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シュレの発言


 ギルドのような軍事組織が国内に有るとなれば、国としても、軍としても、その中の戦力についての把握は行う。


 ツノネズミリスの討伐に関して、帝国軍も解析を行なっている。


 特に、12年前にもツノネズミリスの大量発生が起こっているのであれば、有効な対応策も検討されている可能性が高い。


 ジューネスティーン達は、帝都に入った翌日から、帝国軍によって監視されているという事は、帝国に入る前にジューネスティーン達の実力を知る者か居て、直ぐに監視役を手配できるようにしていたと考えられる。


 ユーリカリア達と合同の狩も見られているのなら、ユーリカリア達を引っ張り出せば、ジューネスティーン達も出てくるか、ユーリカリアなり、帝国のAランクパーティーが引き受けて、討伐に失敗した後、ジューネスティーン達に依頼が向くようにさせるため、Aランク指定を外す。


 Aランクパーティーの指定を外すが、その頃には、討伐に失敗したAランクパーティーの噂も流れるし、ギルド内で冒険者達に情報も流れる。


 そんな状況になれば、そう簡単にツノネズミリスの討伐を引き受けるパーティーは居なくなる。


 引き受けるとすれば、死にたがってる冒険者か、確実に倒す事ができる冒険者だけになる。


 最初からジューネスティーン達を引き出せればよいが、そうでなければ、帝国内のAランクパーティーの犠牲を出して、ジューネスティーン達に依頼できる土台を作ればよい事なのだ。


 依頼を出す際に、帝国軍が、ギルドの規定を確認して、2パーティー以上で依頼を受けられる事を知っていたか、知らないかは、不明なのだが、このタイミングで、高難易度の依頼が、帝国軍から出てきたのは、何らかの意図が有ると考えた方が良いのだ。




 ジューネスティーンは、帝国軍が何でギルドに依頼を出したのか、その表の理由ではなく、裏の理由を考えていた。


 そんな時にアンジュリーンも、何やら思うところがあって、ジューネスティーンに話しかけてきたのだ。


(帝国軍は、俺達に何をさせようとしているのか? この依頼によって、俺達の実力を測ろうと思っているだけなら、それでも構わないのかもしれないな。)


 ジューネスティーンは、帝国軍の考えを自分の中でまとめると、アンジュリーンに答えた。


「ああ、多分、俺たちがユーリカリアさんと接点がある事を考えての依頼かもしれないな。」


 ジューネスティーンと、アンジュリーンがシュレイノリア越しで話をしているのを、シュレイノリアは面白くなさそうに聞いていた。




 その2人の会話を鬱陶しそうにシュレイノリアが聞く。


「ふん。 ツノネズミリスの1万匹程度なら、私が何とかしよう。」


 それを聞いて、ユーリカリア達とルイゼリーンが、シュレイノリアを見る。


 ジューネスティーンと、アンジュリーンは、シュレイノリアの一言を聞いて、嫌そうな顔をしてお互いを見た後、シュレイノリアを見る。


 シュレイノリアは、平然とした顔をしている。


「私なら、広範囲に魔法が撃てる。 戦術的な話ではなく、戦略的広範囲魔法もお手の物だ。」


 シュレイノリアが言ってのけると、流石にユーリカリアも眉唾のようなことを言うと思ったようだ。


「なあ、シュレ。 お前さんの魔法だったら、どの程度の広範囲の魔法が撃てるのだ? 」


 シュレイノリアは、少し考えるような顔をするが、直ぐに答える。


「ああ、半径50m程度の範囲に炎を出すことは可能だ。 だが、試した事はないが、もっと広範囲にも可能だと思う。」


 その答えを聞いて、ユーリカリアは、そんな広範囲の魔法が存在するのかと思ったのだろう、ウィルリーンに本当かというような表情で見る。


 ウィルリーンも話を聞いて唖然としているが、ユーリカリアの視線を感じたのだろう、ゆっくりとユーリカリアの方を向くのだが、その表情には、あまり聞いて欲しくないような表情をしているのだ。


 ウィルリーンは、ユーリカリアと視線が合うと、困ったような表情をする。


「やっぱり、聞いた事が無いよな。」


 ユーリカリア自身、そんな話を聞いた事もなかったのだが、一応、ウィルリーンにも確認しようと思って、意見を聞くためにウィルリーンに視線を向けたのだが、その表情から、ウィルリーンも知らない規模の魔法だと感じとったのだ。


 ユーリカリアは、ため息を吐くとルイゼリーンに向く。


「そのツノネズミリスの依頼だが、ジュネス達と一緒なら引き受ける。 だが、実際にツノネズミリスを倒すのは、シュレだけで終わりそうだ。」


 ルイゼリーンも、引き攣ったような顔をしている。


 今のシュレイノリアの魔法の話を聞いて、格の違いを感じているのだろう。


 ただ、ルイゼリーンにしても、この2パーティーに頼めば、この依頼もクリアできると思っていると、シュレイノリアがとんでもない事を言い出す。


「何を言っている。 私の言った魔法を使うのは、ウィルリーンもだ。 だから、私1人で仕事が終わるわけではない。」


 シュレイノリアは、サラッと流すように話をする。


 しかも、先ほど自分1人で大丈夫だと言ったにもかかわらず、言い切った。


 それを聞いたウィルルーンは、顔を青くしている。


「いや、ちょっと待って。 私にそんな広範囲魔法なんて撃てないわよ。」


「ああ、大丈夫だ。 私が教える。 そうなれば、今後、ツノネズミリスへの対応に苦労する事はない。 それとも、広範囲魔法を覚えるのは嫌か? 」


 言われたウィルリーンは、慌てて首を振る。


「いえ、ぜひ、ご教示ください。」


 そう言うと、ウィルリーンは、ジューネスティーンに視線を送る。


 その目には、宜しく頼むといった表情が見受けられる。


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