アメルーミラの試験と鳥の魔物
昼頃には、アメルーミラの剣もそれなりに扱える様になり、シュレイノリアの、 “アトラクト” も特定の魔物だけを引き寄せられる様になったのと、集めたコアが大量になった事と、場所が帝都周辺という事で、一旦戻ることにする。
アメルーミラのコアもズボンや服のポケットに入らず、レィオーンパードが持っていた皮袋に入れて持っていた。
帝都の南での狩なので、ギルドでコアの換金をして、昼食を取ることにした。
換金してみるとアメルーミラが集めた魔物のコアの代金は中銅貨5枚と銅貨6枚になっていた。
その内の中銅貨2枚をレィオーンパードに渡そうとするが、レィオーンパードは受け取れないと言う。
悲しそうな顔をするアメルーミラに困ったレィオーンパードはジューネスティーンに助けを求める。
仕方が無いのでジューネスティーンは、レィオーンパードをフォローする様にアメルーミラに言う。
「そのお金で、ちゃんとした武器を買う事になるし、装備も揃える必要が有るから、それも含めて持っておく様にしておいて。」
そう言われてアメルーミラは、渋々、換金されたお金をポケットにしまう。
昼食を取り終えると、馬車を出して少し遠くまで行く事にした。
先日、飛べない鳥の居た場所まで行く事にする。
犬型の小さな魔物については対応が出来てきたので、地を走る鳥の魔物を狩る事にする。
可能な限り、色々な魔物に対応出来る様に配慮して、ジューネスティーンは、アメルーミラに声をかける。
「今度の魔物は、午前中より大き目なので、少し勝手が違うけど、午前中の感じなら対応出来ると思う。 レオンがフォローするから、色々と試してみるといいよ。 それと、万一の事が有るといけないから、この盾を使って。」
そう言うと、後から降りてきたシュレイノリアがアメルーミラに盾を渡す。
「盾の取り付けに、その杖は邪魔になるから、私が預かっておく。」
そう言われて、スリングショットの付いた杖をシュレイノリアに渡す。
受け取った盾は、それ程大きな物ではなく、幅30cm長さ50cm程で内側には、腕で握る取手と腕を固定するベルトが付いていた。
ほぼ長方形をしているが、角は丸くなっていて、盾の表面も腕に沿って丸まっている。
盾は受ける力が分散させたり、丸みを持たせることで、受ける力が大きくても貫通しにくくなっている。
金属製では有るが、軽い素材で作られているので、アメルーミラは少し不安になる。
それを見ていたジューネスティーンが、盾の説明をする。
「その素材は鉄じゃ無いんだ。 軽い金属を何種類か混ぜてあるので、一般の金属より軽くて強度が有るんだ。」
それを聞いて、少し安心したのか、左腕に持って、ベルトを右手で止めている。
上手く止められずにいると、レィオーンパードがそれを手伝いだす。
取り付け終わると、アメルーミラはお礼を言った。
その様子を見て、シュレイノリアは、杖を渡すのだが、アメルーミラは、杖を左手で持つと、盾に当たってしまうことが少し気になる様子で、持ち方を考え出す。
アメルーミラとすれば、自分で初めて作った武器なので、愛着があるようだ。
少し、盾の取り付け位置を変更して、手首を、わずかに出るようにと動かすが、長さが、50cmということで、手首を出すには至らなかった。
盾の位置を確認しつつ、ちょうどよい位置を探していた。
アメルーミラは、少し考えたようだが、なんとか、妥協点を見出したようだ。
装備がととのったので、レィオーンパードに指示を出す。
「最初は、どんな魔物か分からないと対応が遅れるかもしれないから、2・3匹倒すのを見せてあげてくれ。 ルーミラに魔物の感じを掴ませてあげるようにね。」
今回も、レィオーンパードが、アメルーミラの先生役となる。
「わかった。」
レィオーンパードは、嬉しそうに答えると、アメルーミラが、レィオーンパードの装備を見て尋ねる。
「レオンさんには、盾は無いのですか? 」
不思議そうに言うので、レィオーンパードは、自分の戦い方を話す。
「オイラなら大丈夫。 この前も、こいつらとは、戦ったことがあるから、大体の事はわかる。 それにオイラは盾の代わりに、2本の剣を持っているから、2本目が盾の代わりになるんだ。」
そう言って両腰に付けた短剣を引き抜いて、逆手に持った剣を腕に沿ってかまえる。
「盾のようにカバーは出来ないけど、剣を、上手く使って攻撃を防ぐんんだ。 だから僕の剣は、指の手前にガードが付いているんだ。」
そう言うと、剣を鞘に納める。
「ふーん。 僕ねえ。」
「ダメですよ。 アンジュ、あまり、揶揄っちゃ、かわいそうですぅ。」
レィオーンパードの、僕にアンジュリーンが、反応した。
それを、アリアリーシャが、言葉では止めているのだが、表情は、レィオーンパードを面白がって見ていた。
2人の女子の言葉が、レィオーンパードにも聴こえているので、レィオーンパードは、頬を赤くして、アメルーミラに声をかける。
「じゃあ、ルーミラ。 少し先の方で、狩ってみようか。」
そう言って、レィオーンパードは、アメルーミラを引き連れてメンバーから少し離れる。




