表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界転生系

フリーデ~隣国の悪女~

作者: ひつじかい

「フリーデ~伝説の少女~」から七十年ほど後の隣国にて。

 久しぶりだな。大きくなって……。

 もう、求婚されるような年になったのか。


 聞いていたのかって? ああ。偶然な。

 聞かれたくなかったって文句は、あんな所で求婚した相手に言えよ。


 ところで、聞いて欲しい話があるんだ。

 フリーデと言う名前に聞き覚えは?

 無い? そうか。

 ちょっと長くなるが、良いか?

 聞いてくれるか。ありがとう。



 昔々、俺の爺さんが子供だった頃、隣国にフリーデと言う悪女がいた。

 フリーデは平民で、特に美しいとは言えぬ平凡な容姿だったそうだ。

 彼女は、言葉巧みに三人の貴族の嫡男の心を掴み、彼等に愛され贅沢三昧したと言う。


 しかし、それだけでは満足せず、彼等の伝手により王太子に近付いたのだそうだ。

 そして、上手く自分に夢中にさせる事が出来たが、王太子には婚約者がいた。

 彼女さえ居なければ自分が王太子と結婚出来ると思ったフリーデは、彼女を陥れる事にしたんだ。


 王太子の婚約者とすれ違った直後、階段を転がり落ちて、殺人未遂の罪を着せようとしたんだと。


 結果、本当に死にそうになったフリーデだったが、運良く腕の良いヒーラーに治療され、助かったらしい。

 知らせを受けて駆け付けた王太子やフリーデの恋人達は、まんまと婚約者がフリーデを突き落としたものと思い込み、彼女を責めたそうだ。


 だが、悪い事は出来ないもんだな。

 ヒーラーは、フリーデが妊娠している事に気付いていた。

 彼女は、フリーデが既婚者だと思ったらしい。

 だから、その場で、子供も無事だと口にしたんだ。


 どうなったと思う?

 争いになった? そう。その通り。

 だが、直ぐにじゃない。

 その前に、三人の恋人達は、自分の子だろうと自信満々でフリーデに確認したらしい。

 ヒーラーの嘘だと誤魔化そうとしたフリーデは、大弱りさ。


 一方、驚いたのは、王太子だ。

 彼だけは、まだフリーデに手を出していなかったそうだからな。


 清純だと思っていたフリーデに三人も恋人がいて、しかも、それが自分の友人達。

 おまけに、三人共、フリーデが他二人とも関係を持っていると知っていたような口振り。


 え? 何で、そんなに詳しいんだって?

 そりゃあ、治療院には他にも患者がいたからさ。

 大声で怒鳴っていりゃあ、気になって見に行く奴がいても当然だろう?


 口論の末、王太子は突然剣を抜いてフリーデを突き刺したらしい。

 今度は、優秀なヒーラーでもどうにも出来なかった。

 結果、フリーデを寝取られて激怒している王太子と、フリーデを殺されて激怒した三人とで、治療院の外で大乱闘さ。

 患者や道行く人々が集まって、人だかりが出来たそうだ。


 衛兵達が駆け付けた時には既に決着が着いていて、四人共絶命していたそうだ。


 その後、隣国の国王は緘口令を敷いて、事件について口にしたりした者は死刑にするって定めた。

 後、フリーデの治療をしたヒーラーを、余計な事を言った所為で王太子達が殺し合ったんだって、国王は捕らえて死刑にしようとしたらしい。

 でも、そうするまでも無く、ヒーラーは責任を感じて自殺していたんだってさ。


 この何十年の間に、フリーデ事件を題材にして色んな本が書かれたよ。

 字を読めるなら、読んでみたら良い。

 物凄い悪女だったり、反対に、無理矢理関係を持たされた被害者だったり、色んなフリーデの話がある。



 だからさ、殿下との結婚なんて、断りな。

 どうせ、陛下達から認めて貰えないだろうさ。

 フリーデ事件みたいになる事を恐れて、暗殺されたらどうするんだ?

 考え過ぎ? ……そうだと良いがな。




 数ヶ月後、考え過ぎではなかった事が、証明されてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 4人相手に股を開くことに何の疑問も持たなかった色狂いの愚か者――――――、 自分のものだと思っていたからカッとなって想い人を手に掛けた愚か者――――――、 王子だろうと平然と恋敵になって3…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ