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シュレイノリアの対抗意識

 

 アメルーミラを、まとわりつく様な視線で見ているのは、シュレイノリアだった。


 シュレイノリアの体には、転移時に魔物に襲われた時の傷痕が、腹、背中、両手足に大きく残っている。


 アメルーミラは、シュレイノリアの傷痕に気が付いたので、可能な限り、顔を見る様にしていた。




 アメルーミラは、シュレイノリアの視線が、どうも自分の胸を直視している事に気がつくと、胸の奴隷紋が、未だ有るのかと思い、慌てて胸を抱き抱えて、シュレイノリアの視線から逸させていた。


 そんな事をアメルーミラは思いつつ、自分の胸をチラリと見るのだが、心臓の上の奴隷紋は見えてない。


(奴隷紋を刻まれる時に、ヲンムンは表に現れない魔法紋と言ったわ。 奴隷商も半日もすれば見えなくなると言っていたわ。)


 アメルーミラは、奴隷紋が、胸に現れてないことにホッとする。


(何でこの人、私の胸をジロジロと見るのかしら? )


 アメルーミラは、不思議そうな顔をシュレイノリアに向けると、シュレイノリアは、ズカズカとアメルーミラに近づいてくる。


(ひょっとすると、見えない奴隷紋が彼女には見えているのかも! )


 そんな思いがアメルーミラの頭をよぎるが、目の前までシュレイノリアが来ると、足を少し広げて、体を後ろに反らしつつ、両腕は腰に手を当てて、にやりと笑う。


「私の勝ちぃ! 」


 そう言って悦にいった顔をする。


 体を反らしたのは、自分の方がアメルーミラより大きいと判断したのだ。


 3人の中では一番胸が小さかったのだが、今ここにいるアメルーミラが現れた事で、自分が一番小さい存在から脱却できた事にご満悦の様なのだ。


「シュレ、あんまり、揶揄うんじゃないの。 どうみたって、あんたより年下なんだから、あんたより小さくても不思議じゃ無いのよ。」


 アンジュリーンが、シャワーの温度を確認しながらシュレイノリアに注意する。


「ねえ、あなたもシュレの変な対抗意識なんて、気にしてないでこっちに来なさい。 体を洗いうわよ。」


 そう言われて、恐る恐る、アメルーミラは、アンジュリーンの方に歩いていく。




 エルフであるアンジュリーンは40歳を超えているはずなのだが、エルフという種族的な影響でどう見ても10代半ばか第二次成長期が終わってやっと大人になり始める思春期の少女の様に見える。


 そのアンジュリーンでも、自分より見た目年齢的には下に見えるはずのアンジュリーンでも、こうやってバスルームで見てみると自分より大きいと分かるのだ。


 それが、シュレイノリアには気に入らなかったのだが、今ここに自分より小さい存在が現れたのだ。


 そんな事を思いつつ、ニヤニヤしていると、シュレイノリアは、アンジュリーンに頭を小突かれる。


「ごめんね。 この子ちょっと変わっているから。 あまり気にしないでね。」


 何とも言えない女の戦いが有るのだと思いつつ、アンジュリーンの話を聞いていると、腰に小さな手が当たる感触を感じる。


 ビックリして、その手の持ち主を見ると、白い頭に長い耳のアリアリーシャだと分かる。


 すると、すごい力で押される。


 この小さな体に、何でこんな力があるのかと思いつつ、バスタブの方に連れて行かれる。


 シャワーの前に立たされると、アンジュリーンがシャワーをアメルーミラにかけてくる。


 暖かいお湯が体に当たる。


 とても、気持ちが良い感触だと、思うアメルーミラにアリアリーシャが声をかけてきた。


「久しぶりにぃ、体を洗うんじゃないかなぁ。 今日は皆んなでぇ、徹底的にぃ綺麗にしてぇあげるわねぇ。」


 そう言って、風呂用の椅子に座らされて、頭からシャワーを掛けられる。


 暖かいシャワーが、頭から掛けられ、全身に当てられると、髪の毛を伝わって、顔に流れる温水にアメルーミラは、思わず目を閉じてしまう。


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