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アメルーミラの事を考えるルイゼリーン


 ルイゼリーンは、アメルーミラが、ギルドから出ていくのを確認すると、笑顔から真剣な顔に戻る。


 そして、ルイゼリーンは、アメルーミラについて考える。


(それにしても、驚いたわ。 あの子が、この辺りの魔物を7体も倒してしまうなんて、ちょっと、甘くみすぎていたかもしれないわ。 おそらくジュネス達に接触するでしょうけど、彼らと接触したら、どれだけランクが上がるか分からないわ。 帝国の息が掛かってなければ、ありがたいのだけど、・・・。 後は、ジュネス達次第ね。 彼らにどれだけ人を見分ける目が有るのか、見極めないといけないわね。)


 ルイゼリーンは、自分はギルドの職員である以上、ギルドの利益を考えなければならないのだ。


 冒険者は、ギルドにとっては、下請け企業の様なものである。


 下請けの優劣を、しっかりと見極める必要もあるのだ。


 ギルドとしても、大ツ・バール帝国と渡り合わなければならないなら、ジューネスティーン達の様な冒険者は有難いのだが、現時点では、ギルド所属の冒険者の立場にある。


 ジェスティエンの様に、ギルド専属という訳では無いので、ギルドの立場としては、アメルーミラの様な帝国軍の関与が疑われるからといって、直接、干渉するわけにはいかないのだ。


 ルイゼリーンは、そのため、アメルーミラに成功率の低い内容の話をして、ジューネスティーン達への接触させるのを阻止しようと考えていたのだが、アメルーミラには、その壁をあっさりと越えてしまった。


 それは、亜人という身体能力の高さもあるだろうが、それだけでは、説明できない。


(あの娘には、何か、私に見えてない、何かがあるのかしら? 確かに、素直に人の話は聞いていたわね。 本当に、スリングショットを作って、戦ってしまったのだから、言われた事を忠実に、いえ、偶然だったとはいえ、杖にスリングショットを付けた事で、自分の攻撃の手数を増やせた。 あれは、本当に偶然だったのかしら。)


 通常のスリングショットなら、手に持つサイズとなるが、アメルーミラは、杖にゴムを付けていた。


 杖として、棍棒として使え、そして、スリングショットを放てる。


 スリングショットで遠距離・中距離攻撃を行い、近接戦においては、棍棒として使う事も可能となる。


(あれで、魔法まで使える様になったら、無敵かもしれないわね。)


 杖なのだから、あそこに宝石をつけたら、魔法の杖となる。


 ただ、アメルーミラには、魔法が使えるとは思えなかった。


 もし、アメルーミラに魔法適性があったのなら、登録の際に何らかのアクションが有ってもおかしくは無い。


 それに、魔物を倒した時の話から、魔法を使った話は無かった。


 ならば、アメルーミラに魔法適性は無く、身体能力だけで、帝都周辺の魔物を倒した事になる。


 そうなると、ルイゼリーンが、ジューネスティーン達の為に出来ることは、もう、何もないのだ。


(私が、ジュネス達にできるのは、ここまでね。 後は、ジュネス達が、アメルーミラを、上手く躱してくれる事を祈るしか無いわね。)


 アメルーミラに話していた事と、思っている事は全く違っている。


 それが、仕事というものなのだ。




 ルイゼリーンは、自分の担当する冒険者が現れないので、アメルーミラについて思いを巡らせている。


(あの子は、どういった人なのかしら、亜人は、身体能力に長けていると言われているけど、頭脳も良いなんて聞いたことが無いわ。 それとも、あの子は、最初から帝国軍で育成された工作員? いえ、帝国にそんな組織が、有るとは聞いてないわ。 偶然なのかしら? でも、なんで帝国軍の下請けなのかしら。)


 ただ、ルイゼリーンは、この帝国軍諜報部の下請けと思われるアメルーミラの才能に、内心驚いている。


(あの子が、ただの新人冒険者だったら、ジュネスと一緒に行動させれば、急速に伸びるでしょうね。 いえ、ユーリカリア達のパーティーでも、きっと、同じかもしれないわ。 あの子の運命が、少し違っていたらよかったのに、・・・。 残念だわ。)


 ルイゼリーンは、ため息を吐いた。


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