アンジュリーンとアリアリーシャの思い
一方、アリアリーシャは、部屋のドアを閉めると、アンジュリーンに話しかける。
「アンジュ。 シュレは、多分、何か分かったのだと思いますぅ。」
「どう言うことなの? 」
不思議そうにアリアリーシャに尋ねる。
「シュレは、サーチを使えるでしょ。 あれは、確か、周りに漂っている魔素も検知できるはずですぅ。 奴隷紋は、元はと言えばぁ、魔法の類になるはずですからぁ、きっと、それを見たのかもしれません。」
そこまで聞くとアンジュリーンも、納得した様子を見せる。
「ああ、そういえば、バスルームで、胸の大きさを張り合ってたわね。」
「きっと、あの時、アメルーミラの胸に奴隷紋があるか、確認していたのだと思いますぅ。」
「でも、アリーシャ。 あの時、私も確認したけど、彼女の胸に奴隷紋は無かったわ。」
「そう。 無かったのよ。 だから、シュレは、アメルーミラの胸を、よく見ていたのだと思うわ。 張り合ったのは、胸の奴隷紋を確認していたけど、胸に出ていなかったからで、それを誤魔化すために、あんな態度を取ったと考えれば、納得できるわ。」
アンジュリーンも、その話には納得できる様な表情を見せるが、少し違う様な思いもある様だ。
着替え中にも、胸の大きさの話でシュレイノリアが、アンジュリーンに突っかかってきた事を思い出しているのだろう。
単純に、胸の大きさのことしか、考えて無かったのかもしれないという思いもある様だ。
「うーん。 そう言われてみれば、そうなのかもしれないわね。」
「それに、さっき、アンジュとの話を打ち切って寝ると言ったのも、その話をジュネスに相談するためだったかもしれないわ。」
「でも、なんで、メンバーの前で話さなかったのかしら。」
全員の前で、話ても問題は無さそうな気もするのだが、アンジュリーンには、話さなかった理由が気になっている様だ。
「レオンに、気を使ったのかもしれないわ。」
「レオン? 」
「そう。 レオンったら、きっと、アメルーミラに気があるわよ。 あなたの赤のワンピースを着ていたのを見た時のレオンの顔は、彼女に見惚れていたわ。 多分、そうよ。 きっと、カミューに2人もパートナーがいるわけだから、自分も欲しいと思ったんじゃない。」
「レオンかぁ〜。」
アンジュリーンは、困った様な顔をする。
「レオンは、まだ、16歳よ。 今まで、カミューと連んでいたけど、カミューにもパートナーができてしまったのよ。 レオンは、転移後から、ジュネスとシュレの2人とズーッと一緒だったの。 2人の弟の様だけど、レオンは弟で、上の2人は、兄と兄嫁か、姉とその夫みたいなものだったのよ。 そこにアメルーミラの様な、同じ位の年頃の女子が現れたら、気持ちは持っていかれるわよ。」
アンジュリーンは、アリアリーシャに言われて納得した様子を見せる。
「ねえ、でも、レオンはどうなるの? アメルーミラに惚れちゃったら、まずいんじゃない。」
「大丈夫。 あの位の年頃なら、麻疹見たいなものだから、居なくなったら、それで終わりじゃないかしら。」
その、あっさりとした答えに、アンジュリーンは微妙な顔をする。
「そうなのかもしれないわね。 あーっ、よりによって何でアメルーミラなのかしら、ヴィラレットさんでも良かったでしょう。」
困った様な気もするのだが、直ぐに別の恋に移る可能性も高いのかとも思ったようだ。
「そうね。 レオンの事は、ほっときましょう。 あの2人がどうにかなったとしても、種族が違うわけだから、カミューとは違うわね。 レオンの、初めてのお相手にはちょうど良いのかもね。 ヴィラレットさんと、いい仲になって別れたとかだと、ユーリカリアさん達も、遠慮がちになってしまうかもしれないから、あっちの2人のエルフの為にも、この状況は、良かったと思った方がいいのかもしれないわ。」
「そうです。 カミューは、子作りが目的ですけど、レオンは、どうにかなっても、遊びで終わるわけですから、それだけです。 飽きてしまえばそれで終わりです。 好きにさせておけばいいと思います。」
そう言って、2人は納得する。




