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試験の終了と分配

 

 ジューネスティーン達は、アメルーミラの試験を兼ねた狩を終えてギルドに戻る。


 魔物のコアを換金する。


 対応は、いつものようにルイゼリーンが対応してくれた。


 ルイゼリーンは、ジューネスティーンからコアを受け取る時、背後にいたアメルーミラをチラリと見るが、見ただけで何も言わずコアの換金を事務的に行う。


(ルイーゼさん、何か、気づいているのか? )


 ジューネスティーンは、少し違和感を覚えるが、特に気にすることもなく換金を済ませる。


 換金した金額は、銀貨3枚と中銅貨4枚となた。


 全てを中銅貨で貰うことにして、中銅貨34枚を受け取る。


 全員に中銅貨4枚を分けると、困ったような顔で答える。


「私は、そんなにもらえないと思うので、受け取れません。」


 アメルーミラがそう言うと、アンジュリーンが姉御風を吹かせる。


「何言ってるの。 今日は試験だったけど、あなたもちゃんと仕事はしたのだから貰うべきよ。 何かあって別のパーティーに入った時、そんな事言ってたら、他のメンバーに良いようにネコババされるわよ。 お金だけは、しっかりと分け前を貰うようにするの! 今度そんな事言ったらブツわよ! 」


 その剣幕に驚いてしまうが、言われた事は理解できた。


「分かりました。 では、いただきます。」


 そう言って、ジューネスティーンから中銅貨4枚を受け取る。


 渡すと、ジューネスティーンが、残った中銅貨の話をする。


「残りの6枚は、パーティー用の貯金に回すんだ。 全員で使う馬車とか宿代とかパーティーの為に使うお金としてとってある。 それは、了解して欲しい。」


「わかりました。」


 換金と分配を済ませると、全員で金糸雀亭に戻る。




 その頃には、日も完全に沈み、西の空がわずかに明るく見える程度になっていた。


 金糸雀亭のカウンターで鍵を受け取ると、ジューネスティーンは、全員にこの後の事を話す。


「じゃあ、汗を流してから夕飯にしようか。」


 ジューネスティーンは、アメルーミラに言うと、アメルーミラは少し困ったような顔をする。


 すると、横からアンジュリーンが、そのアメルーミラの表情をみて、部屋の事を聞く。


「ねえ、あなたの部屋ってバスルームは付いているの? 」


 アメルーミラは、自分の部屋にはトイレは付いていたが、バスルームは無かったので、ジューネスティーンに言われてどうしようかと考えていたところにアンジュリーンにその事を指摘されてドキッとした。


「やっぱり、そうじゃ無いかと思ったんだ。 それに着替えはどうなの? 」


 アメルーミラは固まって俯いているのを見て、やっぱりと思って、ジューネスティーンに提案する。


「あんた、この子は、日常品も買うようなお金も無かったし、それに、今日は、私達が1日引っ張り回したんだから、何も持っているわけないでしょ。 それに普通に部屋を取ったら、バスルームが、有るとも思えないわ。 今日も私たちと一緒にバスルームを使うわよ。」


 そう言うと、アメルーミラの手を取って部屋に向かう。




 部屋に入ると、リビングでシュレイノリアが、床に魔法紋を発動させて魔法紋から衣類の男子用のハンガーラックを出すと4人は女子部屋に入っていく。


 女子部屋でシュレイノリアが、女子用のハンガーラックを出す。


「さぁ、こっちに来て、着替え、私ので良ければまた使って。」


 そう言って、アメルーミラを呼ぶので、アンジュリーンの方に行く。


 アメルーミラが近づくと、アンジュリーンが着替えを指示する。


「着替えはこれね。 今、着ている服は、汚れているだろうから、また、シュレイノリアに洗ってもらうから、バスルームで脱いだら渡してあげてね。」


 そう言って、着替えを手渡すと、適当にベットの上に着替えを置くとバスルームに引っ張っていく。


 シュレイノリアとアリアリーシャも自分の着替えを取ると、ベットの上に置いて、シュレイノリアは収納魔法にハンガーラックをしまった。


 女子4人が、バスルームに入ると、アンジュリーンが、アメルーミラに指示を出す。


「今日はさっさと自分で脱いでね。 また、もたもたしてたら脱がすわよ。」


 そう言われて、アメルーミラは、慌てて自分の服を脱ぎ出す。


 アンジュリーンが、昨日は使わなかったバスタブに湯を入れている。


 湯が出たのを確認すると、戻ってきて自分の服を脱ぎ始め、後から来たシュレイノリアに渡す。


 それを見てアメルーミラも脱いだ上着とズボンをシュレイノリアに渡す。


 シュレイノリアは、無造作に脱いだ服をまとめて持つと、空中に水の球を作りその中に脱いだ衣類を放り込んでいく。


 水の球の中ではグルグルと下着や上着が内外に回ったり、止まったり、方向を変えながら、泳ぎ回っている。


 時々、さっきまで付けていたアンジュリーンの下着が表に見える事があり、アメルーミラは少し恥ずかしいように思うのだが、アンジュリーンは気にせずに自分の体にシャワーをかけていた。


 シュレイノリアは、アリアリーシャの着ていた服も水の球の中に入れると、自分も服を1枚ずつ脱いでは、水球の中に放り込んでいく。


 それを茫然と見ていると、アリアリーシャもアンジュリーンの方に行き、肌にシャワーをかけ始める。


 2人とも洗濯物には目もくれず、体を洗っている。


 そんな2人を見ながら、自分は最後の下着を脱ぐと、水球の中に自分で放り込んでみた。


 シュレイノリアは、全部の着ていた服を水の球の中に入れると、持ってきた瓶を取って、その中の液体を水球の中に入れていた。


 昨日は、そんな余裕が無かったので見落としていたのだが、今日は、精神的に余裕もあったので、何かの液体を水球の中に入れるのを確認する事ができた。


「あのー、今入れたのは、何ですか? 」


 アメルーミラは、気になってシュレイノリアに尋ねた。


「洗剤。」


 シュレイノリアは、それだけ言うと、水球の中で踊っている衣類を放置して、バスタブの方に行ってしまった。


 それを目で追いながら復唱する。


「せんざい? 」


 不思議そうな顔をしていると、体にシャワーをかけ終わり、体を洗い始めたアンジュリーンと目が合うと答えてくれた。


「洗剤は、服に付いた汚れを落とすのを助けてくれるのよ。 普通なら桶に入れた洗濯板でゴシゴシ擦るけど、これを入れてあげると汗とかに含まれた油分を溶かしてくれるから簡単に汚れが落ちるらしいの。 ああ、それシュレイノリアが作ってくれたの。 材料さえ揃えば簡単に作れるらしいわよ。 さあ、今日は、あなたが一番働いたんだから汗流すわよ。 こっちに来て体を洗いましょう。」


 そう言って、アメルーミラをシャワーの方に招く。


(なんと、そんな便利な物があるのか。)


 アメルーミラは、感心しつつ招かれるがままにアンジュリーンの方に行く。


 そして、今日の汗を流す。


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