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アンジュリーン達の思い、アメルーミラの生活


 アンジュリーンとアリアリーシャは、アメルーミラの話に違和感を覚えるので、出来れば同行を許したくない。


 アンジュリーンは、そう、考えているのだが、それに確信が掴めていないので、話を切り崩す糸口が見つからずにいるのだ。


 こうなると、自分に賛成してくれそうな人をアンジュリーンは探すのだが、ジューネスティーンの横に居るシュレイノリアは、我関せずといった様子で食事を食べている。


 あまり表に感情を出さないので、分かり辛いのだが、ただひたすら食事を堪能している様なので当てにはならないと、アンジュリーンは考えた様だ。


 そうなると、残りは、アリアリーシャとなるので、横に居るアリアリーシャの方を向く。


 アリアリーシャも、何か言いたそうにしているのだが、言い出せずに居る様である。


 それは、多分、アンジュリーンと同じ様に、何かに引っかかっているのだが、それが何なのか分からないのだろう、それで、何か言いたいのだが、話をする事ができないでいる様だ。




 バスルームで確認した時に、アメルーミラには、奴隷紋は無かったのだが、話の内容から奴隷になった事がある様に思えると、アンジュリーンとアリアリーシャは考えている様だ。


 そして、一度、奴隷にされた亜人が、奴隷から解放される事は、金糸雀亭の様な主人に、出会える場合と、自分で奴隷紋を解放する場合と、選択肢は二つとなる。


 金糸雀亭の場合は、奴隷紋を刻んでいるのは、誘拐の危険を回避する為であるのだが、そんなレアケースの主人に出会えて、解除されたとは考えにくい。


 解除されたのであれば、アメルーミラは、奴隷紋が解除された話をしただろうが、その話も無かったと言う事は、現在進行形で奴隷として扱われている可能性が高いのだが、アリアリーシャとアンジュリーンには、奴隷紋が無かった事で、それを証明する手立てが無いのだ。


 可能性が高いからといって、アンジュリーンとアリアリーシャの2人に、それをこの場で口に出す勇気は無いのだ。




 年齢的にも話の内容からして、つい最近のことか、昨日までの事なのかもしれない。


 アンジュリーンとアリアリーシャの引っ掛かっているところは、どちらも同じなのだが、肝心の奴隷紋が無かった事を、どう繋げて話を切り崩すのか悩んでいたのだ。


 2人としては、メンバーの中に爆弾を入れたく無いと考えているのだ。




 すると、ジューネスティーンが、アメルーミラに別の話を聞き始める。


「ところで、北の王国に居た時は、どんなところに住んでいたんだ。」


 重くなった空気を変える為にジューネスティーンは、昔の生活について尋ねてきた。


 アメルーミラも、この場の雰囲気に困っていたのだろう、ジューネスティーンの言葉に助かったと思ったのか、一呼吸おいてから話し始める。


「北の王国に住んでいた時は、王都の郊外というより田舎の方に住んでました。 父が工芸品を作っていたので、その材料が揃えるのに都合が良かったので。」


「お父さんの工芸品ってどんなものなの。」


 ジューネスティーンは、話が続いた事で、少し、ホッとした様子をしながら話を続けた。


「木を削った彫刻とか、木のつたを使った籠とか、主に近くの木を使った物です。」


(木彫りの彫刻か。 それだけだと、どれだけ売り上げがあったか分からないが、木のつたを使った籠なら、一般人も買い物に使うのか。 それなら、需要は有ったかもしれないな。 それなりに生活はできていたのか。)


 ジューネスティーンは、話の内容から、自分の考えをまとめている様だ。


「じゃあ、君は、お父さんを手伝ったり、家事をしていたのか。」


 ジューネスティーンは、以前の生活がどんなだったかを聞き出していた。


「私は、料理とか料理の食材を手に入れてました。」


「食材は、買って来るのか? 」


 話を続ける事で、話全体の辻褄を考えている。


 嘘を付いていたら、最初の話と辻褄が合わなくなってくる。


 そのために、ジューネスティーンは、アメルーミラに話をさせているのだ。


「食材の購入は、父が行ってましいた。 私は、近くの林の中で、小動物を仕留めたり、食べられそうな果実や山菜を集めたり、川の魚を、小さな銛の様な物で仕留めたり、家庭菜園の世話をしてました。」


 山か林の様な場所なのかは分からないが、動物を狩っていると分かった。


「小動物を仕留めるのは、どうやったの? 」


「罠を仕掛けて捕まえました。」


 ジューネスティーンは、弓かその類かと思ったのだが、罠と聞いて意外な方法だと思った様だ。


「罠は自分で作ったの? 」


「私が、小さい頃は、父が作ってくれてたんですが、7・8年位前から、私が作る様になりました。 ある時父の仕事が忙しくて、罠を作ってもらう事が出来なかったので、その時、見様見真似で作ってからは、私が作ってました。 落とし穴とか、籠の中に入れて閉じ込める罠とか、色々作りましたよ。」


 アメルーミラは、落ち着いたのか、話を続けてくれる。


 ただ、ジューネスティーンは、見た目が、アンジュリーン達やレィオーンパードと同じ位の年齢と感じていたことから、少し驚いた様だ。


(この子は、15・6歳だろ、7・8年前って言ったら、8歳程度じゃないか。 そんな頃から、動物を罠で狩ってたのか。 罠だって、ただ作ったからといって、簡単に捕らえられる様なこともないだろう。)


 ジューネスティーンは、感心していると、アメルーミラは話を続けてきた。


「でも、最初は中々上手くいかなくて、失敗続きでした。 でも、失敗した事が、悔しくて悔しくて、父の罠を思い出したり、動物が、罠に近づく様子を観察したりして、色々と工夫したんです。」


 罠が失敗して、動物を上手く捕まえられなかったのを、工夫して捕まえられる様にした。


 その考える力によって、スリングショットも、お店に置いてあった商品を見て、工夫することが出来たのだろうと、ジューネスティーンは考えている様だ。


「それで、その杖のスリングショットも作れたんだな。」


「そうかもしれませんね。」


 そう言ってアメルーミラは、少し寂しそうな笑顔を見せる。


 父親の思い出を思い出してしまい黄昏てしまったみたいである。


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