神の最高傑作
北澤さん視点ではなく三人称っぽい感じになってしまいました。
神様のお話です。神様の規則とか、その辺はふーん、で流してください。
あるところに神様がいました。
神様は地球を創造し、人間をつくりました。
地球上にいる全ての人間の産みの親は神様なのです。
「もうやだ、神様やめたい。あと何兆年生きてればいいんですか!?大体今はもう人間を造るのには自動で機械がやってくれるのに。私必要ないですよね」
神様は神様のくせに病んでました。
天空で一人でずっと過ごしているので独り言も絶えません。
「よしっ、飛び降りよう」
神様なので飛び降りても死にませんが死ぬために神様は飛び降りることにしました。
神様は地球と天空を繋ぐ門の前までやってきました。
そこには二つの透明でバランスボールぐらいは通れそうなパイプが繋がっているのです。
片方は地球から天空に来る魂の通り道。
たくさん、たくさん、タクサン、魂が昇ってきます。
全部地球で死んでしまった人間たちの魂でした。
神様は光のない瞳でそれをただ、ぼおーっと眺めてそれから天空から落ちるための一歩を踏み出しました。
「なに?眩しい」
もう一歩踏み出そうとした時もう一方のパイプからとても光り輝く魂が現れたのです。
そのパイプはかつて神様が開発した人間を自動でつくる装置と繋がっているものです。
「うわぁ、なにこの魂。すごく綺麗。美しい心を持っている魂は時々産まれるように設定はしたけれどこんなの今まで見たことがないですね。バグでしょうか。いや、でもこんな魂、私がつくろうとしても一体何億年かかることか」
神様は今しがた死のうとしたのも忘れて光り輝く魂に夢中です。
早速その魂を回収して調べることにしました。
「くっ、確かに美しい魂だけど入る予定の肉体が普通か、少し劣っているかぐらいのものですね。家庭環境も良くないようですし、運もあまりよろしくない。これではこの美しい魂は潰されてしまう」
神様は新しい肉体を自らつくることに決めました。
しかしそれは大変な作業でした。
何しろここ何億年かは全て自動システムを使っていたので自分の力で肉体をつくるのが久しぶりですし、おまけに完璧な肉体をつくろうとしたので労力は半端ではありません。
だけど神様は諦めません。
そしてついに完成しました。
「できた……」
完成した肉体の性別は女。誰もが振り返る絶世の美女に育つように。脳は一度覚えたことは絶対に忘れないほどの記憶力と考える力を与え、五感は全ての能力値を底上げしました。
もちろん運動神経も抜群です。
「よし、これにこの魂を入れて。あ、元の肉体はどうしましょう?適当に自動でつくられた魂を入れとけばいいですか。うん、これでよし!それではいってらっしゃい。願わくはどうか一人でも多くの人間が救われますように」
神様がつくった肉体は完璧できっとそのままなら健気で皆から愛されて幸せな人生を歩めたでしょう。
しかし神様は祈ってしまいました。
その祈りはただの独り言のつもりでしたが確かに力を持ち、さらにもう一つ神様は過ちを犯しました。
その美しい魂は犯罪者の子に産まれてしまったのです。
産まれた幼児はその優秀な頭ですぐに親がしていることに気づきました。
幼児は神様からの祈りを受けていた効果かは分かりませんが親の罪をやめさせようと一生懸命動いてしまったのです。だから彼女の両親は刑務所に入れられてることになりました。
もちろん両親は怒り狂い子供を殺そうとしましたがそれを神様はすんででとめました。
「どうして、どうして。私はただ誰も傷ついてほしくないだけなのに。お母さんとお父さんはどうしてたくさん人を傷つけるの。私はどうしたら良かったの?……誰か助けて」
少女は自分の小さな手をみて泣きました。
「うるせぇ。地球上にいる全ての人間救うなんて無理に決まってるだろう。だから一人でも多くの人を救える方法を選ぶんだよ。大体なぁ、守られるのは当然じゃないんだよ。守りたいとそう思われる人になれ。必要とされろ。守られた何倍も守れ」
少女にぶっきらぼうに言うのは警察官。彼は少女を引き取りました。
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さて、神様はというとすっかり少女に夢中でストーカー並みに24時間監視するという犯罪者予備軍の生活をしてました。
誰かを犠牲にしてでもたくさんの人を救って傷ついている少女をみて神様は後悔の念に駆られてもいました。
ただ自分に希望を与えてくれた彼女に笑って幸せに過ごしてほしかった。
「私がつくってしまったこの馬鹿みたいな世界の理不尽をあなた一人に引き受けてほしかったわけじゃないのに」
少女に何か危険があれば神様は力を使って少女を助けるために動きます。
「ちょっと人間に干渉しすぎよ」
「うるさいですね。わざわざあなたが来てどうしたんですか?」
ストーカー生活を始めて16年以上が経ったころ、神様のもとに別の神様がやってきました。
実は別次元に他にも地球と同じような場所があってそれぞれに神様がいるのですがそこは割合しましょう。
とにかく神様界では地球上にいる人間に干渉するのは禁止されている行為なのです。
神様の中にもいくつかルールが存在してました。
「あんたが決まりを守らないから上からあんたに罰を与えるように私が言われたの!さっさとあんたの愛し子を私の世界におくりなさい」
「ちょっと待ってください。あなたの世界って運命が強く働いているとこでしょう。一体どんな運命を与えるつもりですか!?」
「そうね。あんたの世界でいうところの悪役令嬢的な役割の運命ね」
「そんな!絶対に駄目です」
「駄目とかじゃなくて!……もし断るならあんたの地球ごと消すわよ。それぐらい数少ない神様の中での決まりは大事なのはあんたも分かっているでしょう」
「だったらいっそ消してしまえば……いえ、分かりました。」
神様は少女がいない世界など意味がないと思いましたが少女が救った人間すらも消してしまうわけにはいかないと考え直し、承諾しました。
もちろん相手の言いなりになるつもりはありません。
「でももう少し待っていてください。そっちに送るのはそれなりに時間がかかりますし」
「別に一年以内にしてくれればいいわよ。神様の一年なんて光のスピードだもの。でもちゃんとやってよね」
「分かってます」
そうして別の世界の神様は帰っていきました。
早速神様は少女を手助けするための準備を進めていきます。
まずあちらの世界の運命を調べてゲームとしてそれを表したのものを作り出しました。
そしてそれを少女に送り届けます。
これで自分の身にこの先何が起きるか分かるでしょう。
「いえ、しかしあちらの運命の力は強いですからね。これ以上あの子に辛い思いはしてほしくないですし。……そういえば本来あの子が入る予定だった体がありましたね。体ごと送るならそっちを身代わりにすれば。いや、流石にばれるか。うーん、はっ!両方送ってあの子は悪役令嬢の運命から外すことぐらいなら出来るのでは!」
そうして実際、神様の愛し子は残酷な運命から逃れることが出来ました。
しかしはこの世界の未来を知ってしまっていました。
将来大量に人が死んでしまうという未来。
神様すらも魅了した魂の持ち主がそれを指を加えて見ていることなど出来るわけがありませんでした。
少女は自ら残酷な運命に飛び込みます。
今度は神様によってつくられた完璧な体がありません。
無茶なやり方で自らが悪役になることも顧みず少女はボロボロにながら動きまわります。
一人でも多くの人を救うために。
そうそう、神様の最高傑作である少女の最初の名は北澤円香といいます。
こうして北澤さんとレジーナは転生しました。
ちなみにソフィアはちょっとでも運命を変えるために神様が送りこみましたが完全に人選をミスってますね。




