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冒険者になったアメルーミラとスリングショット

 

 アメルーミラが、昨日、冒険者になったと聞いて、ジューネスティーンとメンバー達は、驚いている。


 ギルドに聞いて、スリングショットを作ったのも、昨日なら、帝都周辺で魔物を狩ったのも初めてで、Eランクの冒険者が、簡単に倒せるような場所でないことも知っているので、ジューネスティーン達は驚いたのだ。


 その辺りが分かっているメンバーは、ちょっと信じられない顔をすると、シュレイノリアとジューネスティーン以外のメンバーは、お互いに顔を見合わせていた。




 ジューネスティーンは、アメルーミラの顔を見つつ、もう少し細かく聞く必要があると判断したようだ。


「すまないが、試験を始める前に、ちょっと、聞いても良いか? 」


 そう言われて、何かいけない事を言ってしまったのかと思ったのだろう、アメルーミラは、不安そうに返事をする。


「はい。」


 アメルーミラが、心配そうに答えると、ジューネスティーンは、もう一度、アメルーミラが、冒険者になった話を初めから聞いた。


「冒険者に登録したのは、昨日だったんだよな。」


「はい。」


「それで、昨日、何匹倒したんだ。」


「えーっと、7匹です。」


 アメルーミラは、一瞬、スリングショットを使って倒した数を聞いているのかと思ったが、ジューネスティーンが、昨日と言ったので、最初に偶然倒したキツネリスの1匹と、スリングショットで倒した6匹と合わせて答えた。


「スリングショットは、ギルドの受付で教わったのか。」


「はい。」


「その時、スリングショットについて詳しく教えてもらえたのか? 」


 アメルーミラは、スリングショットをルイゼリーンに教わったこと、武器屋の亜人に教えられた事を思い出しながら答える。


「それ程、詳しい事なのか分かりませんが、Y字の木にゴムを付けるだけだから、ゴムだけ買えば良いとだけ、ギルドでは、教えてもらいました。 それで、形は武器屋の物を参考にするように言われました。」


 アメルーミラは、最初にギルドでルイゼリーンに教わったことを伝えると、その後の事を話し続ける。


「それで、武器屋で飾ってあたのを見たのですけど、あんな複雑な形には出来ないと思ったので、Y字の木を探して作ってみました。」


 ジューネスティーンは、スリングショットは使った事は無いが、武器屋などで見た事があるので、その形を思い出す。


 一般的な物は、握り手の部分から、腕に固定するためのロック用の金具が有り、力が弱くても手首がブレないようになっている。


 簡単な物は、確かにY字の木にゴムを取り付けただけになっていたが、子供が的を当てて遊ぶ程度の簡単なものなので、武器屋に売っているとは限らない。


(ゴムだけで、杖に付ける事を考えたのか? 見たところ、杖として突いているところには、色々と傷も有る。 棍棒としても使う事を考えていたのか? )


 ジューネスティーンは、疑問を見つけるようにしつつ、アメルーミラの杖を見ていた。


「杖に、ゴムを付けたのは、何か意味が有ったの? 」


「いえ、ギルドで聞いたのは、Y字の木と言われただけだったので、大きさは聞いてなかったから適当です。 木の枝を折った時に、たまたま折れた長さがこの長さだったので、それに杖代わりになれば、歩くのも楽だとおもってそのままにしておきました。 でも、そのお陰で棍棒代わりになったので助かりました。」


 話を聞く限り、スリングショットについて予備知識も無しに話だけ聞いて、店の展示品を見てそれらしい物を作ってしまったこと、偶然ではあるが、杖や棍棒としても使えるようにしていた事が、昨日1日を乗り越えられたのだと分かった。


 ジューネスティーンとしても、簡単なアドバイスで、それを直ぐに実行して、実績を作ってしまったアメルーミラに、才能の断片を見たような気がしたようだ。


「成る程、面白そうな武器なんだな。 俺もその性能を見たくなったよ。 少しスリングショットについて調べたいから、スリングショットの飛距離とかも見せてもらえるかな。」


 ジューネスティーンは、アメルーミラの試験より、そのスリングショットの性能について、見極めたいと考えたようだ。


 その様子を見て、アメルーミラは、自分が何か失敗したのかと思っていたが、ジューネスティーンの言葉で安心した様子をする。


「構いませんよ。」


 アメルーミラの了解が取れたので、実際に魔物に対してどれだけ有効なのか、試すために、ジューネスティーンは、具体的に魔物を見つけることにしたようだ。


「じゃあ、ちょっと待ってね。」


 そういうと、シュレイノリアに指示を出す。


「魔物を探索してもらえるか? 今、一番近いところに居る、魔物の位置を教えてほしい。」


「分かった。」


 そういうと、シュレイノリアは、無詠唱で魔法を使う。


(サーチ! )


 目を瞑って魔法を心の中で唱えたので、周りには、一瞬、シュレイノリアが目を綴じたように見えていた。


 直ぐに、目を開いて、場所を指示する。


「あっち、1匹。 それ、一番近い。」


 そう言って、西の方角を指差すと全員がその方向を向く。


 アメルーミラは、シュレイノリアが、魔物を探す事を不思議に思ったようだ。


 通常なら、耳の良いウサギの亜人であるアリアリーシャか、目の良い亜人のレィオーンパードが、探すのかと思ったのだが、人属であり、亜人より、聴覚も視覚も劣るシュレイノリアに、指示を出したことが不思議に思えた。


 また、目を瞑ってしまい、無詠唱だった事で、魔法を使って魔物を探したのか分からなかったのも、アメルーミラが、不思議に思った要因といえる。


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