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着替える前


 4人の女子がバスルームから、バスタオル1枚を巻いて出てくる。


 メンバーの3人はいつもの事なので、気にせずに出ていくのだが、アメルーミラは恥ずかしそうにしている。


 4人とも体にバスタオルを巻いただけの格好で、着ていた服を抱える様に持って出て、アンジュリーンとアリアリーシャが使う部屋に入っていく。


 アンジュリーンとアリアリーシャが堂々と前を歩き、その後ろに、恥ずかしそうに隠れながらアメルーミラが続く。


 最後にシュレイノリアが続いている。


「じゃあ、俺たちも使わせてもらおう。」


 レィオーンパードが、カミュルイアンに促すと、2人がバスルームに向かうので、ジューネスティーンもその後に続く。


 入れ替わりで、残り3人がバスルームに入る。


 シュレイノリアが、ジューネスティーンとすれ違う時に囁く。


「特に、目立った特徴は無かった。 ・・・。 それと、後で話す。」


 小声で伝えてくるので、ジューネスティーンは、肯くだけで答える。


 先日、馬車で帝国軍の監視を振り切って、巻いている事もあり、そろそろ、何らかの動きがあると考えていた、このタイミングでのパーティー希望者なので一応は警戒しているのだ。




 女子2人の部屋に入ると、奥の窓際のところの紐に、先程、洗濯した衣類を干していく。


 アメルーミラもアンジュリーンに促されて、同じ様に、自分の服と下着を掛ける。


 魔法で完全に乾かすのだが、広げてくれた方が乾きやすいと言う事と、部屋の空気を入れ替えながら行うと言うので、その様にしているのだ。


 今日は、4人分なので少し間を狭めて全員の服を、紐に掛ける。


 アンジュリーンは、部屋を出てリビングに行くと、リビングの窓を開けて、部屋のドアも開けておく。


 アリアリーシャは部屋の窓を開ける。


「男達は、バスルームだから早いところ、乾かしてしまいましょう。」


 そう言うと、シュレイノリアが、部屋の入り口付近に、魔法紋を発動させると、そこから温かい風が流れ出す。


 その風は窓際に流れて、先程掛けた衣類を揺らしている。


 その魔法は、シュレイノリアが一度かけると、そのまま、維持されている様だ。


 シュレイノリアは衣類にかけた魔法の状態を確認すると、3人の方に来る。


 すると、同じ魔法紋を空中に発動させる。


 その魔法紋からは、温かい風が流れてくるので、3人はその下に行って、髪の毛を乾かす様に手櫛で髪を広げて、温かい風に髪を当てる。


 アメルーミラは、何をしているのかと思っていると、アンジュリーンが気が付いて、ボーッとその様子を見ているアメルーミラをみる。


「何しているの? あなたもこの魔法紋の下に来て髪の毛を乾かすのよ。」


 そう言ってアメルーミラを呼び寄せる。


 その場所に行くと、暖かな風が上空にある魔法紋から流れてくる。


 その風に当たると、髪の毛から、徐々に水分が消えていくのがわかるのだ。


 3人を見ていると、髪の毛が手櫛を伝って風に流れて抜けていくのが分かるが、アメルーミラも、同じ様に手櫛で髪の毛を広げて風に当てようとすると、髪は時々指に引っかかる。


 それを見たアンジュリーンが、髪の毛を洗ってた時の事を思い出して提案する。


「ああ、あなたの髪の毛先、かなり、痛んでいたわよ。 さっき洗ってた時にわかったから、乾かしたら傷んでいるところだけ切ってあげようか? 」


 それを聞いて、アリアリーシャが、さっきの、お腹の音を思い出してアンジュリーンにいう。


「今日はぁ、お腹もぉ空いているからぁ、髪の毛をぉ切るのはぁ、次の機会にしましょう。」


 アリアリーシャの言葉に、アンジュリーンも思い出した様だ。


「そうだったわね。 何も食べてないんだったわね。 じゃあ、次の機会にしましょう。」


 そう言って、バスタオル1枚だけを巻いた4人の女子が、並んで髪の毛を乾かしていた。




 髪の毛を乾かし終わった後は、着替えとなる。


 アメルーミラは、今の髪の毛を乾かす程度の風で、自分の着ていた服が乾いたとは思えなかったが、一応、確認の為に、自分の描けてある服の乾きを確認に行く。


(やっぱり、まだ、濡れているわね。)


 そう言ってがっかりしていると、入り口付近で、シュレイノリアが、収納魔法を発動させて、着替えのハンガーラックを出す。


 アンジュリーンは、それを見てから、乾かしている服を見ると、アメルーミラが、自分の服を手で摘んだり、両手で服を挟み込んだりしていたので、近づいて行き、声をかけた。


「ねえ、あなたは、替えの服は無いわよね。」


 シュレイノリアの出した、着替え用のハンガーラックには気が付かず、自分の濡れた服を見て、自分には何も無いことで、アメルーミラは、恥ずかしそうにしながら答える。


「はい、今日、着ていたものが、私の全財産です。」


 しりつぼみになる様に、言葉尻が小さくなって聞き取れなくなる。


「じゃあ、服は私のを貸すわ。 ・・・。 当然、下着も無いのよね。 あまり下着は貸す気は無いのだけど。」


 アンジュリーンは、自分の下着を貸すのに戸惑っていると、シュレイノリアが、口を挟んできた。


「下着は私のを使えば良い。 洗ってしまえば問題無い。」


 何の気兼ねも無い様に言うと、自分の引き出しから下着の上下を出してアメルーミラに渡そうとして気がついた様だ。


「あっ! 」


 アメルーミラには、尻尾が有ったのだ。




 しかし、猫の亜人であるアメルーミラは、シュレイノリアの下着では、尻尾を出す事ができない。


 当然、アンジュリーンの下着も一緒で、尻尾を出す穴は付いてない。


 下着に尻尾を出す穴が無い事に気がつくと、シュレイノリアは、アリアリーシャを見る。


 どの亜人も、尻尾は、お尻の穴の直ぐ上から出ているので、人・エルフ・ドワーフの様に尻尾の無い種族と違うので下着のデザインも違うのだ。


 アメルーミラの尻尾は、30cm程有ることから、シュレイノリアの、尻尾用の穴の無い下着では、具合が悪いと思ったのだろう。


 それで、シュレイノリアは、アリアリーシャを覗き込むように見ていた。


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