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完璧美少女と冴えない少女は乙女ゲームの世界へ~悪役令嬢とモブでした!~  作者: 柊らん
貴族院一年生~アレクサンダー編~
52/87

まさかのヒロイン

前回、投稿時間がずれるかもしれないと書きましたが作者は予約投稿という技を習得しました!

出来るだけ手動で投稿したいのでズレはあるとは思いますが今まで通り8時頃に投稿していこうと思います。

これからもどうぞよろしくお願いします。

入学してから一週間がたった。


クラスメイトとは先日のポーション作り以来、挨拶ぐらいは出来るようになったが私は相変わらず休み時間はカイディンが一緒にいない限り一人で過ごしている。


家の料理人につくってもらったお弁当を教室で一人で食べる毎日だ。

貴族院には学食はあるみたいだけどまだ行ったことがない。


そんな私だが今日はお昼休みに用がある。

早速向かおうと教室から出ると移動教室から帰ってきたリリアーネと会った。

リリアーネは私を見つけると隣にいた友達と思われる人物に手を振ってこちらに駆け寄ってきてくれる。

令嬢としてはかなり自由奔放な彼女だがコミュニケーション能力はあるので一緒に過ごす相手には困っていないそうだ。

まぁ、リリアーネの一番の友達は私だけどね!


「レジーナ、何だか久しぶりね。元気だった?」

「もちろん!リリアーネは魔術の授業の帰りなの?」

「そうよ。はじめてのジオルド様の授業だったの!流石ジオルド様、自らの魔力でポーションを作ると効果があがるなんて!知らなかったわ」


リリアーネも私と同じことを授業でやったそうだ。

リリアーネは魔術が得意で魔力効率は私よりも上手だし魔術についてかかれた本もよく読んでいる。

そんなリリアーネすら知らないとはやはり特殊な方法らしい。


「一般的ではないみたいだね。リリアーネは出来たの?」

「うん。最後の方になんとかだけど」


リリアーネは項垂れているけど三組では私以外誰も出来なかった。


リリアーネはとても優秀だ。さすが私の友達。


「あ、呼び止めてごめんね。レジーナも牡丹の間に呼ばれているんでしょ。フレディも呼ばれているから急いで先に戻っていったわ」


今日は入学試験において上位5位だったものに召集がかけられていた。

成績優秀者における特権について説明されるとのことだ。

牡丹の間とか言う大層な名前の部屋に昼休み、各自お弁当を持って集まるように言われている。

噂によると個人スペースが与えられてそこを好きに使えるそうだ。

詳しいことはこの後分かるだろう。


ちなみに上位5位は上から客観的に説明してみるとこんな感じだ。

一位 『シハーク・エミ(北澤さん)』 最年少で男爵となる。貴族院始まって以来初の入学試験での満点をたたきだした女神。


二位 『エドワーズ・アレクサンダー』 ジェラルド王国の第一王子。

 

三位 『私、グレッシェル・レジーナ』 魔術で有名なグレッシェル家公爵の令嬢。王子の婚約者。全属性持ち


四位 『ソフィア』 平民だが魔力を持っていることが判明し貴族院に入学。全属性持ちだがまだ知られていない。この世界を舞台とした乙女ゲームにおけるヒロイン。


五位 『カーリー・フレディ』 父は元平民だが今は貴族の位が与えられている。リリアーネの幼なじみ。一言で言うなら風紀委員。


ざっとこんな感じだ。

しかし北澤さんからこの特典とゲームにおける関連性は聞いていない。

それに本来なら『悪役令嬢(レジーナ)』は勉強が苦手だと言っていた。


そこまで重要ではなく、王子ルートのみで使われる設定なのかもしれない。


「うん。ちょうど行くところだったの」

「ねぇ、ソフィアも来るのよね?」

「彼女は五位以内に入っているから来ると思うけど知り合いなの?」


リリアーネは一組、ソフィアは二組だからクラスは別だ。

ソフィアは平民から貴族院に入った生徒ということで有名だがリリアーネは気まずそうにしてる。

なにかあったのだろうか?


「寮で部屋が隣なんだけど突然押しかけてきたりするのよね。友達だからいいじゃないって言って勝手に物を借りていくの。友達も何も最初にちょっと挨拶しただけなのに。あっ、ごめん。忘れて。陰口みたいになっちゃった」


リリアーネは口を手で押さえて申し訳なさそう言った。

彼女のそういうところが好きだ。


「分かった。でも何か困ったことがあったら言ってね」

「ええ。ありがとう」


それにしてもソフィアは優しくて気遣いもできる素晴らしい性格の持ち主じゃなかったっけ?

北澤さんがそんなことを言ってた。

もしかして私と北澤さんという人間が別の世界からきたことで既に乙女ゲームのシナリオは意味をなしていないのかもしれない。

だからヒロインの性格も変わったとかはないだろうか。

私はプレーしてないからなんとも言えないけど。

今日直接会って見れば何か分かるかな。

あっ、そろそろ行かなきゃ。


「ごめん、もう行くね」

「ええ。今度一緒に学食に行ってランチしましょう」

「え、うん!楽しみ!それじゃあね」


予想外のお誘いに思わず笑顔になってしまう。

学食は気になっていたが一人では行けなかったのだ。

リリアーネと一緒なら楽しいだろう。


リリアーネに別れを告げて目的地に向かう。



牡丹の間とかかれたプレートがかかったドアの前に着いた。

貴族の学舎だからすべての教室のドアは前世のように木のものではなく装飾が施されたものだがここは他のドアよりもさらに豪華だ。

複雑な彫刻を施されたドアは重圧感を放っている。


ノックをしても返事がない。

中で待っているように言われているんだけど、誰もいないの?

入っていいのかな?


ドアに手をかけて引くと見た目よりも簡単に開いた。

素晴らしい内装が目に飛び込んでくる。


貴族院は私の知っている学校と違い過ぎて何度もその豪華さに驚いてきたが、ここはその中でも群を抜いていた。

どこぞの高級マンションのエントランスだ、ここは。

奥に廊下が続いていて、いくつか扉が見える。

噂には聞いていたけど一人一室個室が用意されているというのは本当だったのか。


しかし私が目を剥いたのそれだけではなく誰もいないと思っていたのに先客がいたからだ。

しかも先客は懐かしいサイズのお弁当箱に詰められた、なんというか庶民的なおかずを一心不乱にかきこんでいる。


「あの、」

「あっ、これは違うの。こんなお弁当恥ずかしくて皆さんがいらっしゃる前に食べちゃおうと思って」


おそるおそる声をかけるとなにやら弁解し始めた。

確かにここに通っている貴族たちのお弁当はお重のようなものに詰められたとてもお弁当とは思えないほどの豪華さだ。

目の前あるお弁当は玉子焼きにプチトマト、それから半分食べられた鮭が入っていた。

懐かしい料理につばが出てくる。


「美味しそうなお弁当ですね」

「へ?ってグレッシェル・レジーナ!なんであんたが来るのよ!?王子は!?」

「は?」


ものすごい勢いで振り返り私を見るやいなや、そう叫んだのは乙女ゲームのヒロインであるソフィアだった。


えっと、どういうこと?

私をアレクと間違えたってことだよね。

なんでアレクだと思ったのか謎だがとりあえずさっきから気になっていることが一つ。


「ほっぺにお米がついてるわ」

「わざとよ!本当なら王子がとってくれるはずなのになんで悪役令嬢のあんたが来るのよ」


後半は声をおさえたのつもりかもしれないけど丸聞こえだった。

もしかして……。


「ソフィアって転生者なの!?」

「そうよ。なに、あんたもなの?最悪」


ソフィアの顔は可愛い。

緩くウェーブがかかったローズピンク色の髪が胸の上で揺れ、小動物を思わせる大きな瞳は綺麗なエメラルドグリーン色。

高くスッとしている鼻に薄めの艶のある唇。

それら全てのパーツが合わさってほころんだ花のように甘く美しい愛らしい美少女だ。


しかし毒を吐き捨てるソフィアに可愛らしさの欠片もなかった。



まさかのヒロインも転生者。

おおう、マジか。


ついにヒロインの登場です。

ヒロインも転生者ということでなにやら不穏な空気……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 不穏ではあるんですけど北澤さんが居るからな…… で、カミサマ処す?処す?(やめい)
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