アメルーミラの剣と呼び方
7人で朝食を済ませると、ジューネスティーン達の部屋に戻って、狩の準備を始める。
アメルーミラは、昨日借りた、アンジュリーンの服から、昨日着ていた服に着替えた。
着替えが終わったアメルーミラは、スリングショットを手にして、6人が使っている、リビングで装備を付けているの見ていた。
その姿を見て、あれだけの武器では、物足りないと、ジューネスティーンは思ったようだ。
アメルーミラの装備は、装備といっても、杖にスリングショット用のゴムが付いただけの、簡単なものなので、ジューネスティーンは、持っている予備の刃渡り30cm程の短剣を渡す。
「剣は、ほとんど自分で作ったものだけなので、曲剣だけなんだ。 突き刺すもできるけど、斬る方に特化した剣なんだ。 良ければ、使ってみてくれるか。」
そう言って、アメルーミラに予備の剣を渡す。
「剣は、使ったことが無いので、何ともいえませんが、簡単にレクチャーして貰えば、使えるようにします。」
アメルーミラは準メンバーであっても、メンバーの中に加わらなければいけないので、積極的になっているようだ。
「なら、レィオーンパードか、アリアリーシャに教わるといい。 そのサイズの剣の使い方は、2人の方が得意だから。」
ジューネスティーンが、言うと横から声が掛かった。
「じゃあ、俺が教えるよ。」
レィオーンパードが、ジューネスティーンの話を聞いていて、直ぐに、名乗りを上げた。
それを見たアンジュリーンが、目を細め、少し顎を上げて眺めているが、何か言う気配はない。
横に居たアリアリーシャが、にこりとしてレィオーンパードに、その役目をお願いする。
「じゃあ、レオンにおねがいしますぅ。」
アリアリーシャは、面倒が減ったと思ったようだ。
レィオーンパードが、短剣の身に付け方を教えるため、自分の短剣の付いてあるところを見せる。
「じゃあ、ルーミラ、こんな感じで剣を取り付けて。」
アメルーミラが腰に取り付けるのだが、レィオーンパードが、自分をルーミラと呼んだ事が気になって、レィオーンパードを覗くように見る。
レィオーンパードは、何か気になるような事を言ったのかと、不思議そうな顔で見返すので、アメルーミラは、少し顔を赤くして慌てて、腰に剣を取り付けていく。
ただ、アンジュリーンとアリアリーシャは、驚いたような顔で、お互いに顔を見合わせてから、クスクスと笑う。
すると、アメルーミラを見る。
「ねえ、アメルーミラ。 私達も、あなたの事を、ルーミラって呼んでもいいかしら? 」
アンジュリーンは、少し意地悪そうな顔でアメルーミラを見ている。
アメルーミラは、少し恥ずかしそうにアンジュリーンんを見る。
「はっ、はい。」
その表情を見て、ニタリと笑う。
「でも、その呼び方は、レオンだけにしてもらいたいのなら、私たちは遠慮するけど。」
アンジュリーンは、少し意地悪に言う。
「いえ、そんな事はないです。 好きに呼んでいただければ構いません。」
それを聞いていたレィオーンパードが、ムッとした表情をアンジュリーンに向ける。
「アンジュ、そんな言い方しなくてもいいだろ。」
「あっ、そうか、ルーミラって呼び方は、レオンに断ってからじゃないといけなかったのね。」
「そうですぅ。 ちゃんと、レオンにぃ了解を取らないといけないわよぉ。 アンジュ。」
アンジュリーンの話に、アリアリーシャも乗ってきた。
弟分の淡い恋心をみて、2人とも楽しんでいるようである。
レィオーンパードもアメルーミラも、顔を赤くしている。
レィオーンパードは、何か言い返そうとしているようだが、言葉が見当たらない様子である。
そんな2人を見て、アンジュリーンとアリアリーシャはクスクスと笑っている。
ちょっとした意地悪のつもりだったのだろうが、2人が思った以上の反応をしたので、それが面白かったようだ。
そんなやりとりを見ていたジューネスティーンが声をかけてきた。
「ああ、ルーミラか。 ねえ、アメルーミラ。 アメルーミラさえ良ければ、これからはルーミラと呼んでもいいかなぁ。」
「え、ええ、まぁ。」
「うちの連中は、全員が愛称だから、俺が、ジュネス。 シュレイノリアは、シュレ。 アンジュリーンは、アンジュ。 カミュルイアンは、カミュー。 アリアリーシャは、アリーシャ姉さん。 レィオーンパードは、レオン。 こんな感じで呼んでいるし、それに戦闘中は、慌てていることもあるから、短い方が呼びやすいって事もあるから、そうしてもらえるとありがたいんだ。」
アメルーミラは、少し嬉しそうな顔をする。
愛称で呼ばれる事が、なんだか仲間意識が高い様な気がしたのと、付けてくれたのが、レィオーンパードだった事が嬉しかったようだ。
「はい。 ルーミラと呼んでください。」
アメルーミラは、少し恥ずかしそうに答えた。
ただ、アンジュリーンとアリアリーシャとしては、少し物足りなかった様子を見せている。
自分達の弟分のレィオーンパードの淡い恋の行方を見てみたかったようだ。




