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不足する飾りボタン


 ジューネスティーンは、シュレイノリアが、チェルエールに見えない様に収納魔法を展開して、中からかざりボタンを出しているのを見て、そんな配慮をする事を、意外だと思った様だ。


 しかし、何も言わなくても配慮してくれた事に、嬉しくも頼もしくも思った様だ。


 チェルエールは、それぞれのマントを作業台の上で広げたり、持ち上げてシュレイノリアに当てたり着せたりしながら、ボタンを取り付ける印を白墨で付けて行く。


 見ていると、4個ではなく、8個以上付けようとしているのを見て、足りなくなるのではないかと感じていると、シュレイノリアがジューネスティーンを見る。


「ボタンが足りない。 多分。」


 やっぱりかと思う。


 どうすれば良いかと思うが、シュレイノリアが後から作る事もできると言っていた事を思い出す。


「どの位足りないんだ。」


「手持ちは、女子の分だけで終わる。」


「お前、それ、多分じゃなくて、確実に足りないよな。」


「そうともいう。」


 ジューネスティーンは、ヤレヤレといった態度を取る。




 女子の分だけで終わるなら、2人分のボタンしか無いということで、残り3人分の飾りボタンが足りないのだから、確実に不足している。


「じゃあ、ボタンを探してくるか。」


 ジューネスティーンが、男2人も連れてどこかの店で買ってこようかと思うのだが、どうしようかと思ってチェルエールをみると、ニヤニヤとジューネスティーンを見ていた。




 また、何か考えている様な顔だと思っているとチェルエールが話しかけてきた。


「ボタンならうちにもあるから、それから選ぶと良いよ。」


 すると、シュレイノリアに向く。


「ボタンなんだけど、こんな感じのデザインの物が欲しいの? 穴の開いたボタンではなくて裏に糸で止める様な物なら、私の店にもいくらか置いて有るから見てみると良いよ。」


 それなら、ここで選んでも良いかと思っていると、シュレイノリアが話に入ってきた。


「ボタンは、大きさが同じなら何でも構わない。 表のデザインは、全て無駄になる。 表面のデザインは、全て平にしてから魔法紋を付与して使う。 だから大きさだけで良い。」


「あー、そうなるのか。」


「何を呑気な。 表面の平面処理は、お前の仕事だ。」


「ああ、錬成魔法ね。」


「そうだ。」


 やっぱりそうなるのかと思う。


「それじゃあ、似た様な形のボタンが有れば、それを使わせてもらいます。 錬成で同じ形にしますから、何か出してもらえますか? 」


「ああ、分かった。 ところで、材質とかの指定はある? 」


 ジューネスティーンに返事をすると、シュレイノリアに聞く。


「うーん。 真鍮かな。 少し銀が混ざっているのが良いかな。 でも、銀の量は多すぎるのは困る。 金は少しなら入っていても構わない。」


「真鍮ベースで銀が少し混ざっているのが良いのか。 後は、多少の元素が混ざっていても問題無いか。」


「まあ、ダメなら鉄でも良い。」


 チェルエールは、シュレイノリアの材質についてのリクエストを聞いて、思い当たるボタンを頭の中で浮かべている。


 思い当たるだけで、10種類以上思い当たるのだ。


 どれが良いのかと考えていると、それをシュレイノリアは、思い当たるボタンが無いのかと思った様だ。


「なら、アルミかシリコンでもベッコウとか、貝殻でも構わないぞ。」


 それを聞いて、使えそうな材質が増えて、自分の店にあるボタンなら条件に全て当てはまると思った様だ。


「うちに有るボタンなら、何でも構わなそうだね。」


「まあ、材料は何でも構わない。 錬成魔法で加工すれば良い。」


「ふーん。 何でも構わないのね。 ・・・。 ん、最初の真鍮ベースじゃなくても構わないって、最初から何でも良かったって事じゃないの? 」


「そうとも言う。」


「最初から何でも良かったなら、そう言ってよ。 色々、考えちゃったじゃないの。 それだったら。」


 そう言って、壁の方に歩いていくと、壁に面している小物入れの棚を示す。


「ここに売り物のボタンが有るから、この中で気に入った物を選んでくれれば良いわ。」


 かなり、真剣にどんなボタンが良いかと、気合が入っていた。こだわりを満足させようと思っていたのだが、最終的な結論として、材質は何でも良いと分かって、気が抜けてしまい、男達の好きに選ばせれば構わない。


 気合が入っていた分、落ち込み方も激しかった。


 そのチェルエールのかわり様に唖然としているメンバー達が動けずにいる。


 ボタンの場所の教えて、落ち込んだ雰囲気で作業台に戻ろうとしていて、呆けたジューネスティーン達が目の片隅に映る。


「あんた達、さっさと決めて! 」


 男達は、言われるがまま、ボタンの入れてある棚に向かう。


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