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シュレイノリアの嫉妬

 

 ジューネスティーンが、支払いのために、皮袋の財布の中から、お金を取り出していると、リーシェルリアが怪訝そうな顔で話しかけてくる。


「あのー、今日のご購入は、これだけでよろしいのですか? 」


 ジューネスティーンに聞くので、不思議そうにしていると、リーシェルリアの視線が、自分ではなく、、自分の後ろに、むいているので、なんでかと思って、後ろを見ると、シュレイノリアが、上目遣いにジューネスティーン見ている。


 シュレイノリアは、少し恨めしそうにしているのだ。


 ただ、ジューネスティーンには、シュレイノリアが何でそんな顔をするのか気になるのだが、思い当たる事が何もないのだ。




 ジューネスティーンの視線に目が合うと、シュレイノリアは、ジューネスティーンに話しかける。


「銀貨1枚か。」


 ボソリと、一言いう。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアが、なんでそんな事を言うのかと思った様子をしているが、リーシェルリアには、シュレイノリアが言った、銀貨1枚の意味が分かったようだ。


(あーっ、やっぱり、この人は、彼女に、銀貨1枚以上するプレゼントを贈ってないのね。 まあ、確かにこの若さの一般臣民が出せる金額じゃないわね。 でも、彼らとしたら、出しても仕方がない程度の金額なのかしら。)


 リーシェルリアは、ジューネスティーン達の値踏みをしていたのだが、ジューネスティーンには、シュレイノリアの言っている、銀貨2枚の意味が分かってなかったのだ。


 それを聞いて、なんと答えたら良いのかと、ジューネスティーンが思っていると、また、シュレイノリアが、同じことを言う。


「銀貨1枚か。」


 その銀貨1枚は、今の支払い金額の銀貨1枚と中銅貨3枚から、銀貨1枚といったのだろうとジューネスティーンは、予想がつくのだが、何で、シュレイノリアがその金額を気にしているのか分からないのだ。


「銀貨1枚か。」


 もう一度言ったので、流石に、ジューネスティーンも、気になってしまったのだ。


「あ、あのー、シュレイノリアさん。」


 ジューネスティーンは、いつものシュレではなく、シュレイノリアと呼んだのは、どうも、シュレイノリアの機嫌が悪いと思ったからなのだろう。


 ここで、いつものようにシュレと呼んだら、余計に機嫌が悪くなってしまうような気がしたからなのだ。


 そう呼んでもシュレイノリアの表情は変わらないので、ジューネスティーンは、言葉を続ける。


「あなたも、ドレスが欲しいと思いませんか。 なんでしたら、一緒に購入してもいいかなぁ、なんて、思うのですけど。」


 そういうと、シュレイノリアは、ジューネスティーンに、ニコリと笑顔を向けると、すぐに真顔になると、リーシェルリアに、指示を出す。


「私にあう服を用意してもらいたい。 金額は銀貨2枚以上! それ以下の金額のものは認めない。」


 横で聞いているジューネスティーンは、顔を引き攣らせていると、リーシェルリアが、金額を聞いて、ジューネスティーンに申し訳なさそうに視線を向ける。


(あーっ、やっぱり、そうだったみたいね。 2倍の金額を指定してきたわ。)


 リーシェルリアとすれば、形だけシュレイノリアに、何かを買ってあげた方が良いと思ったのだが、そんな高額な金額の物を、要求するとは思って無かったのだ。


 しかし、シュレイノリアが、銀貨2枚以上と言ったので、リーシェルリアとしては、その金額の物を提示しなければいけない事になるので、ジューネスティーンに、悪い事を言ってしまったと思ったのだ。


 リーシェルリアには、シュレイノリアが、何でそんな事を言ったのか、おおよそ理解できたのだ。


「それでは、ご案内しますから、こちらへどうぞ。」


 そう言って、シュレイノリアの手を取って、言われた金額のドレスが並んでいるラックの方に誘導するのだが、シュレイノリアに分からないように、リーシェルリアは、ジューネスティーンの方を見て、申し訳なさそうな顔を向けた。


「なんなら、この店で一番高いドレスでも構わないぞ。 金額の桁が上がってもいい。」


 流石に、それには、リーシェルリアも驚いたようだ。


「は、はいぃ。」


 シュレイノリアの顔を見て、苦笑いをしてから、また、ジューネスティーンを見る。


(大丈夫です。 可能な限り、銀貨2枚で抑えるようにします。)


 リーシェルリアは、ジューネスティーンに届けと、心の中でつぶやいたようだ。


 ジューネスティーンは、引き攣った笑いを浮かべると、リーシェルリアに分ったというように、手を上げて答えた。




 目的のドレスのラックに向かう、シュレイノリアが、珍しく弁舌になっていた。


「さあ、あれ以上の、私に似合う物を持ってきてもらおう。 支払いは、あいつがする! 」


 そう言って、ジューネスティーンを指さすと、シュレイノリアは、リーシェルリアには、何も言わせない雰囲気を与える。


「それで、色は、どうしましょうか? お好みの色は、ございますか?」


 シュレイノリアは、一瞬、困った様な表情をするが、すぐに答える。


「あ、赤がいい。 そして煌びやかものがついていてほしい。」


「かしこまりました。」


 そう言って、慌てて見繕いにいく。


 シュレイノリアが、リーシェルリアを目で追いかけて、ドレスを見繕い始めたのを見て、ジューネスティーンの前に、一旦、来ると、笑顔で、シュレイノリアがいう。


「私が、一番! 」


 そう言ってから、リーシェルリアの方に去っていた。


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