アメルーミラの未来について
その弾道を追い掛けて、やっと見つけた時は、スリングショットの小石が、魔物の頭にヒットして倒した所だった。
アメルーミラが、獲物の所に向かうのを追い掛けるレィオーンパードだが、5m程の距離になったところで、アメルーミラは、歩みを緩めて、周囲を警戒する。
周りに他の魔物がいない事を確認して、先ほど倒した魔物のそばに行き、コアを拾い上げる。
拾い上げる際も、周囲の警戒は怠らない。
完璧な動作だ。
近くに魔物が居ないと判断すると、レィオーンパードに向かって声をかける。
「今度は、スリングショットで倒す事ができました。」
嬉しそうに報告をする。
少し離れたところで、見ていたメンバー達もアメルーミラの対応力の速さに驚いている。
アンジュリーンが、ジューネスティーンに、試験を終わらせても良いと思い、ジューネスティーンに話しかける。
「ねえ、そろそろ良いんじゃない。」
「ああ、そうだな。 スリングショットであれだけの腕なら、あの娘に弓を使わせてみたいな。」
「そうね。 って、私のは嫌よ。 貸すならカミュルイアンに頼んで! 」
アンジュリーンは、自分の弓を人に使わせることが嫌なのだろう、ジューネスティーンの話から、その可能性があると思って、慌てて、あらかじめ自分の弓は使わせない様に言った。
「それは、もう少し後の話だ。 もう少し、あの娘が稼げる様になってからになる。 もう少し、狩に慣れてきたら、カインクムさんにでも、相談してみよう。 安い弓が手に入るかもしれないから。」
アンジュリーンは、自分の弓を貸し出すことは無いと思うと、ホッとした表情を浮かべた。
「それに、あれなら俺達と別れても何とかやっていけるだろう。 それまでに、色々な武器にも慣れてもらっておくのもいいと思うんだ。」
ジューネスティーンの話に、やれやれと、言った感じでアンジュリーンが答える。
「アフターケアは万全って事ね。」
2人は、納得するような表情をすると、アメルーミラ達に、視線を向ける。
ジューネスティーンは、2人に聴こえる様に大きな声で、話しかける。
アメルーミラの様子から、もう少し別の魔物にも対応できるか見てみたいと思ったようだ。
「そろそろ、場所を変えてみよう。 こっち戻って来て。」
そう言うと、レィオーンパードは、ジューネスティーン達の方を向いて手を振ってから、ジューネスティーン達の方に向かってくる。
戻ってきた2人にジューネスティーンは、アメルーミラ話しかける。
「スリングショットも、精度が上がってきたみたいだね。」
そう言われて、アメルーミラは笑顔になる。
「ええ、色々とアドバイスをいただけたので、命中させることも出来ました。 感謝してます。」
「剣の方はどう? 」
そういうと、笑顔が消えてしまった。
「やっぱり、まだ、レィオーンパードさんのようには使えそうに無いです。 でも、もう少し試せれば、何とかなると思います。」
レィオーンパードの太刀筋を見て、それと同じ動きしたいと思っていたのだろう。
ジューネスティーンとしては、初めて使う剣であれだけの動きができれば問題ないと考えていたのだが、アメルーミラは、理想の形にならなかった事を反省していた。
その言葉に狩場の移動をしようとしていたジューネスティーンは、戸惑ったようだ。
(今の魔物でなら、スピードの面で、魔物の反応に対応できる速度を訓練できるのかもしれないな。 だったら、今の狩場で、このまま続けた方がいいのかもしれない。)
ジューネスティーンは、考えがまとまった様子で、話しかける。
「じゃあ、もう少しこの辺りで狩ってもらおうかな。 それで、スリングショットは、おびき寄せに使う様にして、魔物の脇に着弾させてみて。 狙い所は、魔物の顔の先、できれば、少し自分側の方に着弾させて、直ぐに自分の方に向かって来させられる様にしてみて。 この程度の魔物なら問題無いだろうけど、レィオーンパードにフォローさせるので、安心して剣の使い方を試してみて。」
「そうさせて貰えると助かります。 初めての剣なのでやはり勝手が良く分からないので、この辺りで狩れるなら、その方がありがたいです。」
「なら、レィオーンパード、少しみてやってくれ。」
「はーい。」
そう言うと、2人は少し離れて、魔物を狩り始める。




