表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1138/1356

一つの依頼を複数のパーティーで引き受ける方法


 ルイゼリーンは、凄みのある顔で、パーティーメンバー全員が、魔法を使えることを、6人に口止めをすると、いつもの表情に戻る。


 どうも、6人全員が魔法を使えるとなったら、この依頼を引き受けさせる方向で、話を進め出したいようだ。


「それで、この依頼なのですが、ユーリカリアさんのパーティーで、引き受けてもらう事はできないでしょうか? ギルドとしても、帝国軍経由で来ている依頼なので、何とか達成したいのですけど。」


(あんた達、全員が魔法を使える様になったなら、旅の途中で範囲魔法を覚えながら練習していってもらえば、何とかなりそうよね。 ここは、彼女達に何とかしてもらわねば。)


 ユーリカリアは、困った様な顔をしている。


 自分達のメンバーからも、ツノネズミリスを有効に討伐するための範囲攻撃魔法なのだが、全員の力だけでは、対応できないと結論付けてしまっていたので、その状況で、ツノネズミリスの討伐依頼を引き受ける事はできない。


 現時点では、自分達には少し荷が重い依頼なので、二の足を踏んでいるのだ。




 すると、ユーリカリアは、何かを思いついた様だ。


「なあ、この依頼なんだが、ジュネス達に頼んだ方が、確実じゃないのか? 」


 そう言われて、ルイゼリーンは、困った顔をする。


「ええ、そうなんですけど、それが、依頼元からは、最低でもAランクパティーを指定されているんですよ。 なので、この依頼を出せるのは、ユーリカリアさんの所と、あと、2つしか無いんですけど、・・・。」


 ユーリカリアは、その表情を見て、他のパーティーから断られたことを察する。


 残りのパーティーの編成を考えたら、魔法を使えるパーティーは無い事から、普通に考えて断られる事は理解できる。


「断られたんだな。」


 ルイゼリーンは、ユーリカリアに図星を突かれて苦笑いをする。


「はい。 残ったのは、ユーリカリアさんだけなんです。」


 ユーリカリアは、残りのAランクパーティーの顔を頭に思い浮かべて、ツノネズミリスと聞いて、一蹴されたのだろうと思ったようだ。


「なるほどな。」


(依頼は、Aランクを指定してきているので、パーティーランクが低い、ジュネスのパーティーには頼めない。 残ったAランクパーテイーは、私達だけか。 だが、全員が魔法を使えると言っても、ウィルリーン以外は、ツノネズミリスに対応できる能力は無い。 魔法士の数が足りないのか。)


 困った様な顔を、ユーリカリアもする。




 ルイゼリーンもユーリカリアの表情を見ていると、この依頼を受けてくれるか心配になている。


(やっぱり、無理かな。 ツノネズミリスをパーティー単位で対応する事が、無理なのよね。 仕方がないわね。 これは、ユーリルイスに頼んで、断ってもらうかするしかないか。)


 ルイゼリーンが、諦めかけていると、ユーリカリアが、何かを考える様にして問いかけた。


「なあ、ルイーゼ。 これって、1パーティーで受けないといけないのか? 」


 諦めかけていたルイゼリーンに、ユーリカリアは聞く。


 ただ、その一言によって、ルイゼリーンは、ある事に気がついた。


「あっ! 」


 ルイゼリーンは、表情が明るくなってきた。


「この依頼なんだが、私のところがメインパーティーとして受けて、サブパーティーとして、ジュネスのパーティーが入って、合同で受ける形にできないのか? 」


 本来であれば、一つの依頼は、一つのパーティーで受けるのだが、達成困難と判断されれば、複数のパーティーで対応する事も可能なのだ。


 ただ、完了した後に報酬の取り分で揉めたり、お互いにライバル視する為に、獲物の取り合いになったりと、トラブルの元になる事が多いので、今まで、あまり実行されてない方法だったので、ルイゼリーンも忘れていた様だ。


「そうですね。 ユーリカリアさんのパーティーがメインで、ジューネスティーンさんのパーティーがサブとして受ければ、クライアントのAランク以上の条件もクリアーできますし、シュレイノリアさんの範囲攻撃魔法を使う事も可能になりますね。」


 ルイゼリーンの頭の中に、依頼を達成する可能性が見えてきたので、先ほどの不安そうな表情は無くなっていた。


「そうなる。 それと、彼らの使う馬車なのだが、メチャクチャ速いんだ。 通常より、早く現場に行く事も可能なんだよ。」


 ルイゼリーンは、早いと言っても、馬車の移動速度は知っている。


 そして、早く走らせれば、馬や地竜を休ませる時間が長くなり、移動距離が短くなってしまい、結果として、1日の移動距離が落ちてしまう為、この様な長距離移動の場合は、ゆっくり歩かせるのが鉄則なのだ。


 いくら、ジューネスティーン達が使う馬車が早いと言っても、時速4kmが、時速4.5km程度に上がる位だろうとルイゼリーンは、思ったのだ。


「そうは言っても、ツカ辺境伯領ですよ。 帝都から500kmも有るんですよ。 通常なら12・3日は掛かりますよ。」


 ユーリカリアは、カウンターに体を寄せて、ルイゼリーンに、目一杯近づくと、ニヤリと笑う。


「あの地竜、ここから、南の山脈の麓まで、1時間程度で走ったんだ。 それ以上の長距離だったらどうだか分からないが、上手くすれば、3日は、短縮できると思うんだ。」


「はぁ。」


 ルイゼリーンは、信じがたい話だと思いつつユーリカリアの話を聞く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ