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飾りボタン


 チェルエールは、ニタニタしてジューネスティーンを覗き込む様に見ている。


 その表情を見てどうしようかと思っていると、チェルエールが話しかけてくる。


「ねえ、まだ、何か加工するのね。 ねえ、それって、どんなボタンなの、取り付けだけど、私が取り付けてあげても良いのよ。 ねえ、いいでしょ。」


 チェルエールは、ジューネスティーンにボタンの取り付けを自分に依頼するように迫ってくる。


 また、面倒な事になったとジューネスティーンは思ったのだろう、困った様な表情を浮かべる。




 シュレイノリアのボタンには魔法紋を付与してある。


 その魔法紋を他人に見せても良いのか、悩むところである。


 昨日、ジュエルイアンが何も言ってなかった事を考えれば、音を消す魔法紋に興味は無かったという事になる。


 使い道の無い魔法だと判断したのだろう。


 確かに音を消す魔法が使えるのかと言ったら、使える用途は限られている。


(それ程使い道が有るのか? )


 考えられる使い道は、自分達の様な、機械的な音を消す、隠密行動が必要なルイネレーヌ達には必要だろう。


 それ以外に必要とするのは、人の物を盗む稼業の盗賊となる。


 そんな物を販売して、一般市民に被害が出たら商会の信用が失墜すると考えたから、何も言ってこなかったのだろうと考えられるのだ。


(それなら、ジュエルイアンの問題は、解決していると考えて良いのか。 それより、シュレイノリアの魔法紋を見せてしまった時だな。 その解析が他人にできるのか? )


 魔法紋を使う事は可能であっても、魔法の術式が読み取れるとは思えない。


 流出したとしてもコピーは出来ないと判断できる。


(人に見られる程度なら問題無いか。)


 それなら、この人に渡して取り付けても良いかと考える。


「わかりました。 ボタンを取り付けるのもお願いします。」


「そお、じゃあ、それも含めて仕事するわね。」


 チェルエールは嬉しそうにジューネスティーンを見て言う。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアにボタンについて確認する必要が有るかと思った様だ。


 気になった事を、シュレイノリアに確認する。


「なあ、あのボタンの付ける位置って何処でも良いのか? 」


「ある程度のズレは問題無い。 だが、全方位に音を相殺させる。 だから、前後左右にある程度均等に配置すると良い。」


「それなら、おおよその取り付け位置を、お姉さんに教えてあげてくれるかぁ。 それで、デザイン的に良い場所を相談してくれ。」


「分かった。」


 シュレイノリアは、作業台を回って、チェルエールの脇に行く。




 その際にチェルエールに見えない様に、手のひらに小さな収納魔法を展開して、ボタンを一つ出して隣に行くとチェルエールに渡す。


 そのボタンをチェルエールは珍しそうにみる。


 一般的なボタンに魔法紋を描いてあるのだが、一般的なボタンでは表に出る部分にデザインされているのだが、シュレイノリアのボタンは、ボタンの裏にも魔法紋が描かれている。


 チェルエールはそれを見て珍しいと思った様だ。


「結構、大きいね。」


 直径6cm程、一般的なボタンとすれば大きいが、飾りボタンなら、この位の大きさなら使う事もあるかと思える大きさでもある。


「いや、飾りボタンなら、普通かな。 デザインのアクセントとしてなら、この大きさも有りか。」


「ボタンは、これを手前と後ろに2個ずつが最低数量。 もう少し多くても良い。 近すぎるのは、効果が薄い。 なるべく均等に配置出来るのが理想。」


「数は、4個以上で、前にも後ろにも必要。 数が増える分には問題無いのね。 それで、もし足りなくなったらどうしようか? 」


「似たようなボタンが有れば、それに魔法紋を刻む。 足りないと思ったら、適当に似た様なボタンを用意しておいてほしい。」


「分かったわ。 じゃあ、あんたの感覚で、どの辺りに取り付けて欲しいのかを教えてくれる。 それを踏まえてマントのデザインに合わせて取り付けるわね。」


「分かった。」


 ジューネスティーンは、2人の様子を見て任せておいて良いと思うと、そのまま、2人を見守る事にした。




 シュレイノリアは、チェルエールの様子を見ながら、少し少し手のひらに収納魔法を展開しては、飾りボタンを出しては、ポケットに入れていた。


 収納魔法をあまり人に見せない様に配慮しているのだ。


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