迷子!?とヒノマvsY隊!?
「スゥちゃん? ケンちゃん!」
僕は不安になって周りを見渡す。
「スゥちゃーん!」
しかし、周囲には妹もケントも見付からない。
「ケンちゃーん!」
もう、すぐそばだった筈の店も見付からなければ、さっきまで一緒だった二人の姿まで消えた。
「どこにかくれちゃったのー?」
しかも周りに人の姿もない。
「スゥちゃ~ん、ケンちゃ~ん! どーこー?」
その呼ぶ声にも不安の色が色濃くなってくる。
「スゥちゃーん! ケンちゃーん!」
僕は慌てて来た道を戻るのだった。
◆
「ったく、まさか最後の最後に魔力暴走を起こすとは……」
「生きた心地がしなかったぞ!」
「マジで死ぬかと思ったわ!」
Y隊の面々が 掛かった土や小石を払いながら僕を睨んでくる。
当初は人当たりの良さそうな人ばかりに感じて印象は良かったんだけど、今では敵意剥き出しだ。
って、原因は僕だから仕方ないんだけど。
幸い大きな怪我をした人はいなくて、ちょっとした擦り傷に止まっている。
……これ、まさかまた怒られるパターンじゃないよね?
指示をされた通りの事をしただけだし、昨日も魔力暴走してるのを知っているんだから、こうなる可能性はあった訳で。
それでも怒られるんであれば、声を大にして抗議したい!
……てか、あれ?
僕、魔力暴走は克服できたんじゃ?
今回は昨日みたいにうんと魔力を絞って絞って、魔力暴走を起こさないように気を付けていたのに。
それにさっきまでは暴走を起こそうとしても起きなかった。
それなのに今回は起こさないよう気を付けたにもかかわらず魔力暴走を起こしてしまったのだ。
何かがおかしい。
ふよふよ
いつもならZ隊より穏やかなY隊の面々がご立腹で僕に詰め寄っている中、ふと見ると光虫がこちらへと飛んで来るのが見えた。
そういえばさっき、ヒノマさんが邪魔だからとひっぺがしてくれたんだっけ。
僕がこっちで色々とやっている中、ヒノマさんがいる岩場の方で爆発があったけど、色から言ってたぶんヒノマさんが爆破の魔法を使ったんだろう。
なんて思っていたら、そのヒノマさんがこちらに来た。
「おいおい、さっきのは魔力暴走だよな。何で俺が見てない時にやるんだよ」
「いや、今回は暴走させないように気を付けてたんだけど……」
「ん? そうなのか? 今日はずっと暴走させようとしたのにしなかったじゃないか」
「僕もそこが分からなくて考えていたんだけど、どうしてなのか分からないんだ」
光虫がいつもの定位置に張り付いてほのかに光り出す中、僕とヒノマさんが暴走し爆発のあった堤の斜面に近付いて議論を始める。
「ふむ、成る程。興味深いな。途中までは順調に魔法が掛かっていってた訳だな?」
「うん。だけど、その範囲が昨日掛けたあの辺りを越えて、反対側も端の方まで行き着いた頃にここで暴走したんだ」
「ふむ、指定の範囲はこの堤なんだな? ふむふむ、興味深い。ここ以外はあちらと同等に硬化しているっぽいな」
「……おい、こっちはまだ話が終わってないぞ!」
すると、僕とヒノマさんの議論に口を挟んでくるY隊の面々。
ああ、そういえばヒノマさんが来るまではこの人たちに言い寄られてたんだっけ、聞き流してたけど。
そう思っていると、ヒノマさんが口をへの字に曲げた。
「何だ、コイツらは。それよりも、この爆発したところだが、魔法を掛ける前に何かしてあったんじゃないのか? 何か残滓を感じるんだが……」
「え? ざんし? いや、僕は堅地整成以外は何も……」
「……そうか。おい、そこの」
ヒノマさんがくるっと振り返ってY隊の面々の方に向くと、目に付いた知らない隊員に声を掛ける。
声を掛けられた当の隊員は、突然の出来事にヒャイっと変な声を出した。
「ここに何かしなかったか? この魔力暴走の起きた場所に、だ」
「えっと、少し前に隊員みんなで堅地整成を重ね掛けしましたが……」
「ふむ、硬化の魔法を重ね掛け、か。成る程、成る程」
そう言いながらヒノマさんは抉れた斜面の部分の土を手で掘り返しながら、その断面をじっと観察するように見入った。
「おい、どういう事だ? 説明しろ」
「軍の関係者でもない一般人が入れる場所じゃないんだぞ?」
「おい、聞いているのか? 何とか言えよ」
「てか、こいつ誰よ」
一人がガッと肩を掴んでヒノマさんを自分たちの方に無理矢理向かせるが、当然のようにヒノマさんは顔を顰めた。
「何だ、今は調査で忙しいんだ。少し黙ってろ」
「何だとっ! 後から来ておいて、何て言い種だ!」
「そうだぞ! そもそも俺たちが先に調査をしてたんだ。横入りしておいてその態度は何だ!」
「てか、こいつ誰よ」
そのY隊の隊員たちの言い種に、ヒノマさんはハァ~っと深く溜め息を吐いた。
「先に調査を、ねぇ。で、何か分かったのか? 聞かして貰おうか、そのお前らの調査の結果とやらを。その上で俺の考察と照らし合わせて意見を纏め内容を検証、結論を出していこうじゃないか」
「お、おう……」
「そ、そうだな……」
「あ、ああ。そうしよか……」
「てか、こいつ誰よ」
すわ一触即発かと思ったけど、コロリとヒノマさんの提案に乗っかる隊員たち。
何故かヒノマさんの言葉には迫力があって、反論し難い雰囲気がある。
これが僕だったら更に話が拗れていたかも。
「と言っても、さっぱり分からない」
「俺たちと同じように堅地整成を掛けているみたいなんだけど、何故か硬さも範囲も全く別物みたいなんだ」
「更に、俺たちが重ね掛けした堅地整成よりもこいつの掛けた堅地整成の方が数段硬いときたもんだ」
「本当に訳が分からねぇ……」
「てか、こいつ誰よ」
今度は隊員たちが顔を顰めるが、それを見たヒノマさんが肩を落として深い溜め息を吐き、隊員たちを一通り見渡した後に当たり前かのように言い放った。
「全く、何を見て何を調べたんだ。火を見るよりも明らかじゃないか。お前らの魔法とこいつの魔法は全くの別物だろう」
相変わらず時間が取れず、見返す事が出来ていません。
何かおかしいところがあったら「何やっとんじゃい、間違うとるやろがい!」と指摘していただければ助かります
あ、「話が進んどらんやろがい!」ってのは自覚しとりますので、コメントでも残してイライラ解消してください。
他に、評価などして貰えると嬉しいです。
よろしくお願いします。




