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奴隷の下準備

 

 ヲンムンは、奴隷の着るものをどうするか考えていた。


 流石に、穀物の袋の様なマントだけで、少女を連れて街中を歩く事に気が引けたのだ。


 中銀貨3枚のうち2枚を横領しようと考えていたので、奴隷以外の出費をどうやって抑えようかと悩んだが、古着屋で最低限を揃える事にする。


 幸い、第九区画の、金の帽子亭に戻る途中に古着屋を見つけると、その店に入る。


 冒険者に見えそうな、上着とズボンを購入するのだが、ヲンムンは、値段をみて決めるので、かなり地味な出立ちになる。


 古着屋では、一通りの衣類をヲンムンが指示して購入し、奥の更衣室で着替えさせると、古着屋の主人に中銅貨1枚を支払い店をでる。


 着替え終わったアメルーミラを見ると、裸足な事に気がついたのだ。


 服を着ていても、裸足だと余計におかしく見えたので、今度は、その古着屋においてあった靴を購入する事にした。


 使い古しの靴だが、穴も無く、少し大きめだが、足首を隠す事ができる、脛の三分の一を隠す程度の長靴をヲンムンが見つけると購入して与える。




 ヲンムンはアメルーミラの支度も整ったので、金の帽子亭の自分の部屋に戻る。


 入口のラウンジにカルンコンが居ないのは、ジューネスティーン達が出かけたからだろう。


 アメルミーラを見られて、色々、聞かれる事も無いので、安心している様子だ。


 また、カルンコンが居ないのは、ジューネスティーン達が、何処かへ出かけていると言う事になるので、現段階で、ヲンムンはアメルミーラと一緒のところを、ジューネスティーン達に、見られる可能性が無くなったと判断するのだった。


 潜り込ませるアメルーミラを、現段階でジューネスティーン達の目に付けたくは無いので、好都合だったのだ。




 アメルーミラを連れて部屋に戻ると、窓から対象の部屋を覗き、向かいの金糸雀亭の窓を覗くが誰もいない事を、ヲンムンは確認する。


 ヲンムンは、ベットの下からアタッシュケースの様なバックを取り出すと、部屋に備え付けのテーブルに座る。


 ヲンムンは、入口付近で、おどおどしているアメルーミラを、自分の座っているテーブルの反対の席に座る様に指示する。


 部屋に男と2人となれば、アメルーミラの記憶に有るのは、盗賊達のアジトでの出来事が頭をよぎり、不安になっているのだ。


 アメルーミラが椅子に恐る恐る座ると、ヲンムンは、これから行ってもらう事について説明を始める。


「おい、これから、お前には、冒険者見習いになってもらう。 そして、指定するパーティーに潜入して行動を探ってもらい、俺に報告を行う。」


 黙って肯くアメルーミラに、ムッとしたヲンムンが強い口調で言う。


「黙ってないで、言葉で答えろ。」


 アルメーミラは、命令されたと思い、奴隷紋が反応するのではないかと慌てて答える。


「はい。」


 ヲンムンは、アメルーミラを見て、奴隷紋の痛みの影響で命令に従って、従順になっていると確認しながら一瞬考える。


 そして、もっと良い餌を与えた方が、更に良く従うのでは無いかと思いついた様だ。


「おい、今回の仕事、パーティーに潜入してもらう話だが、その仕事が終われば、お前はお払い箱になる。 元の奴隷商に売るのも手だが、お前の働きによっては、お前に付いていいる奴隷紋を解除しいて、解放しても構わない。」


 そう言うと、アメルーミラの表情が変わる。


 奴隷紋が解放される時の痛みは、とてつも無いものだったのだが、自由を得られると思うと希望が見えたように思えて、僅かではあるが、表情を明るくする。


 その様子を見ながらヲンムンは続ける。


「そうだ、この仕事がうまく行ったら、お前を自由にしてやろうといっているんだ。 分かるか、自由だ。 元の生活に戻れるんだ。」


 アメルーミラの顔に、希望の色が芽生えてくる。


 奴隷紋解放の時の痛みの記憶もあるが、それ以上に自由になれる事が、アメルーミラに希望の光を与えてくれた。


 そのアメルーミラの表情を、ヲンムンは確認しながら、簡単に靡いてしまうと思ったのだろう。


(馬鹿な女だ。)


「じゃあ、これから、お前の経歴を作る必要があるから、あの奴隷商に売られた経緯を教えろ。」


 そう言うと、アメルーミラは話始める。




 北の王国から、南の王国に向かう途中の山道で、盗賊の襲撃に遭った。


 乗合馬車の中に盗賊の仲間が居て手引きされたため、襲撃は成功して護衛は全員殺されてしまった。


 人属であろうが、男は全員殺され、人属の女と亜人は男女共に連れて行かれ、亜人の男達は直ぐに奴隷商に売られたが、女だけはのこされた。


 数日は、盗賊のアジトで、女達は慰み者にされてから、あの奴隷商に売られたのだった。


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