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洗濯の魔法


 アメルーミラは、アンジュリーンに借りた服だけの話をされた事で、アリアリーシャの下着についてまで、見られなかった事にホッとする。


 今のアメルーミラは、ヲンムンの奴隷となっているので、ヲンムンに服を脱いで相手をしろと言われれば、それを拒む事はできない。


 拒めば、また、胸の奴隷紋によって、体に痛みが走るのだ。


 今日の奴隷紋解放の時の痛みを思えば、その恐怖は、記憶に強く刻まれている。


 アメルーミラは、沈黙を嫌った。


 冗談でも、嫌な命令をされたくないと思い、必死で、話題を探すと、着ていた服の話をされていた事から、シュレイノリアの魔法の洗濯の事を思い出した。


「そう言えば、魔法職の女性が服を洗ってくれたのですが、空中に大きな水玉を作って、その中に汚れた服を入れて、中で服がグルグルと回ったり止まったりしていました。」


 アメルーミラは、必死にその時の事を思い出しながら、状況を説明する。


 ヲンムンが、変な気をおこなさにように、その時の事を話し始める。


「まるで水の中で服が踊っているみたいでした。 しばらくして、水だけが落ちて、新たな水玉に服を入れて同じ様にしてました。 それが、終わると、服が綺麗になってました。 見た事も無い魔法だったので良く覚えています。」


 ヲンムンは、アメルーミラの話を聞いて、その状況をイメージしている様子で、考え始めていた。


「なんだ、聞いた事も無い魔法だな。 水玉の中に服を入れるのか。」


 その答えに、アメルーミラが肯く。


(どうも、アイツら自身のオリジナル魔法の様だ。 服を水玉の中で洗うなんて、聞いたことがない。)


 ヲンムンは、今の話から、もっと情報を得ようと思ったようだ。


 アメルーミラの話から、足りない情報を探していた。


「ところで、その水玉はどの位の大きさだったんだ。」


「この位だったと思います。」


 アメルーミラは、手で、1m程の円を描いてみせる。


(こんな水玉が、・・・。 水玉と言ったな。)


 ヲンムンは、気になった事を、アメルーミラに聞く。


「おまえ、水玉って言ったな。」


 アメルーミラは肯くと、ヲンムンは、疑問が、頭の中に浮き上がってきた。


(今の話を総合すると、その洗濯の水玉は、宙に浮いていたって事なのか? )


 自分の疑問を、ヲンムンは、アメルーミラに質問する。


「それは空中に浮いていたのか? 」


 さらに、アメルーミラは肯く。


 水が空中に浮いてたと言う。


「なら、その魔法職は、その水玉にずっと向かって魔法をかけ続けていたのか。 かなりの魔力の持ち主なのか。」


 自分の考えを、まとめる為に声に出したのだが、アメルーミラは、それを否定する。


「いえ、その魔法職の人は、最初に何か呪文を唱えたみたいですけど、唱えたら、そのまま、シャワーを浴びたり、体を洗ってました。」


 ヲンムンは、それを聞いて驚いた表情を、アメルーミラに向けた。




 ヲンムンは、帝国軍に所属している。


 魔法については、入隊した時に、一通りの学習をする。


 その時に、魔法職の魔法は見ているが、魔法を発動させて終わるまで、一心不乱に魔法に念を送っていた。


 よそ見をすると、その魔法は消えてしまうのものだと教えられたのだ。


 魔法攻撃を受けた際の、防御としても魔法士の集中を妨げることで、魔法を中断させることができると教わったし、他のスパイ活動の際に、自分自身も魔導士の集中を途切らせることで、致命傷を受けずに逃げ切った事も有る。


 それだけ、大きな水玉を空中に浮かせ続けるには、ずっと、その水玉に念を送り続ける必要があると、ヲンムンは考えるのだが、その魔法士は、一度魔法を掛けたら違う事をしているという。


「意味が分からない。」


 ヲンムンは思わず言葉を発してしまう。


 だが、自分が知らない魔法を持っているのなら、その魔法について報告するだけでも有益だろうと、ヲンムンは思った様だ。


「そうか、その魔法士の魔法についても、どんな魔法を使ったのかも報告しろ。」


 ヲンムンに言われて、アメルーミラは、服を掛けたハンガーラックが、魔法紋の中から出てきた事を思い出した。


「はっ、はい。 後、魔法紋の中から着るものを出してました。 この服も、その中から出してもらったものです。」


 それを聞いたヲンムンは、あのメンバーの中に、収納魔法を持つ者が居る事に気がつく。



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