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レィオーンパードの指導


 レィオーンパードは、100m程先に居る鳥型の魔物に向かって歩いて行くと、その後をアメルーミラが歩く。


 鳥型の魔物は、全長2m30cmと人より高く、胴体部分迄でも人の頭の高さほどある。


 レィオーンパードの身長が、165cmなので、ちょうど、倍の身長がある魔物との対戦となる。


 アメルーミラは、身長150cmと、レィオーンパードより小柄なので、大型の魔物に対する闘い方の参考になる。


 魔物は、胴体から出た、細く長い首と頭が付いており、嘴で突っつかれたり、足で蹴り上げて攻撃してくる。


 ただ、それは、魔物の高さと胴体とのバランスから、そう見えるが、首の太さは、人の首と同じか、それ以上に太い。


 羽が退化しており、胴体から広げても、片側50cm程にしかならない程度であるが、強靭な脚力を持っているので、魔物のコアは、馬車の馬代わりに使われる為、重宝されている。


 中には、足に強力で大きな爪を持つものも居るが、今回は、そのような爪で襲われたら、アメルーミラが、ひとたまりも無いので、見送っているが、足で蹴り倒されれば、死に繋がる事もある。


 50m程に近付くと、魔物は、2人に向かって走り出してきた。


 魔物は、羽を水平に広げて、頭を下げて向かってくる。


 レィオーンパードは、剣を抜いてアメルーミラの前に出て対峙すると、レィオーンパードも魔物に向かって走り出す。


 走ってきた魔物は、レィオーンパードに、あと一歩のところで、左足を蹴り上げて来たので、右に避けながら左手に逆手で持った剣で受け流す様に魔物の足を斬り付けるが、スネの部分なので切断までには至らない。


 魔物とすれ違い様に、右手で順手に持った剣を魔物の胸に斬り掛かる。


 肋骨を切断しながら腹部をえぐり、足の付け根部分で剣を右に払う。


 その時、広げられた羽を避ける様に、身体を右に前屈みになりながら、動作を一連の動きで対応した。


 魔物は、レィオーンパードと、すれ違うと、地面につんのめって滑っていく。


 ほぼ致命傷に近い打撃だったが、まだ、少し息があるが、息は、徐々に弱くなっていく。




 最後の力を振り絞って首を上げようとするが、力が抜ける様に頭を地面に落とすと、体から黒い霧が浮かび上がり、体が徐々に小さくなっていく。


 魔物のコアになる間に、レィオーンパードは、アメルーミラに解説をする。


「今の様に、足で蹴り付けてくるのを、左の剣で受け流して、右の剣で致命傷を与えるんだ。」


 そう言って、先ほどの攻撃の時のように、左手を前に出して、魔物の足をガードした時の姿勢をアメルーミラに示す。


「だけど、あの鳥の魔物の首筋を狙いたかったけど、ちょっと背が高かったので胴体に剣を入れたんだ。 それと、あの鳥の蹴りは本当に強いから、まともに受けると蹴り飛ばされてしまうんだ。」


 そう言って、自分の左腕の剣の角度を斜めに向けているところを、右手の人差し指で示す。


「少し斜めに受けて、自分の体に当たらない様にしてあげるだけにするんだ。 俺の場合は両手に剣を持っているから、向かってくる方向によっては逆も有るけど、ルーミラは、左腕が盾だから向かってくる魔物を、左側に誘導する様にして、盾で蹴りを受け流しながら、右の剣で斬り付ける感じかな。 それと見ていて分かったと思うけど、羽にも注意してね。 あの身体にしては、小さな羽だけど、当たると結構痛いし、跳ね飛ばされる事も有るから、羽の動きにも注意が必要だよ。」


 話が終わる頃には、魔物がコアに変わって地面に残っていた。


 アメルーミラは、レィオーンパードの話を聞いて、自分の動きを確認してる。


「流石に慣れている人は動きも違いますね。 とても参考になります。」


 それを見たレィオーンパードが、アメルーミラに聞く。


「どうする。 次の魔物に挑戦してみる? 」


 レィオーンパードの質問にアメルーミラは少し焦る。


「いや、ちょっと、まだ、自信がないです。 もう少し待って下さい。」


 アメルーミラは、本音で答えた。


 昨日、冒険者になって、こんなに大きな魔物と対峙するのだ。


 絶対に無理だと言われても、仕方が無いのだが、ちょっと待ってと言ったのなら、何度か見てイメージを固めれば、戦うと言い出すだろうと、レィオーンパードは思ったようだ。


「そうだね。 全部同じ動きや攻撃をするわけじゃ無いからね。 俺もなるべく右に動いて、左で受け流して攻撃する様にするね。 その方がイメージし易いだろうし。」


 アメルーミラの盾を有効に使う方法に合わせて、レィオーンパードは、攻撃をすると言った。


 それを聞いて、アメルーミラは、ありがたいと思ったようだ。


「助かります。」


 笑顔で答えるアメルーミラを見て、レィオーンパードは、少し赤くなる。


 それを見て、その赤くなった表情が、なんでなのか疑問に思ったので、アメルーミラは、思わず尋ねてしまった。


「あのー、どうかしましたか? 」


 尋ねられて、自分の心の中を、覗かれたようで、レィオーンパードが、焦って答える。


「いや、何でもない。 じゃあ、次に行こう。」


 そう言って、周囲を見渡していくと、100m程先の魔物に狙いをつけると、2人は、そちらに歩いていく。


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