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ルイゼリーンの考え


 重い表情をしているユーリカリアと、出張所の所長だが、自分達の考えている範囲では、対応できるパーティーは思い当たらないのだ。


 可能性のありそうな、ジューネスティーン達は、Aランクではないので、この依頼を渡すわけにはいかないのだ。


 思い表情の所長が口を開いた。


「そうだな。 でも、なんとか、範囲攻撃の出来る魔法士の派遣を頼む。」


「此方としても全力を尽くすよ。」


「宜しく頼む。」


 すると、ルイゼリーンは、ユーリルイスに小声で話しかける。


「私は、ユーリカリアさんに話をしてみます。 そろそろ、此方に見えると思いますので、受付の方に行ってみます。」


「ああ。」


 ルイゼリーンは、ユーリルイスの了解を取ると、鏡の中のツカ辺境伯領出張所の所長に挨拶をする。


「私は、これで失礼します。 最後のAランクパーティーに依頼の話をしてみます。」


「ああ、宜しく頼むよ。 ルイーゼ。」


 ルイゼリーンは、お辞儀をして退出しようとすると、所長が声をかけてきた。


「それと、ルイーゼ。 その耳、よく似合っているよ。 エルフ美人だと誰も疑わないよ。」


 所長は、直接的に褒めるではなく、遠回しにエルフ美人と言った。


 暗にルイーゼが美人だと言ったのだ。


「ありがとうございます。 お世辞でも嬉しいです。」


 そう言って笑顔を見せると、通信室を先に退出する。




 ツカ辺境伯領の出張所との定期連絡のための通信室から、出てきたルイゼリーンは、憂鬱そうな表情をしている。


 今の話では、通常の10倍は、発生しているのだ。


 そんな依頼をルイゼリーンに話さなければならないと思うと、ルイゼリーンの表情は暗い。


 ルイゼリーンには、危険度の、かなり高い依頼をユーリカリア達に、伝えないといけないと思うと、それだけで、重い気持ちになる。


(今回の依頼は、緊急性が高いのに、なんで、Aランク指定になっているのかしら。 でも、この依頼はなんとしても達成させないと、危機的な状況になってしまうわ。 こんな依頼こそジュネスのところのシュレの出番なのに。)


 そう思うと、やるせない気持ちになってしまったのだ。


 ユーリカリア達に依頼の話をするまで、ルイゼリーンは、憂鬱な思いをしていたのだ。




 ただ、ユーリカリア達に依頼の話をした後は、ユーリカリアのパーティーが依頼を引き受け、ジューネスティーンが、サブパーティーとしてユーリカリア達と同行できる事になったので、この依頼において、達成の可能性は、かなり高いものになった。


 ルイゼリーンも忘れていた、複数のパーティーで引き受けられる方法について、今まで忘れられていた事だったが、それに気がついた事で、一番討伐の為に必要なシュレイノリアを依頼に組み込むことができたのだ。


(これなら、このツノネズミリスの依頼も達成可能だわ。)


 ルイゼリーンは、達成の可能性が高くなったことを、心の中で喜んだ。




 ルイゼリーンは、会議室を片付けている。


 ユーリルイスとジューネスティーン達を使って、2パーティー合同での依頼とする事で、Aランクパーテイーの条件と、シュレイノリアという攻撃力を用意できたのだ。


 それと、506kmという長距離の移動も約半分の時間で移動可能な馬車も用意できているのだ。


 所長の話では、日々、魔物が増えているとの事だったので、到着が遅れればその分魔物の数も増えてしまう事になる。


 1日でも早い方が討伐は楽になるはずである。




 ただ、サレンカレンについては、困ったものだと思うのだった。


 自分の成績の為に、依頼を隠してしまい、自分の担当の冒険者に依頼を回すのは良いのだが、冒険者の能力と魔物の攻撃力をみて、達成不可能か可能かの判断が甘いのだ。


 ギルド支部設立と同時に職員として雇われたので、4年のキャリアなのだが、ツノネズミリスについての予備知識が不足していたのだ。


 本来であれば、このような事例について、受付嬢は頭に入れておかなければならない立場にあるのに、その知識がなかったのだ。


(ツノネズミリス討伐に必要なスキルは、これで彼女の頭の中に入ったみたいだから、それで良しとしよう。)


 ルイゼリーンは、前向きな考え方をすることにした。




 ユーリカリアとジューネスティーン達で対応するなら、討伐に対するリスクは大きく減るのだ。


 そう考えるとホッとするのだが、問題は、アメルーミラの動向になるのだ。


 情報部からの報告では、金の帽子亭のヲンムンと連絡を取っていると報告があったので、彼女がジューネスティーン達にどのような影響を及ぼすのか、気になるのだが、活動している内容については、スパイ活動だと報告を受けているので、命の危険は無いと考えると、今回の依頼に於いて妨害工作のような事は無いだろうと考えられるのだ。


 ただ、帝国軍がツノネズミリスの討伐に対して、ジューネスティーン達に対して妨害工作をしたとして、最終的に不利益を被るのは、大ツ・バール帝国とツカ辺境伯領となる。


 その状況で、帝国軍がジューネスティーン達に対して、アメルーミラを使って妨害工作をする必要性は感じない。


(そうよね。 メリットが無いわね。 アメルーミラを使うとするなら、ジュネス達の装備や魔法について確認させる事になるわね。 情報を集める事が目的なのだから、問題は無いわ。)


 ルイゼリーンは、自分の中で考えをまとめると、会議室を出て受付に戻ることにする。


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