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カルンコンの話


 日が沈みきった頃に、ジューネスティーン達が金糸雀亭に入ると、カルンコンは向かいの金の帽子亭に来て、ヲンムンのテーブルの椅子に座るとヲンムンに話しかける。


「今日のお呼び出しは何だったんだ? 」


 嫌そうな顔のヲンムンと、余裕のカルンコン。


 ヲンムンは仕方がなさそうに答える。


「大した事じゃ無い。 監視体制の強化の話だった。」


「ほーぉ、そうだったんだ。」


 俺は、知っているぞ、と、いった様子でカルンコンが言うので、苛ついたヲンムンが、ジューネスティーン達の様子を聞く。


「それより、今日はどうだったんだ。 その辺の話を教えてくれ。」


「おいおい、俺はお前より階級はうえなんだが、その言葉遣いはどうなんだ? 」


 嫌味な言い方をする。


「ここでは、誰が聞いているか分からないんだ。 敬語を使ったのを聞かれたら怪しまれる。 ここにはAランクのパーティーだっているんだからな。」


「まあ、そう言う事にしておくよ。」


 やれやれと言った感じで、カルンコンは言うと、話を続ける。


「あの連中、今日は、魔物のコアを集めていただけだった。 それをギルドに売って終わり。 それだけだ。」


 大して動きが無い。


 いつもの行動パターンだった。


 この前の様に、馬車で突然の猛スピードでまかれる様な事は無かった様だ。


「狩ってた魔物は何だった? 」


「4つ脚の魔物、牛に似たやつだった。 そこに現れてきたのを片っ端から倒していた。」


「そうか。」


 カルンコンは、ただ、気になった事を言う。


「それと、通常では襲ってこない様な距離の魔物まで、アイツらに向かって行ってたな。 危うく踏み潰される所だった。」


「ほーっ、そうだったのか。」


 カルンコンに答えつつ、ヲンムンは、以前、自分も同じ様なことが有った事を思い出す。


(あれは、何か有ったのか? こいつも同じ様な事を言うということは、奴らは魔物を呼び寄せる方法を知っているのか? いや、そんな事をして自分に魔物を沢山集めたら死ぬわな。 弱い魔物でも数が多ければ、倒し切れずに攻撃されて死ぬ。 いや、奴らは生きている。 何か魔物を一斉に殺す方法があるのか? あの時は、魔物の突進にやらて見る事が出来なかった。 次は、何か対策をして確実に確認しないと。)


 ヲンムンは、今の話と自分が受けた時の話を考えていると、カルンコンが怪訝そうに聞く。


「おい、何か思い当たる事でもあるのか? 」


 カルンコンに話しかけられたので、ヲンムンは考えるのをやめる。


「いや、その魔物が向かっていったってのが、どういうものなのかと考えていたんだ。 それより、踏み潰されそうになったって、どう言う事なんだ。 魔物に襲われたって事なのか? 」


「いや、その魔物なんだが、俺の直ぐ傍を走っていくんだが、俺には目もくれずに、ただひたすら、一直線に走って行くんだ。」


(俺の時は、一斉に魔物が向かってきた。 気がついたら魔物は全部居なかったのだから、あの連中が倒したに違いないはずなんだ。)


 ヲンムンは、何かに気がついた様子でカルンコンにきく。


「なあ、その、魔物が奴等に向かって行ったって言ったが、その魔物の数は、何体位だったんだ?」


 カルンコンは、不思議な顔をする。


「そんなの、1体に決まっているだろ。 突然、魔物がアイツらに気がついた様な感じで、一直線に向かって行ったんだ。」


「そうだったのか。」


 そう言って、ヲンムんは、何かを考えている様子にカルンコンは、気になった様だ。


「おい、何かあるのか?」


「ああ、お前の横を猛スピードで通過して行ったんだろ。 何でお前に気がつかなかったのか、気になったんだ。」


 ヲンムンに指摘されて、カルンコンは答えに困った様子になる。


 通常の魔物なら、近い人や動物を襲うのだが、わざわざ、近くにいるカルンコンを放置して、ジューネスティーン達の方に行ってしまったのか、疑問が残ったのだ。


 カルンコンも答えが出ない様子だが、時間も遅くなってきていることもあり、カルンコンは、今の話はこれで終わりにして帰る事を選択した様だ。


「まあ、報告も終わったから、俺は、これで帰るよ。」


 そう言って、カルンコンは席を立ちテラスから出ていく。


 それを、忌々しそうに見送るヲンムンも立ち上がって部屋に戻る。




 ヲンムンは、部屋に戻りながらも考えている。


(あいつら、魔物を呼ぶ魔法で呼び寄せて一網打尽にしているのか? いや、さっき、カルンコンは、1匹だと言っていた。 俺が見たのは、数十匹の魔物が一斉にあいつらに向かって言ったんだ。 どういう事なんだ? )


 ヲンムンは、報告に載せるような話では無いが、気になっているのだ。


(それも、アメルーミラに探らせる必要があるのかもしれない。)


 ヲンムンは、アメルーミラに指示する内容について、検討する必要が有ると考えてしまった様だ。




 魔物は、魔物の渦から、定期的に発生しているので、全滅させても時間が経てば渦から発生する。


 渦周辺の魔物は定期的に狩る必要がある。


 人気の無い魔物の渦では、魔物が増え過ぎてしまうので、ギルドが定期的に増え過ぎた時に依頼を出す。


 ジューネスティーン達は、人気の無い場所の魔物を退治しているので、今回は、その場所の依頼は1回減る事になる。


「アイツら、何か判らない方法で魔物を集めているみたいだな。 だが、それももう少しすれば分かるだろう。」


 カルンコンの話から、ジューネスティーン達には、何か魔物を集める方法を持っているのかもしれないと考えるヲンムンだが、それがどういった方法で行っているのか、その方法は分からない。


 だが、今後の監視と、これから潜入させるアメルーミラに探らせようと考えるのだ。


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