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金糸雀亭に入ったアメルーミラ

 

 ギルドを出て、金糸雀亭に向かうアメルミーラは、顔が綻んでいた。


 昼間の金額より少ないのだが、それでも、アメルーミラは笑顔になる。


 たとえ少なくても報酬を得る事ができたのだから、嬉しいに決まっている。


 最初に偶然仕留めたキツネリスよりも金額は少ないが、それでも1日で中銅貨3枚と銅貨2枚の報酬を得た事に、アメルーミラは満足した様だ。




 アメルーミラは、換金を済ませてギルドを出ると、陽も西に傾いてきているので、目的のパーテイーの宿屋に向かう。


 向かいの金の帽子亭に視線を向けるが、ヲンムンの姿はどこにも無い。


 ただ、ヲンムンに、金の帽子亭には来るなと言われているので、行く事は無いが、奴隷である自分の主人なので、少し気になったのだ。


 そんな事をアメルーミラは考えつつ、金糸雀亭に入っていく。




 金糸雀亭に入ると受付カウンターにいる店員にアメルーミラは声を掛ける。


「こちらにジューネスティーンさん達が、泊まっていると聞いたのですが、宿に戻られてますか? 」


 そう尋ねると、アメルーミラを物色するように見る。


 見たところは、冒険者なのだろうが、亜人が1人で行動してきた事と、身なりが気になった様だ。




 ルイセルは、確かにジューネスティーン達のメンバーには、2人の亜人が居るので、2人の知り合いなのかとも考えるが、亜人と言っても目の前に居るのは猫系の亜人なのだ。


 ウサギ系の亜人のアリアリーシャと、ヒョウ系の亜人のレィオーンパードなので種族も違う。


 持っている武器も手作り感がある事から、新人の冒険者だと思えるので、パーティーに入れて欲しいと言いに来たのかと考えた様なのだが、取り次いでも良いのか気になった様だ。


「そのお客様なら、まだ、戻っておりません。」


 今は居ないと言うことで、ガッカリした様な表情をするが、アメルーミラは、ルイセルの言葉を考える。


(いえ、まだ、戻ってないのなら、この入り口を通るはずなのだから、その時にパーティーに入れて欲しいと頼めばいいのよ。 戻って、部屋に入られてしまったら、取り次いでもらえるかも分からないのだから、ここで待たせてもらえれば、確実に話ができるはずよ。 対象の名前も特徴も聞いているのだから、ここで待たせて貰えばいいのよ。)


 アメルーミラは、自分の考えがまとまったので、ルイセルにお願いする。


「すみません。 待たせてもらってもよろしいですか。」


 そう尋ねると、ルイセルは、困った顔になる。




 みた所、服に土埃がついており、とても綺麗な格好とは言えない。


 だが、自分の家族の様に思っている従業員の亜人達の事を考えると、無下にも出来ないと考えるのだ。


「その格好だと、あまり嬉しくはないのだけど、あなたみたいな亜人が外に居たら、奴隷商に攫われて売られてしまうだろうし、・・・。 仕方がないから、ロビーの角でよければ、待っててください。」


 そう言われてアメルーミラは、ロビーの端の方で待たせてもらう事にした。




 通常の宿なら、その様な対応ではなく、話も聞かずに追い出されただろうが、金糸雀亭だった事が幸いして、追い出される事も無かった。


 アメルーミラは、備え付けの椅子に座ろうかと思ったが、汚い身なりでは椅子を汚してしまうので、壁際に行って、壁に触れない様にして体育座りをする事にした。


 そうすると、初めての魔物との戦闘の疲れが出てきたのか、空腹にも関わらず、アメルーミラの体が休息を要求してくるのだった。


 そう思うと、強い眠気に襲われ、そのまま寝入ってしまったのだ。




 一方、ヲンムンは、アメルーミラが金糸雀亭に入ったのを、金の帽子亭の中から確認をしていた。


 部屋の窓から、アメルーミラが、ギルドから出て金糸雀亭に向かって歩いているのを確認すると、金の帽子亭の1階のへ移動する。


 金の帽子亭のロビーから、金糸雀亭の様子を伺っていた。


 ルイセルと話した後、入り口付近に移動した後、しゃがみ込んだ所までは確認したのだが、その後は動く気配が無かったので、ヲンムンは、テラスに移動した。


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