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お隣さんは魔王でした @Web  作者: 赤点太郎
一章 少年と魔法
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まおうのおはなしとブラックドッグ



「ねえ、まおーしらないの?」

「まおー、ちーないの?」


 僕たち二人が澄んだ目でお手伝いのサーファを追い詰める。


「魔王、ですね。そうそう、知ってますよ。魔王ですよね」


 何故か斜め上の天井辺りに視線を向けて、サーファは語りだす。


「ええっと、魔王は悪い人なんです」

「わるいひと?」

「わりゅぃひと?」

「そう、悪い人」


 人指し指を立てるサーファに、二人とも目を丸めて注目するけど、サーファの笑顔は何故かいつもと違う気がした。


「むか~し昔、あるところに悪さばかりする男の子がいました。畑のお野菜を千切ったり、洗濯物を泥水に落としたり、女の子を突き飛ばしたり」

「そんなことしたらダメー!」

「りゃめー!」

「そうね。あまりにも悪さばかりするので、周りの人たちは男の子を森の奥の小屋に連れていきました。男の子は一人でそこに暮らすようになりましたが、ある日、恐~い魔物をたくさん連れてみんなの前に現れました」

「ええっ、こわーい!」

「きょわーい!」

「みんなが逃げ出すと、その男の子は魔法で逃げるのを邪魔しました。逃げられなくなった人たちは魔物に襲われて大怪我をしました」

「やだ! そんなのダメー!」

「や~!」

「困った人たちは王様に魔物や男の子をやっつけるように頼みました。すると、王様は兵隊さんや冒険者さんたちに魔物たちをやっつけるよう命令しました。兵隊さんや冒険者さんたちは頑張って魔物を退治しました。」

「へーたいさんすごい! ぼーけーしゃさんもすごい!」

「しゅごーい、」

「ふふふ、そうね。でも、男の子だけは逃げてしまいました。やっつけられないように魔法で邪魔をして、どこかに消えてしまったのです」

「えー! どこいったの~?」

「ろこー?」

「どこなんでしょうね~。男の子はどうしても見付からなかったので、いつしかみんなは魔物を操り魔法を使うその男の子の事を魔王と呼んで、痛みやかゆみなんかを魔王に移すようにおまじないを掛けるようになりました。おしまい」


 サーファがそんなお話をしてくれたけど、そんな悪い事をする魔王が許せなくなった。


「まおーってわるいひと?」

「わりゅぃひと~?」

「え、ええ。そう、魔王は悪い人なんですよ?」


 何だか歯切れの悪いサーファだったけど、そんなおかしな所を察する事の出来なかった僕たちはその話を聞いて怒れてきた。

 そして……。


「まおーはぼくがたおすー!」

「まおーたおしゅー!」


 僕たちは新たな目標が出来て、剣の稽古を頑張るようになったんだ。


「……すっかり信じちゃったみたいだけど、どうしましょ」







 ~ ブラックドッグ ~


 犬を原形とした魔物。

 見た目は犬そのものであるが、目は赤く染まり元となる犬よりも大きい。

 元となる犬種の数だけ種類があり、元々大きい種は注意が必要。

 基本的に普通の犬と習性は同じと考えて良いが、魔物化により狂暴になっている場合が大半。


 噛み付いたり引っ掻いたりするが、それに注意すれば対処は難しくない。

 群れを成す習性があるので、集団となった場合はランクが上がる。

 最近では慣らしてペット化する動きもある。


  * 図解はじめての世界魔物図鑑 より抜粋。




「あ~、ブラックドッグか~。おれ嫌なんだよね、ブラックドッグ」

「そういやお前、家でブラックドッグを飼ってるって言ってたな」


 続々と集まる堤の上で、先頭に並んでいた盾や槍を手にした陸上一般兵がぼやく。

 そう、この町では慣らした魔物をペット化するのが流行りとなっていて、小型のブラックドッグは比較的入手が簡単な為、人気があった。

 特に魔物が湧くこの地があるので、ウェストフォースでは王都よりも値段が安く小さい時から飼う事が出来る為、より慣らしやすい。

 更に、このウェストフォースには軍関係者とシーラ―社の社員が大半なので、この町の流行イコール軍関係者の間での流行とも言えた。


「おれ、殺したくないな~」

「安心しな、そう思っているのはお前だけじゃないから」

「いや、安心したらダメじゃん!」


 基地から駆け付けた陸上一般兵の前中衛たちが最前列に並ぶと、その後ろに各魔法部隊が並ぶ。

 更に後衛たちがその後ろに並んだが、どの隊の隊員も半数近くは顔色が優れない。


「なあ、あいつらどっかへ行かないかな」

「どっかへって、どこによ」

「おれたちには関係のないどっかへだよ。そうすりゃ殺さなくても良くなるから」

「まあ気持ちは分かるけどさぁ、そう都合良くはいかないぞ。覚悟を決めないと、ブラックドッグ程度の相手に怪我をする事になるぞ」


 随分とペットを飼っている者がいるようだが、それはそれ、これはこれだ。


「ところでよ、この前より畑の範囲が拡がってないか?」

「ああ。ここ最近、また魔法の練習をしているらしいぞ」

「ったく、いくら何をしても文句を言われる場所じゃないからって、やり過ぎだろこれ」


 スライム戦の際に出来ていた豊穣の舞による惨状(農地)は、ここ数日で範囲が更に増えているように見える。

 このフカフカの土によって、前回のスライム戦では戦わずに済んだものの、足が埋まってしまう為に足場の板を敷いての移動を余儀なくされた。

 その後の作戦会議では、もしスライム戦と同じような事があれば土魔法小隊に畦道を作って貰う事が決まっていた。

 土魔法小隊の人間の尻拭いは土魔法小隊に、という事だ。


「来るぞ!」


 旗振り役の陸上一般兵部隊の隊長の一声で、それまでの嫌そうな表情から一変、構えた武器の手に力が入る。



明日より投稿時間を9時に戻します。

よろしくお願いします。

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