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アメルーミラの買い物


 7人の朝食が終わると、食堂からそのまま、金糸雀亭を出て、リーシェルリアの店に行く。


 ジューネスティーンは、アンジュリーンを呼び止める。


 残りの女子3人は、アメルーミラが気にしていた様だが、アリアリーシャがシュレイノリアに合図を送り、2人でアメルーミラを抱えて店に入っていく。


「なあ、俺たちは、ちょっと、外で待ってるわ。」


 ジューネスティーンは、アンジュリーンに言う。


 服を買いに来たのだが、上着だけでなく下着も買うことになるとわかると、流石に、女子の下着を買う所を付き合いたいとは思ってなかったのだ。


 他の2人も同意見だったようなので、ジューネスティーンの言葉に、レィオーンパードとカミュルイアンもホッとする。


 それを聞いて、アンジュリーンは、ジューネスティーンと残り2人を睨みつける。


「何言ってるの。 あんた達は、彼女に似合いそうな服を選ぶのよ。」


 そう言われて、何でなのかと3人は不思議そうな顔をする。


「あの子、そんなにお金があるわけじゃないでしょ。 あんた達が一つ位プレゼントするのよ。」


 そう言われて、ああ、そう言う事かと思っていると、アンジュリーンはまだ分かってないと思う。


 やれやれと、思って、レィオーンパードを見る。


「ねえ、これから、しばらく一緒に狩とかにも出るのよ。 あの子の過去の影を少しでも補ってやろうって気はないの? 少し位は、女の子の気持ちが分かって欲しいわ。」


 それを聞いて頷く3人をみて、アンジュリーンは、話を続ける。


「じゃあ、お金はジュネスが持つから、みんなで気にせず、自分の気にいった服を選ぶ、その時、露出の多いのはやめること。 あと、エロいのもダメだからね。 自分の趣味に走らないように! 」


「そんなの選んだら、後でボロクソになるよ。」


 小さな声で、レィオーンパードがぼやくと、アンジュリーンはレィオーンパードを睨んだ。


「ん! 何か言った! 」


「いえ、何も。」


 慌てて、レィオーンパードは否定する。


「それで、3人で選んだものを確認して、お互いに良いと思うものをプレゼントするの! 分かったわね。」


 すると、カミュルイアンが、恐る恐るアンジュリーンに声をかける。


「あのー、似合いそうってどんなだろう。 女の子の服なんて選んだ事がないから、どういった基準で選べばいいのか? 」


「ふん、女の子は、男の子にプレゼントされれば喜ぶもの。 なんて事は無いわね。」


 そう言って、アンジュリーンは少し考える。


「じゃあ、中に入ったら、彼女の好みの色とか聞いてあげるわ。 それを聞いて選んであげて。 それと、可愛いか綺麗に見えるものが良いわね。 年相応か、少し上に見えるもの、上過ぎるのと、下に見られるのは、ダメよ。」


「ふーん。 でも、何で、下に見られるのは嫌なの? 」


「あの位の時は、大人を意識し始める時なの、ちょっと背伸びしてみたいと思う事が有るのよ。 それと、彼女の体型からすると、子供に見られるより、大人に見られたいと思っているわ。 きっと。」


「ふーん。 でも何で? 」


「だって、彼女、胸が小さいでしょ。 私もそうだけど、やっぱり、姉さんみたいに大きな胸に憧れるのよ。 それで、ちょっと大人びた服に憧れる時があるの。」


 アンジュリーンは、アメルーミラの心の内を解説する。


 男どもには分からない女心を話す優越感に浸っている。


「じゃあ、お前は、何で可愛い系の服が好みなんだ。」


「私にもそういう時期があったけど、その内に気がついたのよ。 私はエルフ種だから成長が遅いけど、学校の同級生とかは、人や亜人だったから、3年も経つと結構大人になってしまうから、若い服は着ることができないなぁって、なら、今しか着れない服にしようと思ってって、何で私の話になるのよ。」


「胸が小さいと思っている女の子は、背伸びしたいのか。」


 レィオーンパードが、真剣に考えていると、カミュルイアンが、アンジュリーンに直球で話す。


「お前、アリーシャの胸に憧れてたんだ。」


 それを聞いて、アンジュリーンの顔が赤くなり、今まで自分の話した事を思い出して、更に耳まで赤くなって固まる。


「ふーん。 女の子は、大きい胸に憧れるのか! 」


 ジューネスティーンが、そうなんだと思いつつ、言わなくても良い一言を続ける。


「でかい胸は、一度揉んでみたいと思うけど、一度揉んだら飽きそうなんだよなぁ。 揉んだ瞬間に、お腹一杯で、もう食べたく無いって感じ。」


「それは言える。 一緒に前衛で戦っている時、姉さんの胸って邪魔そうだよな。 あれで、良く剣を振り回せると思うことよく有るよね。」


「女の人の胸って、小さくても寝ていると振動で良く震えるんだよな。 なんか円を描く様に震える胸って可愛いって思えて気持ちいいんだ。だから手からはみ出ない位がちょうど良いと思うよ。」


 最後に、誰の話をしたのかは分からないが、カミュルイアンが、実体験を言い出したので、ちょっと引き気味になる男2人なのだが、そこまで聞いたアンジュリーンが、赤い顔で男子の話を打ち切る。


「もう、何言ってるのよ。 その話はもう無し! それより、今、言った感じで、ちゃんと選ぶのよ! 」


 そう言って、アンジュリーンは、自分の、腹いせのために、細めた目でレィオーンパードを見る。


 その視線に、何か嫌な気配を感じるレィオーンパードは、この場を逃げたいと思ったのだろう、徐々に、ジューネスティーンの後ろに隠れようと動いている。


 しかし、アンジュリーンは、そんなレィオーンパードに向かって、凄みを効かせて言う。


「それと、プレゼントは、貴方が渡すのよ! 」


 渡すときのことを考えると、恥ずかしさから、顔を赤くするレィオーンパード、そして、緊張して体が強張る。


 アンジュリーンは、勝ち誇ったように胸を逸らして、上から覗き込むように、顔を上に反らしながら、レィオーンパードを見る。


「昨日、あれだけ面倒を見てあげたのだから、あんたが労いの意味も込めて渡すのが筋でしょ。」


 その話に、ジューネスティーンとカミュルイアンは、アメルーミラにプレゼントを渡す自分を考えると、気恥ずかしさが込み上げてくるので、2人とも、ここは、アンジュリーンの意見に乗る事にした。


「そうだよ。 昨日、あれだけ面倒を見てあげたんだ。 俺達が渡すより、お前が渡した方が、彼女の喜びは数倍に跳ね上がる。」


「うん、にいちゃんの言う通りだよ。」


「誰が、お前のにいちゃんだ! 」


 ジューネスティーンは、見た目は自分より下に見えるが実年齢は、自分の倍以上のカミュルイアンに、突っ込みを入れる。


 そんな2人を気にせずに、アンジュリーンは、レィオーンパードに話しかける。


「彼女が、一番喜ぶ事を考えたら、レオンが渡すのが一番なのよ。」


 それを聞いて困った顔になるレィオーンパードを見て満足したのか、アンジュリーンは振り返ると店の中に入っていった。


 それを見て、ジューネスティーンが、レィオーンパードに声をかけて、引っ張るようにして、後を追って店の中に入っていく。


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