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シュレイノリアの報告とジューネスティーンの思い


 一方、ジューネスティーンとシュレイノリアは部屋に入ると、着替えて一緒のベットに入る。


 シュレイノリアは、ジューネスティーンに寄り添いながら話す。


「多分、彼女は誰かの奴隷だと思う。」


 そう言われて、ジューネスティーンの顔色が変わる。


 シュレイノリアは、ジューネスティーンの顔色を気にする事なく、話を続ける。


「でも、さっきバスルームでは奴隷紋は確認できなかった。 恐らく表に現れない奴隷紋をきざんでいるか、外から見えない部分に刻まれていると思う。」


 シュレイノリアの言葉に、ジューネスティーンが尋ねる。


「何でそう思うんだ? 」


 不思議そうにジューネスティーンは、聞いた。


「彼女の周りの魔素の反応の中に、彼女に纏わり付く様に流れる物が有った。 最初は何なのかわからなかった。 でも、さっき、 “嬲られて奴隷に売られる恐怖が分かるか。” と、言った。 あれは多分彼女の経験談。 それで彼女に纏わり付く魔素は、奴隷として拘束している魔素だと確信した。」


 ジューネスティーンは、なるほどなと思った様だ。


 シュレイノリアは、魔素の流れを検知することで、サーチの魔法を使える。


 目に見えない奴隷紋を刻まれていたとしても、周囲を漂う魔素を検知したら、魔法の痕跡も確認できる。


 奴隷紋も魔法の延長線上にあるなら、奴隷紋にかかる魔素の流れも検知できる事になる。


 それをシュレイノリアは、確認したのだろうが、最初は、それが何だったのか分からなかったのだろう。


 だが、アメルーミラの話から、その纏わり付いている魔素が、奴隷紋によるものだと確信した様だ。


 そんな事なのだろうと、ジューネスティーンは、考えてた様だ。


 ジューネスティーンの考えていることを気にする事なく、シュレイノリアは、話を続ける。


「それと、彼女の服は汚れていたけど土埃が多かった。 盗賊から逃げたのなら、帝都に入るまでに、数日は掛かる。 走ったりする。 服の汚れを洗濯するような余裕は、盗賊から逃げている人には無い。 だから、汗の汚れが酷いので、もっと、服から臭いがするはずなのだが、体からは匂いがあったが、服からは少なかった。 それと、あれは帝国風の服だから、恐らく、帝国に来てから買った物だと思う。」


 シュレイノリアの解説に、ジューネスティーンは納得がいったようだ。


「成る程、そうなってくると、彼女の目的は俺達の監視だろうな。」


(それに、盗賊に追われている身で、帝都の外での狩をしてた事も変な話た。 命辛辛逃げてきたのに、呑気に帝都の周りで狩をしていたことも、おかしな話だな。 通常なら、帝都に入って、俺達の事を知ったら、狩りなんてせずに、金糸雀亭で待つだろうな。 やはり、帝国軍から送られたスパイなのか。)


 ジューネスティーンが、考えていると、シュレイノリアが聞いてくる。


「彼女の事、どうするの? 」


「今日の監視役は、違う人だった。 監視役が、替わったのかと思ったけど、このタイミングでアメルーミラの接触だから、帝国の監視の一環だろう。 東の魔物が、現れるまでの時間潰しには、丁度良いかもしれない。 彼女を上手く使って、帝国の監視を欺く事にしよう。 明日になれば、アメルーミラの主人も分かる。」


 ジューネスティーンが、アメルーミラを使って欺く事を考えているとわかると、シュレイノリアは安心する。


「なら、問題無い。」


 そう言うと、シュレイノリアは欠伸をすると、ジューネスティーンの横で、寝息を立て始めた。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアの寝顔をみてから、また、アメルーミラの話について、考え出すのだった。


(食堂で言っていた事は、ある程度は、本音で言っていたのだと思えた。 渡航費用についての話の時も、それなりに答えになっていた。 それに北の王国での話は、おそらく、自分の話だろう。 あの年齢であそこまで、自分の素性を作って話をすることはできないだろうからな。)


 ヲンムンがアメルーミラに指示した、自分の話をそのまま伝える様にしたことで、アメルーミラの話の信憑性が増したのだ。


 これが、最初から作り話にしていたら、アメルーミラの様な素人では、必ず、ボロが出てしまう。


 ヲンムン自身も、帝国軍で情報部に所属しているのだから、素人を使う方法も心得ていたことが、アメルーミラの話でも、相手に納得させられる話になったのだ。


 ジューネスティーンは、アメルーミラが帝国のスパイだと思われるのだが、それを完全に切り崩すこともできなかったのだから、それなら、アメルーミラを使って、情報操作をする事を考えればいいのだ。


 その方法を模索しているのだが、見えない奴隷紋について考える必要に迫られていると思った様だ。


 魔法については、パワードスーツの開発の時に、シュレイノリアにまかせはしたが、自分自身でも、それなりに魔法について勉強している。


 しかし、奴隷紋については、そういうものがある程度にしか調べてなかったので、どんな効果があるのかだとか、魔法紋の刻み方などについては、素人に近いのだ。


 奴隷紋の有効範囲、効果について、全くと言っていい程、知らないのだ。


(後は、奴隷紋か。 少し調べてみる必要があるのか。)


 そんな事を考えつつ、自分の腕に絡みつくようにして寝ているシュレイノリアの寝顔を見ながら、ジューネスティーンも眠りにつく。


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