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工房区の縫製店

 

 早速、工房区の門の管理人に教えられた、その店に行くが、時々、すれ違う人の中には、亜人も居た。


 帝都の中では珍しいと思うが、自分達には亜人もエルフも居るので気にはしないが、さっきの商館区内とは少し雰囲気が違うと感じる。


 目的の店に着くと、周りの店より店構えが小さく感じるが、言われた店だと確認が取れると、ドアを開けて中に入る。




 中には1人の中年の女性が、糸を紡ぐ手を止めて声を掛けてきた。


「何か、御用かい? 」


 先程の商館区とは対応が違うと思うのだが、かしこまった対応より、こっちの方が落ち着くとジューネスティーンは感じたようだ。


 少しホッとしたような表情を浮かべた。


「服を調整したいので、針と糸、それに都合の良い道具が有れば購入したいと思います。」


 すると、糸を紡いでいた作業を中断して、ジューネスティーン達の方に来る。




 その時に、その店員は、全員と視線を合わせていたので、メンバー達を値踏みしたようだった。


 ジューネスティーンの前に来ると、その店員は話しかけてきた。


「お兄さん。 あんたら、冒険者だろ、なんで、縫製の道具が必要になるんだい。 まさか、縫製職人に転職でもするのか? 」


 店員は、明らかに駆け出しの冒険者とお思える6人を見て、ストレートに聞いてきた。


 ジューネスティーンは、そのストレートに聞いてきた、その内容に少し困った表情をする。


「いえ、そうでは無く、マントを鎧に付けられるように修正しようと思って、それで、縫製用の道具が必要なんです。」


 その話をしている最中、店員はジューネスティーンの目をじっと見つめていた。


 聞き終わっても、じっとジューネスティーンの目を見つめているので、ジューネスティーンは怪訝そうな顔で尋ねる。


「すみません。 何か問題でも有りますでしょうか? 」


 店員はそう聞かれて答える。


「いや、何も無い。 それより、マントを加工するって、あんた達の中に縫製が出来る人は居るのか? 」


 そう聞かれて、今まで、シュレイノリアが自分のマントを加工するので、シュレイノリアは、出来るだろうが、他は誰も縫い物をした所を見た事が無かった。




 シュレイノリアが、服に刺繍をしたり、使いやすいようにだったり、補強をするために加工するところを見た位で、男子2人も女子2人も縫い物をする所を、ジューネスティーンは、見た事が無かった事に気がつく。


 とりあえず、シュレイノリアをを見る。


「お前、マントの加工は出来るか? 」


「ハサミで切って、取り付けるだけだ。 特に問題は無い。」


 その大雑把な答えを聞いていた店員が、嫌そうな顔をする。


「お兄さん。 どんな加工をしたいのかは分からないが、その娘に任せるのは諦めた方がいい。 せっかく買った服が台無しになってしまう。」


 そう言われるが、ジューネスティーンは、シュレイノリアが、自分のパワードスーツ用のマントを用意していた事を知っているので、否定する事もできたのだが、店員の表情が、反論を許しそうも無かった。


 そのため、ジューネスティーンは、反論できず、黙って聞いてしまっていた。




 すると、ジューネスティーンには、シュレイノリアが、いつマントを用意したのか気になった。


 マントは、パワードスーツ用なので、市販品がそのまま使えないのだ。


 それに、シュレイノリアがパワードスーツ用のマントの加工をしていたところも見ていたことも無かったのだ。


 ジューネスティーンは、シュレイノリアのマントが、なんで用意できていたのか気になったので聞いてみることにする。


「あのマントは、どうしたんだ? 」


「作ってもらった。」


 作ってもらったと言っても、帝都ではいつも一緒に行動していたので、シュレイノリアがそんな事をしていた記憶が無い。


「マントは、いつ作ってもらったんだ? 」


「南の王国にいる時に頼んでおいた。 向こうを出発する前に用意できた。」


 そうなるとシュレイノリアには、自分用のパワードスーツを作ると決まった後には、もうマントを手配していたのだ。




 マントのような物なら、多少寸法がアバウトでも特に問題は起こらないだろうから、パワードスーツが出来上がる前に頼んでおいても問題は無かったということになる。


 特に、シュレイノリアは、マントや自分の身に付ける物に関して、他人の付与魔法は嫌がるので全て自分で後から付与していたのだ。


 それに南の王国に居た時は、時々、仕立て屋に付き合わされた事を思い出した。


 アンジュリーンのように時間が掛からないので、座ってお茶を全部飲む時間も無い位の速度で終わるので、印象に残ってなかった事を思い出したのだ。


「なるほどな。」




 ジューネスティーンは、納得すると店員に向く。


「すみません。 まともな縫製が出来る人は、メンバーの中には居ません。」


 店員は、やっぱりなという顔をするとジューネスティーンに提案をする。


「どうだろう。 そのマントの加工だけど、私に任せてもらえないだろうか? ただ、切って付けるだけだと、買った服も、売った店も可哀想ってもんだ。 私が、元のマントに恥じない形に仕上げてあげるよ。」


 その提案に、どうしようかと悩むが、自分の着ている服の袖を見てみると、その縫い合わせとか、織り目を見て、素人同然の自分達にこんな事ができるのかと思う。


 ジューネスティーンが、悩んでいると思うと店員は、後一押しで提案に乗ると思ったのだろう。


 目の奥が光ったようになり、話を続ける。


「嬢ちゃん達だって、綺麗に仕上がったマントの方が気持ちいいだろ。 それに綺麗に縫製されていれば、長持ちもする。 なんなら、今以上に綺麗なマントにしてあげるよ。 試しにどんな風にしたいのか、物と要望を教えてくれないか? 聞くだけならタダだよ。」


 そう言われて、アンジュリーンとアリアリーシャがお互いの顔を見る。


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