チェルエールから出る雰囲気
カミュルイアンとレィオーンパードは、チェルエールとジューネスティーン、2人の戦争についての話を聞いても面白くも無かった。
それは、アンジュリーンもアリアリーシャも一緒だったが、レィオーンパードとカミュルイアンは、忍耐の限界に近づいていたので、チェルエールの過去の話は、右から左に流れてしまい、殆どの事を聞き取れずにいたのだった。
アンジュリーンとアリアリーシャは、チェルエールの家の話のような、暗い話を聞かないで済むと思って、ホッとしたようだ。
チェルエールは、完全に仕事モードに切り替わった様子で、先程の要望を書いた石板とジューネスティーンの描いたフルメタルアーマーと思える鎧の図と、持ち込まれたポンチョ型のマントを眺めて、ブツブツと独り言を言い始めた。
「取り敢えず、5人の要望は聞いたので、それに基づいて進めるわ。 でも、あなた達のフルメタルアーマーを見れないのが、ちょっと残念だわ。 でも、マント・・・、どちらかと言うとポンチョだわね。 まあ、こういった物なら、多少の長いの短いのと言っても、問題は無いと思うわね。 でも、首回りの取り付けとかどうするの? 背中を切って完全に二つに分けたって事は紐で止める? ・・・。 無いわね。 フルメタルアーマーのグローブを取り付けてしまったら、紐を結ぶなんてできないでしょうし、戦闘中にマントが邪魔になる可能性は有るけど。 ・・・。 魔法職ならマントを使うけど、それらしいのは1人だけ、強いて言うならエルフ娘、他は、魔法職とは言い難い。 特に男3人は明らかに筋肉系だから、完全な魔法職とは言い難い。 邪魔になりそうなマントを全員が必要としている。 それ以上の有用性がマントに有るって事よね。 後から付けるなら、マントの加工は必要無い。 それなら、マントは最初から取り付けて置くことになる。 ならば、首回りにボタンで止められるようにするって事か。」
チェルエールは、仕事モードに入っており、何かブツブツ言いながら、それぞれの要望の書かれた石板と、ジューネスティーンの描いた石板、それと広げられているマントを見ている。
そんな、チェルエールを見ていた男子2人が話を始めた。
「なあ、あのおば、いや、お姉さん、なんか、にいちゃんと姉ちゃんに似てねえ。」
レィオーンパードが、カミュルイアンに話しかけると、カミュルイアンもそれに同意する。
「うん、似てる。 パワードスーツの事、考えているジュネスとか、魔法の事を考えている時のシュレとか、そんな感じだよね。」
「だよねー。 俺たちは、あまり近寄っちゃいけない時の2人に、よく似てるよね。 あれ、やばいモードに入っているよね。」
「俺たち、少し黙っていた方が良さそうだね。」
「そうだね。 ああいった時て、周りの話の中の、悪い言葉だけ拾ってくれるから、黙っていた方が無難だ。」
男2人はチェルエールを見て、静かにするのだが、その前の退屈な話もあり、2人の忍耐力は、かなりすり減り気味である。
でも、2人は、チェルエールが、ジューネスティーンとシュレイノリアが、何か考えている時の感じに似ていると思うと、それ以上の話はやめている。
そういう時に、話し掛けたり接触すると、邪魔をされたとなって、その矛先を、自分に向けてくることを経験として知っているのだ。
そんな時のジューネスティーンは、まだ、マシなのだが、そんな時のシュレイノリアには、絶対に触れてはならないと、男2人には刷り込まれているのだ。
2人にはその嫌な感じをチェルエールに感じている。




