレを手を振って払うようにするが、完全には取れないのだが、どうしようかと悩んでいる。
(どうしよう。 右手、ベタベタしてる。 拭きたいんだけど、でも、さすがに服で拭くわけにもいかないし、困ったわ。)
すると、目の前にタオルが出された。
その手の先を見ると、地竜に鞍を付け終えたイドディーンが、タオルを持ってアメルーミラに差し出してくれたのだ。
「地竜は気に入った相手には、そうやって、手を舐めたり顔を舐めたりするんです。 でも、そんなに長くしゃぶられてるのは初めて見ました。 この地竜に、本当に気に入られたみたいですね。」
「ありがとう。」
アメルーミラは、出してくれたタオルで右手を拭く。
お互い、猫系の亜人なので、よくしてくれたのだろうと、アメルーミラは思ったようだ。
アメルーミラは、手を拭くとタオルをイドディーンに返す。
シュレイノリアは、地竜の鞍の様子を確認すると、アメルーミラに向く。
「じゃあ、地竜に乗ってもらおう。 お前の事は気に入ったみたいだから、上手に乗せてくれるはずだ。」
そう言って、地竜に付けられた鞍を叩く。
「エッ! 乗るんですか? そこに。」
「そうだ。 地竜に慣れるなら、背中に乗せてもらうのが一番だ。」
そう言って、地竜の鞍をポンポンと叩く。
アメルーミラは、地竜に乗る事が初めてなので、戸惑っているので、シュレイノリアは仕方がなさそうにすると、鞍に手をかけると片足をあぶみにかけて、跨いで乗ってしまう。
「ほら、こうやって、乗れば良い。」
シュレイノリアは、手綱を持つと地竜を前に歩かせる。
「こうやって、振動に合わせて体を上下させてやるんだ。 地竜の足並みに合わせて上下してやれば良い。 行きたい方向に手綱を引っ張ってやれば、地竜はそっちに向かってくれる。」
そう言って、裏庭を軽くまわって、アメルーミラの元に戻ってくると、シュレイノリアは地竜から降りると、手綱をアメルーミラに渡す。
「誰もが、初めてはある。 この子は、お前を気に入っているから、直ぐに乗れるようになる。」
そう言うと、地竜は、アメルーミラに顔を擦り付けてくるので、アメルーミラも少し落ち着いた様子になる。
「じゃあ、乗ってみます。」
シュレイノリアは、アメルーミラに地竜の横の場所を譲るとアメルーミラも覚悟を決めたようだ。
あぶみに足を掛けて勢いを付けて地竜にまたがると、反対側のあぶみにも足をかける。
「背筋を伸ばすようにする。」
シュレイノリアはアメルーミラに姿勢を教えると、アメルーミラもその通り背筋を伸ばす。
「脇腹を軽く挟むように叩いたり、手綱で肩を叩くようにしてあげれば、前に進んでくれる。」
アメルーミラは、地竜の腹をくるぶしで軽く挟むように叩いてみると、地竜はゆっくりと歩き出したので、アメルーミラは少し慌てるのだが、それを見たシュレイノリアが声をかける。
「歩く時に一緒に上下に動くんだ。」
アメルーミラは、言われるがまま、歩く時の振動に合わせて体を上下させる。
「そうだ。 その調子だ。 地竜に合わせる。 いい感じだ。」
アメルーミラは、恐る恐るだったが、思ったように地竜が動いてくれたので、徐々に楽しくなってきたようだ。
アメルーミラの表情に余裕ができてきているのを、地竜も背中で感じ取った様子なので、地竜は少し速度を上げたようだ。
地竜もアメルーミラが乗ってくれるのが嬉しいのか、背中に乗っているアメルーミラを見つつ裏庭を歩き回る。
アメルーミラの表情も嬉しそうである。
楽しそうに地竜と走り回っているのを見たシュレイノリアは、アメルーミラを呼ぶ。
「ルーミラ、こっちにきて。」
アメルーミラは、言われるがまま、シュレイノリアの方に来る。
シュレイノリアは、地竜の頬を軽く撫でてやると、アメルーミラをみる。
「ルーミラ、地竜には慣れたか? 」
「あっ、はい。 この地竜さんが、とてもよくしてくれたので、直ぐに乗れるようになりました。」
「地竜も、お前を気に入っていたようだから、地竜も、うまくリードしてくれたようだ。 もう少し、地竜と遊んでやってくれ。」
シュレイノリアは、アメルーミラに地竜を任せると、最初の荷物が届くまで、アメルーミラと地竜を見守っていた。




