2パーティーによる依頼の内容
会議室では、ツノネズミリスがツカ辺境伯領に現れた話を、ジューネスティーンとユーリカリアのパーティーに、ルイゼリーンが行ってくれている。
それを聞いて、ジューネスティーンは、少し悩んだ表情を見せる。
「ツノリスネズミは、Dランクの魔物ですよね。 でも、数が普通の魔物とは違って、数千匹以上と大量発生するから、討伐には、軍隊や相当数の冒険者によって討伐する事になると聞いていますけど、今回は何組のパーティーが参加するんですか? 」
すると、ルイゼリーンは、困ったような顔をするので、ユーリカリアが代わって答える。
「今回は、うちと、お前のところの2パーティーで行おうと思っている。」
ジューネスティーンは、会議室に呼ばれたことと、この会議室に居るのが、2パーティーだけなので、やっぱりといった顔をする。
「じゃあ、基本は、そちらのウィルリーンさんとシュレの仕事になりますね。 範囲攻撃魔法をメインに使って倒すことになりますね。」
それを聞いて、ユーリカリアは、微妙な顔をする。
「なあ、この依頼なんだが、お前達だけでも問題無く達成可能だろう。 それにお前のパーティーなら、全員が範囲魔法も使えるんじゃ無いのか? 」
ユーリカリアの質問に、ジューネスティーンは、少し焦ったような顔をする。
残りのジューネスティーン達のメンバーは、アメルーミラを除いて、ジューネスティーンを見る。
ジューネスティーンとシュレイノリア以外は、不安そうに、どう答えてよいのか困った表情で見ているので、ユーリカリアは、その態度を見て確信したようだ。
「やっぱり、お前達、全員が殆どの魔法を使いこなせるようだな。 それも、かなり上級の魔法でも問題なく使いこなせるのだろ。」
ジューネスティーンは、まいったなといった顔をする。
「ええ、まぁ、範囲攻撃魔法についても、シュレとまではいきませんけど、それなりに使いこなせます。」
ユーリカリアは、やっぱりと思ったように表情に出す。
「やっぱり、そうだったか。 あれだけ、私達に魔法に関する指導が出来た事と、全員が魔法を使えるなら、範囲攻撃魔法も全員が使えてもおかしくは無いな。」
ジューネスティーンは、これ以上、魔法の事で追求されても困ると思ったのだろう、話をツノネズミリスの話に戻す。
「ところで、ツノネズミリスですが、どの位の数が発生しているのですか? 」
「ああ、聞いている範囲ですが、およそ1万匹です。」
ルイゼリーンが、ジューネスティーンの質問に答える。
だが、それを聞いたユーリカリアの表情が変わる。
「ちょっと待て、ツノネズミリスって、1万匹なのか? 」
「はい、数については、およそ1万匹とのことです。」
「いくら何でも、それは2パーティーでも無理だろ。 もう、それは、冒険者で何とかできるレベルじゃない。 軍、最低でも、1000人規模の軍を派遣する必要だろう。」
ルイゼリーンは、困ったような表情をして答える。
「それが、帝国軍では、東の森の魔物が活発化していることから、その規模の軍を派遣することができないようなのです。 なので、ギルドに依頼がきたわけです。」
「そうは言っても、帝都の冒険者を全部集めても1000人なんて集まらない。」
「いえ、クライアントからは、全冒険者の派遣は言われておりません。 それに、ギルドとしてもそのような事は不可能です。 それに、・・・。」
ルイゼリーンは、途中で話を止めた。
ユーリカリアもジューネスティーンも、話が途中で止まったのだが、その後を聞こうと、話を待つのだが、ルイゼリーンは、話そうとしない。
「ルイーゼ、ギルドとして全冒険者の派遣が、何でできないんだ? 」
困ったような顔をする。
ルイゼリーンは、何か立場的に答える事ができない事を突かれて困った様子になってしまったのだが、気を取り直すようにして答えた。
「その話は忘れて下さい。 何にしても、全冒険者を派遣することは、ギルドとして、そのような事は不可能です。 でも、2パーティーなら、ギルドとしても問題ありません。」
「はぁ。」
ジューネスティーンは、気のない返事をする。
だが、ユーリカリアは、何か考えるような顔をしている。
「なあ、ルイーゼ。 この依頼は、誰が出しているんだ? 」
「依頼は、軍から出ています。」
「ツカ辺境伯からじゃなかったのですね。」
「ええ、そうです。」
ユーリカリアは、考え込んだままでいたのだが、結論が出たのか、口を開いた。
「なあ、辺境伯は、軍に最初に話たって事だよな。 それで軍が動かず、ギルドに依頼を出したって事なのか。 だが、Aランク限定と言われた。 そして、残ったAランクパーティーは、私のところだけだった。」
「ええ、他からは、ウィルリーンさんのような範囲攻撃をできる魔法士が居ませんから、当然の結果かと思います。」
「やっぱり、そうなるよな。 だが、ウィルリーン1人で対応できる数じゃない。 それに全員が魔法が使えるようになった事をルイーゼも知らなかった訳だから、私らに依頼を出すのを躊躇していた。 なあ、この状況で軍は、何でギルドに依頼を出したんだ? 達成できるとは思ってなかったんじゃないのか? 」
その、ユーリカリアと、ルイゼリーンの会話を黙って聞いていたジューネスティーンは、何かを考えている様子を見せる。
(なるほど、軍は、俺たちとユーリカリアさん達に接点がある事を知っているんだ。 この前の狩の時も監視されていたのだから、接点も分かっているのか。 俺達に監視を付ける位だから、当然、ギルドにも目が有るって事なのか。 ああ、そう言えば、ユーリルイスさんが、職員はルイーゼさんのように本部から来た人だけじゃないのか。 帝都で雇ったのなら、その中に紛れているって事なんだな。)
ユーリカリアの話から、ジューネスティーンも考え出していた。
そんなジューネスティーンにアンジュリーンが話しかける。
「ねえ、ジュネス。 これって、・・・。」
アンジュリーンも、この依頼について、帝国軍が自分達を引き出す為の策略ではないかと疑ったようだ。




