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第四十九話 もあもあむんむんっですわ!


 ふぁぁぁ。ゴシゴシ。ゴシゴシ。


 視界に映るは仰向けで横たわるジャスミン姉さん。


 ──うん。やっぱり先に目覚めてしまったか……。



 密室空間に意識のない美女と二人きり。


 フェロモンむんむんっ。

 寝汗もあっもあもあ〜〜。



 ドクンドクンドクンドクン。



 ドクンドクンドクンドクン。



 わかってる。わかってはいるんだ。

 いけない事だと……わかってはいるんだよ?



「よいっしょ。んしょっ」


 ダメな事だと……わかってるよ?


「ふぅーっ」


 でも……お、女の子同士だから。

 やましい気持ちとか……ななな、ないから。


 

 ちょっとだけ……腕枕。

 ちょっとだけ……だから!!




 意識のないジャスミン姉さんの腕を持ち上げ腕枕の体勢に……。ぽっ。


 もぞもぞ。もぞもぞ……。

 手はここ。頭を包み込むように……。


 もぞもぞ。もぞもぞ……。

 脚はこうやって絡ませて……。


 もぞもぞ。もぞもぞ……。


「はぁはぁ……はぁっ!」


 むぎゅっ! むにっ! 全方位腕枕。完成!!



 ──幸せだ。でも、この幸せの先に進みたい。どうか……気持ちが伝わりますように。


 はぁはぁはぁ。


 いつ目覚めてもいいように寝たフリをしながら、温もりに浸る。我ながら完璧としかいいようが……ない‼︎


 ◇


「んっ。んんっ……暑いわぁ。……っ?!」


 程なくして意識を取り戻すジャスミン姉さん。

 これだけくっ付いてるんだ。そりゃ暑いのは当然。


 ──寝たフリ続行!!

 


「アヤノちゃん…………」


 名前で呼んでくれた。嬉しい……けど、寝たフリ。



「ごめんね。時間がないの。寝たフリはおしまい。はぁはぁ……。そのかわり……」


 バレてる?! ダメだった……。

 涙が込み上げ──ぷるんっ。ましゅまろ、ぷるんっ。


 むぎゅう。ぎゅぅぅぅぅぅ。


 懐かしのお山が顔を……覆った!!?


「うー、うーー」


「これが好きなのよね。ずっと、こうしたかったのよね。気付いてあげられなくて……ごめんね」


 大好きだよ! 原点にして到達点!

 むにゃむにゃスリスリ。ぷはぁ!


 ──想いは届いたんだッ!!



「時間がないからこのまま話すわね。結論から言えば全てをみた。正しくはみれてしまった。過去に行使された神秘の泉が干渉を起こして導いてくれたの」


 むにっ。この世界では初めてのはず。

 あれは……四回目のループでの出来事。


 むにむに……俺がこの世界に来る前かな?

 既に二人は知り合いだったとか?


 それだと四回目のループの際の説明が……。むぎゅっ。


 何れにせよ、たわわなお山に顔を埋められるこの状況が結果。

 ……むにゃむにゃ。幸せッ!


「アヤノちゃん……聞いてる?」


 …………むにゃむにゃ。スリスリ。ぷはぁ!

 最高だ。ずっとずっとここに埋まりたかった。うぅ。悲願叶ったり! やったぁっ! むにゃむにゃ。むにゃあ!



「アヤノちゃんッ!!」


 ハッ。えっ? キョロキョロ。え……。


「はい……」


「大きな声を出してごめんなさいね。本当に時間がないの。内からすごい勢いで迫って来てる。来ちゃうの……くるのよ……。防壁を破れられては張ってを繰り返してるけど、限界が近いわ……」



 なに? 深刻そうな顔。しかもちょっと苦しそう……。

 だけど、視界がお山なたわわだから、思考もお山なたわわに……なんだろ……苦しそうな顔もそれ全て含めて卑猥な事言ってるようにしか……。困った。




「いまいち通じてないわね。そうね……アヤノちゃん風に言うなら……今から三回前の世界。つまりは四回目の世界。それと今、この七回目の世界。二つの世界で行使された神秘の泉が繋がったとでも言うのかしら」



 あ……れ?


 思ったよりも、遥かに深刻でやばい雰囲気。



 理解が追いつかないよ。まるで、今までのループを見たとでも言ってるかのように聞こえる。


 全て見たって、どこからどこまでだよ……。


 まさか、中身が男って事も? たかしだとでも?


 ……大丈夫。さすがにそれはない。

 だって男だとバレてるなら今、こうしてたわわなお山に顔を埋められてるわけがないのだから!


 もっと、こう……キモがられて……それこそ振り払われてるはずだ。うん。大丈夫。バレてない!!



 とりあえず頷く。

 そしてまた戻る。たわわなお山に! むぎゅっ。



「残念だけど、全ては収束されてしまう。神秘の泉は伝説級の最上級魔法に位置付けられているけど、あくまで理論上の到達点。神話級はお伽話の領域。干渉出来てしまったのは奇跡なのよ」



 何を言ってるのかサッパリわからない。

 


 とりあえず頷く。

 そしてまた戻る。たわわなお山に! むぎゅっ。


 むにむに。むぎゅっむぎゅーーっ。

 ぎゅっぎゅ。スリスリ……むにっむに。


 うん。嫌がる様子はない。

 けど、なんだろう。何かが違う……。


 あっ、頭を撫で撫でされてない!!

 勝手にただ、顔を埋めてるだけ。


 クンクンしてた時の状況に似ている……。こんなのは偽物だ。だってこれは……


 ──ひとりよがりのわがままっ。


 それでも……やめられない。止まらない。


 だって此処は到達点ッ! パラダイスッ!


 カシスちゃんよりも大っきくて

 エリリンよりも大っきくて

 ヒメナちゃんよりも大っきい!


 まさしく山頂ッ!!


 ◇



「ほんと、変態さんなのね。童貞のまま女の子になっちゃったから……仕方ないとは思うけど……ちゃんと話聞いてくれてるのか不安だわ」


 ドクン。ドクンドクンドクンドクン。


 ドクン。ドクンドクンドクンドクン。


 全部って全部だ。全部全部みーんなぜーんぶ知られたんだ……。


 この世界で墓場にまで持っていかなきゃいけない最大の事がバレてしまってる。




 ──大ピンチ到来です……。

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