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本格的な魔物の狩


 魔物を倒すと決意したアメルーミラは、使えそうな小石を探す。


 試し撃ちで、使えそうだと思った大きさの石を、足元の河原で探す。


 帝都周辺の魔物は、小型の魔物なので、1cm程度の小石を、ズボンのポケットに入れる。


(無くなったら、また取りに来れば良いか。)


 そう思うと、十数粒を持って帝国の西門の脇を抜けて、南門の方に歩いて行く。


(お腹が空いた。)


 何か食べたいと思うのだが、ヲンムンに、何も食べるなと命令されているため、食べることが出来ないのだ。


(ちょうど、杖にもできる長さに作ったのが助かったわ。)


 そう思いつつ、スリングショットの杖を突きつつ、帝都の南へ向かった。




 塀の前を歩くと、少し先に小物の魔物が、こちらを伺っているのが見えた。


 20m位まで近付くと、杖先のY字の付け根を左手に持って杖を斜めに構えて、杖の先端を左足のかかとに引っ掛ける。


 杖の端を足で抑えて固定すると、右手をポケットに入れていた小石を取り出し、ゴムの所に付けてある革に当てて右手で引っ張る。


 魔物の眉間に狙いを付けてゴムを離すと小石は魔物に向かって飛ぶ。


 しかし、途中で方向が緩く曲がり狙っていた眉間には当たらない。


 50cm程横を通過すると魔物は一気に自分に向かってくる。


 アメルーミラは、杖のY字の付け根を両手で持って中段に構える。


 迫ってきた魔物は、小型の犬の様な4足歩行の魔物で、勢いにのってアメルーミラに直進してくる。


 近付いた魔物は、飛び上がって、一気にアメルーミラの首筋を狙って、牙を立てようと口を開く。


 アメルーミラは、中段に構えた杖を前に突き出し、魔物の口に突き刺す。


 口から入った杖は喉を突き刺し魔物に致命傷を与えた。




 戦いにおいて飛び上がるのは、鳥の様に翼を持っているなら、空中で方向転換できるが、地を走るものにとっては致命的な手段になるが、魔物としても身長差のある亜人に、致命傷を与えるには首を狙うしか無いので飛び上がるしか無い。


 飛び上がった魔物は放物線を描いて、アメルーミラに向かってくるので、その放物線上に杖を出せば魔物は避ける事も出来ずにその杖に当たる。


 対人戦闘には有り得ない攻撃に助けられた。


 杖に突き刺さった魔物は、黒い霧が体から出て肉体が消えると、地面に小さな魔物のコアが地面に落ちる。


 初めて、本格的な魔物との対戦に、アメルーミラの息は荒くなってしまった。




 アメルーミラは、息を整えて魔物のコアを拾う。


 何とか魔物と対峙する事が出来た。


 しかし、スリングショットが、命中出来なかった事が悔やまれたのだが、何で命中しなかったのか、わからなかった。


 徐々に曲がってしまったのだが、ルイゼリーンが、その辺の小石では、真っ直ぐに飛ばないと言っていた事を思い出す。


 石が原因なのかと思うが、対処方法を聞いてなかった事を思い出して、失敗したと感じる。


 ただ、初めて聞いて、武器屋でそれらしい物を見ただけで作れた。


 それに、長い棍棒としても使えると考えれば、何とかなるのかとも考える。




 太陽の位置は、まだ、南西の方角にあるので、陽が沈む前には、ターゲットの宿の前に行こうと思うが、ギルドの換金も含めてももう少し時間があるので、アメルーミラは、もう少しコアを集めることにするのだった。




 その後、何匹かの魔物と対峙する事になった。


 しかし、スリングショットが当たったのは、4匹のみで残りは襲われた時に杖で撃退した。


 ただ、倒した魔物の数は、6匹で、そのうちの4匹が、スリングショットによる攻撃で倒しているのだ。


 今日、初めて冒険者になって、自作のスリングショットでこの成果は、並大抵の事ではない。


 また、偶然かもしれないが、スリングショットで魔物を狙って倒す事を目的としていた為、対峙する魔物はどれも1匹ずつとなっていた事で、複数の魔物との対峙は無かったのだ。


 その無意識のうちに、1対1の対戦に持ち込んでいたのだ。




 何体かの魔物を倒すと、陽が沈むにはもう少し有るが、狩を止めてギルドに戻ることにする。


 陽が沈む頃には、他の冒険者も、今日の収穫を換金するために戻ってくるので、待ち時間が長くなる可能性があると思い、早目に切り上げる事にしたのだ。


 初日の、しかも武器の無い状態から、ここまでに出来たのだから、周りから見たら、上出来であるが、アメルーミラには、そんな事は分からない。


 それに、この狩は本来の目的ではなく、自分の仕事は、あるパーティーへの潜入である。


 その潜入の仕事が終わった後に、待っているであろう自由を得た時のための布石なのだ。


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