鳥の魔物と戦うアメルーミラ
レィオーンパードが、上手に、アメルーミラに指導しているとジューネスティーンは、思ったようだ。
レィオーンパードとしては、偶然、魔物の蹴り上げてきた足を見て、左で受けて、右で攻撃したのだけど、アメルーミラに持たせた盾を意識した攻撃方法をしていると判断したようだ。
2人の行動を見て、ジューネスティーンは、アメルーミラの指導は、レィオーンパードに任せておけると判断する。
「じゃあ、こっちも少し始めようか。」
「ところで、ジュネス。 ルーミラの事は見てなくていいの? 」
珍しくカミュルイアンが、口を開いた。
「ああ、あれなら、準メンバーというより、メンバーの新人としても使えるだろう。 だったら、レオンに、色々、教えて貰えばいいと思うんだ。」
「ふーん。 じゃあ、ルーミラは、これから一緒に行動することになるんだね。 オイラは、構わないよ。」
ジューネスティーンの判断に、カミュルイアンは、そうなのかと思った程度のようだったが、女子2人は、微妙な顔をしていた。
「ねえ。 部屋は、どうするのよ。」
アンジュリーンが、一番、問題になりそうなところを聞いてきた。
「ああ、今のままでいいだろう。 今まで通り、別の部屋を使ってもらおう。 俺とシュレの部屋は、ベットを一つしか使ってないけど、ルーミラにしても、俺たちと一緒の部屋は、嫌だろうしな。」
そんな中、アンジュリーンが意地悪そうな顔で、カミュルイアンを見る。
「ねえ、カミュー、あんたのベットをルーミラに貸してあげて、あんたが、余っているジュネス達の部屋で寝たらどお? 」
そう言われて、カミュルイアンは、嫌そうな顔をする。
「ジュネス達と、一緒の部屋は、嫌! 」
カミュルイアンは、直ぐに、アンジュリーンに答えた。
「そうですぅ。 あんな部屋で一緒に寝るなんてのはぁ、誰も望んでいません。」
直接的な表現をカミュルイアンとアリアリーシャにされて、ジューネスティーンは、微妙な顔をするが、シュレイノリアは我関せずと、全く気にしてない様子だ。
「アンジュ。 だったら、あんたが、ジュネス達の部屋のベットを使ってみる? そうなったら、アンジュのベットに、ルーミラを使わせれば、いいんじゃないのかしらぁ。」
アリアリーシャの指摘は正論なのだ。
だが、アンジュリーンは、その指摘が気に入らなかった。
「アリーシャ、それは酷いわよ。 なんで、私が、2人で抱き合っているのを見ながら、寝なきゃいけないのよ。」
そう言ってから、自分の軽率な発言に気がついたようだ。
「そうね。 今のままが一番ね。」
アリアリーシャもカミュルイアンも納得した。
アンジュリーンは、自分の発言が、結局、自分に返ってきてしまったことで、ちょっと面白くなさそうである。
そんな、5人の話を聞く事なく、アメルーミラは、レィオーンパードの指導のもと、鳥型の魔物と対峙していた。
アメルーミラは、スリングショットで、目的の魔物に狙いをつけて放つと、スリングショットの弾丸が魔物の胴に当たるのだが、弾丸の大きさが小さい為、魔物に被害はほとんど無かった。
だが、魔物は、攻撃された事で怒りを覚えたのか、アメルーミラ目掛けて一気に走り出す。
頭を低くして、羽を広げ、バランスを取りながら、長い足を巧みに動かしながら向かってくる。
アメルーミラは、スリングショットを、後ろに投げて右手で剣をぬいて、左腕の盾を前に出して身構える。
迫ってきた魔物は、直前で足を蹴り上げてきたのをアメルーミラは、左腕の盾で受け流しながら、左にステップするのだが、上から鳥の嘴がアメルーミラの頭を狙ってくる。
その嘴の下をアメルーミラは、右手の剣で斬りつけながら、頭を下げて嘴を避ける。
鳥の魔物の長い首に刃が入り、そのまま腕を振り抜く。
ただ、左にステップしていたのだが、魔物の首を狙ってしまったことで、魔物の右の羽根が目の前にきてしまった。
アメルーミラは、慌てて頭を下げるのだが、バランスを崩して倒れてしまう。
それを見たレィオーンパードは、慌ててアメルーミラの元にいく。
「大丈夫? ルーミラ! 」
アメルーミラは、立ち上がりながらレィオーンパードに答える。
「ええ、大丈夫です。 嘴が迫ってきたから、剣をそっちに向けてしまいました。 言われた通り、胸に剣を入れようと思ったのですけど、怖くなって、首を先に狙ってしまいました。」
アメルーミラは、今の一連の動きをレィオーンパードに説明した。
その話し方を聞いて、レィオーンパードは、ホッとした様子を見せる。
「ああ、気をつけてね。 向かってくる嘴は怖いけど、首の動く範囲、距離を見極めて、届かないのなら、恐怖を殺して、目的の場所を攻撃するんだ。 今のは、首を狙うと後から来る羽に当たってしまうから、魔物によって攻撃箇所を変えないと今の様になってしまうんだ。 それに、今回は、1対1だったから良かったけど、もう1匹居たとすると、次の魔物には、尻餅を付いた状態で対応することになる。 そうなると、次の魔物を倒す確率は、一気に下がって、自分の生存確率も一気に下がってしまうんだ。 だから、バランスを崩さずに戦うのは、とても重要なんだよ。」
レィオーンパードの言葉に、アメルーミラも納得する。
いつも1対1で戦えるなんて事は、自分で作り出さなければ、有り得ないのだ。
そう考えれば、バランスを崩して次の対応が出来ないのは、非常に危険な行為だと認識したようだ。
レィオーンパードは、そんな、アメルーミラの、素直に吸収してくる態度に惹かれたようだ。




