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攻撃の応用


 アメルーミラは、早速、頭の中で、レィオーンパードの動きを思い出しつつ、どんな動きをしたのかイメージしていて、体を動かしてしまったのだ。


 それを見て、アメルーミラの意欲の高さにジューネスティーンは、感心したようだ。


「それと、自分に向かって来る魔物は、直前で飛び跳ねて来るはずなんだ。 そういった時の動きに対応するにも、下から上に上げた方が対応が楽になる。」


 アメルーミラは、少し疑問が出てきたようだ。


「魔物のは、なんで、飛び上がってくるのでしょうか? 」


「ああ、あれは、多分、本能で動いている可能性が高いと思うんだ。 本能的に相手の首筋を狙っているのだろうね。 それに、この辺りの魔物は、小さいから、相手に致命傷を与えるなら、首筋だけだと思っているのかもしれないね。」


「ねえ、ジュネス。 ユーリカリアさん達と戦った魔物は、腕を振り回していたじゃない。 攻撃力の高い魔物は、首を狙わないわよ。」


 横から、アンジュリーンが、話に入ってきた。


「ああ、あの魔物は、Bランクだったから、攻撃力が高かったから、腕を振り回すけど、飛び跳ねるようなことはって、あれ、身長2.5mもあったから、人が相手なら、飛び跳ねなくても、致命傷が与えられそうだったね。」


 ジューネスティーンは、少し考える。


「うん、やっぱり、この辺りの魔物の大きさだと、飛び上がって首筋を狙うしか攻撃手段が無いのかもね。」


 すると、ジューネスティーンは、また、別のことを考えついたようだ。


「ああ、ルーミラ。 もし、自分が攻撃のためにジャンプするのは、やめておいた方がいい。」


「それは、どういうことなのですか? 」


「ああ、人も動物も、鳥とは違って、空中で方向を変えられないだろう。 だから、回避することができないんだ。 強いように見えるけど、隙が出来やすい攻撃方法なんだよ。」


「ああ、それで、飛び跳ねてきた魔物に対しては、こっちの攻撃方法も下からになるのですね。」


 アメルーミラは、下からの攻撃する様にと言っていた意味が、何となく分かったようだ。


 すると、疑問が浮き上がったようだ。


「間違って、上から振り下ろしてしまったり、時間的に下から攻撃することができなかったらどうしますか? 」


 アメルーミラは、可能性についての話をした。


 魔物の狩を行なっていて、いつも同じ方法が使えるには、狩の前に自分の思った戦闘に備える必要がある。


 しかし、どんな戦闘でもイレギュラーはある。


 その場合についての質問をしてきたことは、狩について、頭の中でイメージができているのだろうと思ったようだ。


「この辺の魔物で、走っている魔物を、上から振り下ろして首を斬り落とそうとした時は、剣の上に飛ばれて躱されるかもしれないね。 そうなったら、自分の首や顔を守る術が無くなってしまうからね。 でも、足が地についているなら、左右に動く事もできるし、下に潜り込むことも可能になるよね。」


 そういうと、アメルーミラは、一瞬、考えると、ジューネスティーンに聞いた。


「その場合、魔物からの攻撃手段は何かありますか? 」


「可能性は低いけど、爪による攻撃が考えられるよね。」


「なら、今の魔物だったら、その手足の広げられる範囲から離れてしまえば、攻撃は受けなくて済みますね。」


「ああ、そうだね。 その時は身体を伏せて、上を通り越させるか、左右に回避することで、魔物の攻撃できる範囲から外れるか、今のレィオーンパードの様な、片手の短剣の両手持ちなら、もう一方の剣でガードするようにしながら刃を入れる位かな。」


 考えるアメルーミラが呟く。


「最悪を想定したら、左腕に盾かガントレットが欲しいところですね。 私の様な初心者だと、腕を噛み切られる可能性が出てくるかもしれません。」


「左腕に装備する盾かガントレットは、有れば、その分生存率は上がるね。」


(この娘、案外、良いセンスしているかも。)


 ジューネスティーンは思う、それなら、もっと教えても頭に入ってくるのではと思い、更に解説を続ける事にする。


「それと、剣を使うのは、腕の力が必要なんだけど、それ以上に足も重要なんだよ。 さっきのレィオーンパードの動きでも、体捌きが重要になるんだ。 位置取りを、一瞬で切換えるから、下半身が強くないと、ああいった動きは出来ないんだ。 剣を振る腕の力や握力も重要だけど、それ以上に、足で身体を安定させる事もよく考えてね。 バランスを崩すのは、大体、下半身が弱いから起こるんだ。 そういった筋力を上げるだけなら、裏庭とかで、筋力トレーニングするだけでも違ってくる。」


「あっ。」


 アメルーミラは、思わず声が出た。


「そうだったんですか。 あの攻撃を成立させる為には、足の動きが重要だったのですね。」


 ジューネスティーンは、アメルーミラが、理解してくれた事を満足して、表情が柔らかくなる。


「そう、複数の魔物と対峙しなければならないから、余計に体捌きが重要になって来るんだ。 その為の足の動きなんだよ。 そこまで理解してくれる初心者は中々居ないね。」


 さっきの腕に固定する盾に気がついた事、今の体捌きを成立させるための下半身の事、話した事を受け入れ頭の中で考察している。


 アメルーミラは、理解力が高いと、ジューネスティーンは、考えた様だ。


 それなら次の段階に進んでも、問題無いだろうと判断すると、ジューネスティーンは、次の課題をアメルーミラに出す。


「じゃあ、スリングショットで魔物を撃つ、当たって終わりでも良いが、外れて向かってきたら、その短剣で対応するって感じで、少しこの辺の魔物を狩ってみようか。」


 そういうと、アメルーミラは、自分のスリングショットと組み合わせる剣を指摘された事で、自分の昨日までの狩りが無駄では無かったと思う。


「そうですね。 私には、その方法があってそうですね。 でも、少し練習させてください。 昨日の成果は運が良かっただけの様なので、今のレオンさんの動きを練習してみたいです。」


 人の動きを把握するだけでなく自分自身の能力も、客観的に見ているのだろう。


 慎重さも持っているので、自分のリスクを考えつつ行動できる。


 別れた後も、無謀な依頼を受ける事も無いだろうと、ジューネスティーンは考えていた。


「なら、レィオーンパード、少しみてやれ。」


「うん。」


 そういうと、ジューネスティーン達は、少し離れて、アメルーミラの練習を見る。


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