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辺境伯領までの移動について


 ジューネスティーンは、シュレイノリアの話が始まってから、何となく嫌な予感はしていたようだったのだが、ウィルリーンの表情を見て、予感は確定に変わったことを実感したようだ。


「では、このツノネズミリスの依頼は、2パーティーの依頼ということで、引き受けていただけると考えてよろしいでしょうか? 」


「「はい。」」


 ジューネスティーンとユーリカリアは、ルイゼリーンに応えた。


「では、出発と到着は、どうなるでしょうか? 実際、ツカ辺境伯領までは、506km有りますので、通常なら、12〜15日は掛かると思いますので、こちらとしては早めに出発してもらいたいのですけど。」


「506kmなら、うちの地竜の足なら、7日で到着できる。」


 ルイゼリーンの話にシュレイノリアが応えた。


 その答えにジューネスティーンとアンジュリーンが、間にいるシュレイノリアを不安そうに見ていると、流石にシュレイノリアもその視線に気がついて、説明を加える。


「うちの、地竜の足なら、時速20kmで走らせられるだろう。 2時間走らせて、1時間休ませる。 これを1日4回繰り返すと、1日の移動距離は、80kmとなる。 6日で480kmなら、残り26km。 7日目に一度走らせれば到着できる。 後の時間は、予備として考えれば、7日目には十分に到着可能だ。」


 ジューネスティーンは、隣にいるシュレイノリアの話を聞いているだけになってしまった。


 何か、引っかかったようなのだが、特に考えることもなく、話を聞いていた。


 ただ、シュレイノリアは、間違えていたのだが、それについて、誰も気が付かずにスルーしている。


 気になった人もいたのだがろうが、すぐにレィオーンパードが、口を挟んできたので、周りは、そっちに気を取られてしまったのだ。


「じゃあ、休憩時間が無ければ、もっと早く到着できるってことなの。」


 レィオーンパードが、聞いたので、会議室の中の人は、そっちに気を取られてしまっていた。


「地竜は、生き物だ。 休ませてあげなければ、死んでしまう。 それに早足で走らせるのだから、カロリーもかなり消費する。 休憩中にそのカロリー摂取を行うようにするから、地竜に消化の良い物を与えてやらなくてはならない。 多分、走ると休むを上手く使う必要がある。 それに、乗車している私達も、時々、外で体を伸ばして休憩を取らなければ、体が持たない。」


 その説明を聞いて、ユーリカリア達は、前回乗せてもらった時のことを思い出したのだ。


 1時間弱の移動だったのだが、スピードと揺れによって、到着後に休まなければ、狩りにならなかった事を思い出したようだ。


 あの時は、1時間弱だったが、今度は、2時間とシュレイノリアが言っていたのを聞いて、その時の倍以上の時間、あの早さの馬車に乗るのかと思うと、うんざりしている。


 ユーリカリア達は、お互いの顔を見合わせて、あの時の2倍の時間を、あの馬車に揺られるのかと思うと、お互いに話を初めていた。


「おい、ヴィラレット。 お前、あの時、青い顔していなかったか。」


「はい、悲惨でした。 もう少し長かったら、多分、吐いてたと思います。 でも、そういう、フィルルカーシャさんだって、ひどい顔をしてましたよ。」


「ああ、私だって一緒だったよ。 あの時、誰か、1人でも吐いていたら、私も吐いていたと思う。」


 その時の事を思うと、あの距離が、自分達の移動に対する、ギリギリ、耐えられる時間だと思ったのだ。


 フィルルカーシャは、ヴィラレットに、そう言うと、反対側に座っているシェルリーンの方を向く。


「シェルリーン。 お前、あの時、カミューの腕を抱いていたけど、あれだと、気持ち悪くならなかったのか? 」


 シェルリーンもあの時の事を思い出して、嫌そうな顔をした。


「違いますよ。 あれ、気持ち悪くて、縋るような思いで、カミュルイアン様に抱きついていたんです。 とても揺れて、景色がすごいスピードで変わって行くから、目が回るようでした。 なるべく外を見ないようにしていたんです。 時々、喉の奥の方に、酸っぱいものが、上がってきてたんですよ。 それを飲み込んで、必死に耐えてたんですからね。」


 その話を聞いていた、フェイルカミラが、困った様子をする。


(彼女達にしても、あの馬車の揺れで、体調を崩した。 私だって、いつ、吐き出すかと思ってたんだ。 1時間弱であれなら、2時間も、あの状態が続いたら、・・・。)


 フェイルカミラは、体をブルブルと振るわせる。


「あのー、すまないが、1時間走って、30分の休憩とかでも大丈夫だろうか? 」


 フェイルカミラが、ここにきて初めて口を開いた。


「そうです。 あの時の車酔いは悲惨でした。 あと10分長かったら、私、きっと吐いてました。」


 フィルルカーシャも、その時のことを思い出して、あの馬車に2時間も乗るのは厳しいと判断したのだ。


 2時間走って、1時間休憩なら、1時間走って30分の休憩でも、1日に移動する時間は同じで、移動距離も同じになる。


 シュレイノリアは、すぐに答える。


「ああ、それは構わない。」


 シュレイノリアの一言に、フェイルカミラとフィルルカーシャだけでなく、ユーリカリア達全員がホッとしたような顔をする。


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