尻尾のブラッシング
さっきから、カミュルイアンとレィオーンパードの話が気になっていた様子で、ずっと、2人の話を聞いていた様だ。
「私は、髪の毛の量が多いからぁ、ブラッシングが大変なんですよぉ。 でも、ブラッシングしていると、必ず、シュレが手伝ってくれるんですぅ。 本当に助かるわぁ。」
うっとりした様にアリアリーシャは言う。
レィオーンパードは、アリアリーシャの話になのか、喋り方になのか、毒気を抜かれたようだ。
「アリーシャ姉さんは、シュレに尻尾を触られても平気なのか? 」
レィオーンパードは、不思議そうに聞く。
「うーん、最初は、少し恥ずかしかったから、断ったんだけどぉ。 シュレが、どうしてもやらせろってきかなかったのよ。 それで、髪の毛と同じブラシで尻尾もするのは嫌だって断ったのよぉ。 そうしたら、次の日に、尻尾用のブラシを買ってきて、今日は、髪の毛用と尻尾用のブラシがあるって、言うのよ。」
その時の事を思い出して、ため息を一つ吐くと、アリアリーシャは話を続ける。
「レオンにもわかると思うけど、尻尾って結構敏感でしょ。 だから、断ったのだけど、そうしたらシュレったら、尻尾用のブラシのウンチクを語りだしたのよぉ。 それに、私のしっぽ用に、そこらじゅうを駆け回って探して、しっぽ用のブラシを買ってきたのよぉ。 亜人の為の亜人によるブラシだとか、随分と苦労して探してくれたみたいだからぁ、渋々、尻尾のブラッシングもさせてあげたのよ。」
それを聞いていたレィオーンパードは、一度、体をブルっと振るわせた。
「アリーシャ姉さんは、勇気あるわ。」
レィオーンパードは、今の話を聞いて、少し引いている。
レィオーンパードは、自分の尻尾を他人に触られるのが嫌なので、アリアリーシャがシュレイノリアに、尻尾をブラッシングしてくれていると聞いて、なんでそんな事をするのか、信じられないという顔をしている。
尻尾の出ている位置は、腰骨の下になる。
尻尾を見せるということは、尻尾の下の、お尻の穴まで、確認できるという事になるのだ。
そうなると、シュレがアリアリーシャの短い尻尾をブラッシングするには、下着を付けていたら根元までできない事になるのだから、下は、何も履いてない可能性が高いと、レィオーンパードは考えた様だ。
そう考えると、レィオーンパードは、少し引き気味でいる。
「ああ、まあ、女同士だったし、シュレの勢に負けちゃったのよぉ。 でも、シュレの髪の毛のブラッシングって結構上手だったわよ。」
アリアリーシャは、頬を少し赤くして、その時の事を思うと、うっとりした様な表情をする。
それを聞いていたレィオーンパードは、げっそりした様な表情をしている。
「そこは、亜人の権威の象徴なんだから、断れよ。」
ボソリと、レィオーンパードは、アリアリーシャの話に独り言のように答えた。
「でも、シュレは、尻尾のブラッシングも上手なのよ。 なんだか、体の力が抜ける様な感じで、とても気持ちがいいのよ。 下半身の力が抜けて、フニャーって感じで、とても幸せな気分にさせてくれるの。」
不思議そうな顔で、カミュルイアンが聞いていると、何かを思い出した様にしている。
「ふーん。 そんなもんなのかぁ。 時々、夜にシュレと2人で部屋に行くのは、そのせいだったのかぁ。 でも、終わった後のアリーシャの顔って、何だか、ウィルリーンさん達の顔に似てたなぁ。」
それを聞いて、アリアリーシャは、気になったのだろう。
カミュルイアンに、聞かなければいいのに、アリアリーシャは聞いてみる。
「ねえ、カミュー。 それって、どういう事なの? 」
「うん。 昨日の2人の顔に、何だか似ていた。 終わった後の満足そうな顔っていうのかな。 満たされたって感じが、なんだか似ていたんだ。」
それを聞いて、アリアリーシャは、顔を赤くする。
昨日も、カミュルイアンは、シェルリーンとウィルリーンを、食事の後に連れ立って別の部屋に消えていったのだ。
その後、部屋で3人が何をしていたのかは、アリアリーシャにも理解できている。
その時の、シェルリーンとウィルリーンが、カミュルイアンとの行為の事が頭に浮かんだのだろう。
カミュルイアンの話を聞いて、2人と同じような顔をしていたと言われて恥ずかしくなった様だ。
「わっ、私と、シュレは、そんな仲じゃありません。」
プイッと、そっぽを向くと、アリアリーシャは、慌てて、アンジュリーンの方に行ってしまう。
その態度が、何でなのか判らないという表情のレィオーンパードは、カミュルイアンにきく。
「なあ。 今の話ってどういう事なんだ? 」
レィオーンパードの質問に、カミュルイアンも気が付いた様子をすると、レィオーンパードの顔を見て答える。
「ああ、お前は、知らなくていい話だ。 忘れてくれ。」
なんだか、自分だけ知らない話になってしまって、レィオーンパードは、不満そうである。
その後、カミュルイアンに聞くのだが、理由は全く答えてくれなかったのだ。




